“クラフトな遊び心地”を掲げ、暮らしとインテリアにまつわる、さまざまな記事を配信するオンラインマガジン「ROOMIE」(ルーミー)。ダイバーシティ(=多様性)の時代ともいわれる昨今、よりいっそう重要視される場所が、我が家や自分の部屋です。そんな部屋作りのヒントを、編集長の野田 翔さんに聞きました。
インテリアの最新トレンド、自分の部屋で楽しく過ごすコツ、そしてROOMIEが考える「部屋づくりを通して伝えたいこと」とは?
ROOMIE/メディアジーン
https://www.roomie.jp/
「暮らしを豊かにするモノを、遊ぶように選び取る」ためのオンラインマガジン。「みんなの部屋」「わたしの部屋」「アウトドアな家暮らし」など人気連載も多い。
根強いリノベーションの波と、アウトドア&インドアの融合
━━ROOMIEでは日々、暮らしにまつわる全般的な情報を記事にされていますよね。最近、特に注目のトレンドって何があるんでしょうか?
野田:そうですね、近年目立って流行るというより“定着”したのが「中古物件リノベーション」だと思います。2015年あたりから流行り始めて、僕がROOMIE編集部に異動した2017年あたりには主流になり、いまや定着したという感覚があります。
━━DIYのブームと同じく、なんでも自分でやるという風潮は確かに根付きましたよね。
野田:ツールが増えたのも要因のひとつだと思います。簡単に部屋の雰囲気を変えられる「はがせる壁紙」とか、ツーバイフォー材で棚を作れる「ラブリコ」など、女性でも気軽にリノベーションを楽しめますからね。僕も昔は父と一緒にホームセンターへ通いましたが、二子玉川には女性向けのDIYショップができて、時代は変わったなあと(笑)。
━━昔は「日曜大工」と呼ばれてましたよね。
野田:ええ、でも今は年齢・性別に関係なく、自分好みのスタイルに部屋を作り変えることができる。インスタグラムにその様子をアップするなど、楽しみ方もいろいろあります。
https://www.roomie.jp/feature/outdoor
野田:他にも、アウトドア用品をインテリアの家具として使うのも流行っていますね。
━━テーブルやチェアなどですか?
野田:そうですね。これはおそらくアウトドアメーカーのスノーピークさんがブームのきっかけだと思うんですが。2014年あたりから「HOME⇄TENT」というのをテーマとして掲げたんです。つまり家とキャンプの境目がなくなっていく、ということですね。
━━アウトドア誌でも、そういう部屋を特集されたりしていますよね。
野田:実はROOMIEでも「アウトドアな家暮らし」という連載がありまして、読者アンケートでは常にトップなんです。その人気ぶりを見ても、アウトドア→インドアのスタイルは需要があるんだと感じます。
━━季節性はあるんでしょうか?
野田:いえ、一年を通して記事は読まれていますね。他メーカーさんも家使いできるアウトドアギアを作ってきていますし、まだまだこの流れは続くと思います。
インテリアで人気拡大中の「塊根植物」
野田:それからインテリアといえば、切っても切り離せないのが植物。個人的にも、数年前から今に至るまでキテるのが「塊根植物」なんです。マダガスカルなんかに自生しているんですが、僕は自宅で20種類くらい育てています。
━━すごい数ですね!
野田:日本とマダガスカルでは気候が違うので、育て方が少し難しいところはあります。でも、すごい浸透度で広まっていますね。人気があるのは、「パキポディウム」という丸いフォルムの種類で、芋とか呼ばれてる(笑)。
━━金額的にはおいくらくらいなんですか?
野田:一概には言えませんが、今はひとつ2〜3万円くらいが相場でしょうか……。
━━え! 結構、高いじゃないですか……。
野田:以前はこんなに高くなかったんですけどね…。ファッション界隈の人たちが、こぞって注目しているので、有名なセレクトショップがアパレルブランドとコラボしていたりします。Instagramに写真をアップすると、いろいろな人から反応がありますね。
自分の部屋で楽しく過ごすには「自分にとって何が大切か?」を考える
━━さまざまな情報を扱われている野田さんだからこそ、自室へのこだわりもあると思いますが、どうやって部屋づくりを楽しむべきなのでしょうか?
野田:部屋って自分の趣味や好きなことを反映させられるパーソナルスペースですよね。だから、「自分にとって何が大切なのか」を考えることが第一だと思います。例えば、僕の場合は「睡眠」が重要でして、よく眠れる部屋づくりを考え抜いています。
━━それは羨ましい。なにか参考にされるのですか?
野田:基本的にはホテルを参考にしています。僕は以前、睡眠障害に悩んでいたんですね。だから、ベッドに始まり、マットレスや毛布の素材感、光の調整など、いろいろと試してきました。ベッドリネンひとつとっても、シルクは意外と緊張してしまうからNG、リネンはOK、柄物のシーツだと落ち着かない、マットレスにはお金をかけるべき、などです。僕は「10分で眠れる部屋」と呼んでいます。
━━そうやって自分に合う部屋を作り上げていくわけですね。
野田:はい、現代は多様性の時代ですし、“北欧風”みたいにひとつのテーマに縛られる必要もありません。例えばパートナーがいるとして、お互いの好きなものを飾ったり、置いたりして突き詰めながらオリジナリティあふれる部屋にしていくことが、楽しむコツなんだと思います。
「「10分で寝落ちする寝室の作り方」を編集長に訊きに行ったら狂気じみてた…」
https://www.roomie.jp/2019/01/487908/
“人と暮らし”は切り離せない
━━ROOMIEでは多くの連載記事がありますが、特に読者に直撃する「みんなの部屋」で印象深かった部屋はありますか?
野田:部屋が植物だらけで温室のようになっている方の部屋ですね。約100平米という広さに、花屋かと思わんばかりの鉢植えがあり、その数は100個近く。玄関を上がるとすべて土間になっていて、水やりに適した部屋を作られていました。
「まるで温室…30人集まれる、100平米の自由な間取り(荒川区・町屋)|みんなの部屋」
https://www.roomie.jp/2016/11/354737/
━━これは……圧倒されますね!
野田:他人からは一見、やりすぎだと思われるくらいが突き抜けていて面白いですよね。そこに、その人の考える“人生”というか大事にしているものが現れるわけですし。
━━たしかに。ROOMIEは今後もさまざまな部屋を取り上げていくわけですよね? 一体、何を大事にしているのでしょうか。
野田:「人と暮らしは切り離せないものである」というのが僕の考えでして。部屋ってその人の価値観の集積だと思っているので、自分にとって気持ちいいものを突き詰めていくことが、その人の面白さであり、部屋の面白さであり、ライフスタイルそのものであると。100人いれば100通りの魅力をリアルタイムで伝えていければと思います。
【プロフィール】
ROOMIE編集長 / 野田 翔
映像制作会社を経て、2016年にメディアジーンへ入社。ビジネスニュースサイト「Business Insider Japan」にてディレクターを務めた後、「ROOMIE」に異動。編集長として、さまざまな人たちの暮らしにまつわる取材を続けている。
GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」