僕らは多くの家電に囲まれて生活している。
リビングにはテレビとレコーダー、エアコン、もしかしたらホームシアターや扇風機、空気清浄機などもあるかもしれない。そしてそれらの多くにはリモコンがあり、離れた場所から操作できる。
ところが、この便利なはずのリモコンが見当たらなくて家電が使えない、リモコンだらけで、それぞれを操作するのが面倒くさい。リモコンのせいで不便なシーンも生まれているのだ。
だったら全部スマートフォンから操作できるようになれば便利だと思いませんか。それを実現したのがリンクジャパン社の「eRemote mini」だ。
スマホアプリから家電をコントロールできるように
コンパクトサイズの「eRemote mini」は家電のリモコンで使われている赤外線(IR)を発信できるデジタル機器。
※シリーズには温度センサーを内蔵した上位モデルの「eRemote RJ-3」やコンセントに直接差し込んで使える「eRemote Pro」もある。※現在での一般販売の予定は未定
実際にeRemote miniを導入してみた
最初に付属のMicroUSBケーブルを使って電源に接続する必要があるのだが、ACアダプタは属していないため、別途用意しなければいけない点に注意。余っているUSB電源があればそれを利用するといいだろう。
続いて、スマートフォンから操作するために、Wi-Fiルーターやアクセスポイントに接続を行う。スマートフォン(今回はiPhoneを利用)に専用アプリをインストールする。
次に、アプリの操作に従って、eRemote miniのWi-Fi設定をセットアップしていく。eRemote miniとWi-Fiで繋がったら操作したい家電の設定に入っていく。
アプリを使って家電登録していく。まず「追加」をタップする。eRemote miniでは初期設定として、「テレビ」、「エアコン」、「照明」を用意。「エアコン」「テレビ」は登録されているモデルならリストから選ぶだけで設定できる。
「照明」と、「エアコン」「テレビ」以外の家電は「カスタム」から登録する仕組み(プリセットの照明をカスタマイズする方法もある)。eRemote miniにリモコンを向けてオンオフの登録などができる。
最初にエアコンの設定をしてみた。
エアコンの登録方法には3つの方法がある。
- 自動マッチング(使用のエアコンリモコンを本製品に向け登録)
- 手動マッチング(使用のエアコンのメーカーを選び、テストボタンにて登録)
- 手動学習(使用のエアコンリモコンを使用し個別学習し登録、スマートスピーカー未対応)
1の自動マッチングで試し、登録できない場合は2の手動マッチングを試すといった流れ。手動マッチングでも登録できない場合は、3の手動学習を行う。
まず、上の画面のメインメーカーおよびメーカーリストから該当のメーカー名を選択して自動マッチングを進める。
残念ながら自動マッチングでは登録できなかったため、以下のように手動マッチングを行う。
手動マッチングの方法と手順
eRemote miniに向けてリモコンの電源ボタンを押して、エアコンが動作するかどうかを確認する。これをリモコンの様々なボタンで繰り返して行く。
手動マッチングとは、サーバーにある該当のメーカーの赤外線データをダウンロードし、使用しているエアコンの赤外線とマッチすれば登録するといったマッチング方法である。
手動マッチングの画面が表示されるのでまずはテストボタンを押してエアコンが動作するか確認する。
エアコンが反応した場合は「はい」をタップ。電源が入らない場合は「いいえ」を選ぶ。このステップを繰り返していく。メーカーや製品によってテストの項目数や回数も変わってくる。
リモコンの認識が完成したら追加完了の画面に切り替わる。名称や置き場所を選ぶ。これで手動マッチングによるリモコン登録は完了。
その他未登録のボタンは、個別に学習登録できる。テレビや照明なども同じように設定できた。リモコンの登録が終わると、アプリから家電の操作ができるようになる。
アプリの画面でエアコンを選ぶとリモコンが表示される。これでいちいちリモコンを探すことなく、エアコンをつけたり、温度を変えたりできる。テレビのチャンネルやボリュームも意のままだ。
これは想像以上に便利だった。スマートフォンさえ手元にあれば、ソファやベッドに寝転がったままで、登録した家電を好きな風に操作することができるのだ。
さらに、テレビのリモコンとレコーダーのリモコン、ホームシアターのリモコンなどを使い分ける必要がなく、アプリ上で手軽に切り替えられる。スマートフォンひとつで、部屋中の家電が操作できるようになった。
また、eRemote miniを導入して便利だったのが、部屋にいないときでも家電が操作できるということだ。
例えば帰宅時、事前にエアコンの電源を入れておくことで、冷房が効いた状態の部屋に帰ることができる。最新のエアコンにはWi-Fi機能を搭載しているものが多く同様のことができるが、その機能のためだけにエアコンを買い換えることはできない。
eRemote miniがあれば、古いエアコンを使っていても、遠隔操作ができるようになるというわけだ。
さらに便利なのが、複数の操作をまとめられるシーン機能だ。上がシーン機能の設定画面。
複数の操作をまとめられるシーン機能
例えば、朝起きたときに照明をとテレビを同時につける、外出する時にエアコンやテレビ照明などを消すといった操作がワンタッチでできる。このシーン設定には「おはよう」や「ただいま」といった好きな名前を付けることが可能だ。
スマートスピーカーと連携して音声で操作
実はRemote miniが便利なのはスマートフォンからの操作だけでなく、スマートスピーカーと連携することにより音声操作ができるようになることにある。
今回はAmazonのスマートスピーカー「echo」と連携してみた。
家電音声操作するにはまず、Amazon Alexaアプリで「LinkJapan eHome」スキルを有効にしてeRemote miniの登録を行う。あとはAlexaに「アレクサ、デバイスをさがして」と話しかけて、テレビやエアコンなどのデバイスを認識させるだけだ。
Amazon Alexaアプリのスキル設定画面。たったこれだけで家電の音声操作が可能となることに驚きだ。
例えば「アレクサ、照明をつけて」と話しかけるだけで部屋の照明がONになる。リモコンを探す必要がないだけでなく、スマートフォンを手に取る必要もなくなるのだ。
現在、Amazon Alexaとの連携機能では、家電のオンオフに加えて、テレビのチャンネルを変えたり、ボリュームの調整などが可能。
また、エアコンの操作では温度設定や運転モードの変更ができる。細かな操作や設定などはできないこともあるが、基本的な操作ならほとんどのことができる。
eRemote miniで設定したシーンが表示されている。この状態なら帰宅してリビングに入ったときに、「アレクサ、ただいま」というだけで、エアコンと照明、テレビがすべてONになる、といった使い方もできる。
eRemote miniのシーン設定やAmazon Alexaの定型アクションを利用すると、さらに複数の家電にまたがった、複雑な操作も可能になる。
eRemote miniで家電の操作設定をするようになってから、リモコンを触る機会が大幅に減った。レコーダーで録画番組を見る、などといった複雑な操作の場合は、まだにもリモコンを使った方が早いが、照明やエアコンのオフなど、簡単な操作なら音声で全て行うようになった。
※Amazon Alexaの定型アクションの設定画面
家電すべてを連携させようと思うとハードルは決して低くはないが、家電のオンオフなど、簡単な操作を音声でできるようにするだけなら、非常に簡単だ。あとは、「こういう風に使えるといいな」と感じたことだけシーン設定や定型アクションを作っていくとよさそうだ。
今では子どもたちも真似をして、「アレクサ、テレビ付けて」と話しかけるようになった。eRemote miniのおかげで、 今後、家電の操作は音声が中心になりそうだ。
【筆者プロフィール】
コヤマタカヒロ
デジタル家電ライター。白物家電、デジタルガジェットが得意分野。三女の父で町田市在住。AllAbout家電/PCガイド。米・食味鑑定士。撮影とテストの空間「家電スタジオ・コヤマキッチン」スタート。企業のコンサル活動も対応。
コヤマキッチン(デジタル機器と家電とときどき3人娘)
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