本日10月1日、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)が「FUTURELIGHT(フューチャーライト)」という新素材を採用したウェアを世界同時にローンチしました。人気絶好調の同ブランドが投入する新素材とはどんなものなのか?ファッションホリック編集部員野田が、その日本先行エキシビジョンに行ってきました。
この新素材・FUTURELIGHTは、THE NORTH FACEがオリジナルで開発した、防水機能と通気性を兼ね備えたものになります。同ブランドは同素材を投入し、アウトドア・ギアの基準を引き上げようとしています。
今回の開発プロジェクトのきっかけは、THE NORTH FACEアスリートのアルパインクライマー、アンドレス・マーリンが、アメリカ・コロラド州のマウント・スネフェルズを登ったとき。太陽が出たり曇ったりの繰り返しで、暑くなってはシェルを脱ぎ、寒くなってはシェルを着用、ということを繰り返すコンディション。その際の会話の中での「着たままいられるシェルがあったら…」というアンドレスのコメントが始まりでした。
「防水機能がしっかりしたものほど、ウェア内部に熱がこもりやすい。水が外部から内部に入ってこないのならば、内部の水分(汗)だって外に出ていくはずがない」となるわけです。だから、防水機能と通気性を兼ね備えた素材をつくることは難しかったのです。しかし、それを可能にしたのがFUTURELIGHT。同素材は簡単にいうと、蜘蛛の巣の糸のような繊維を織りなした、通気性の良いフィルムとなるのですが、詳細も非常に興味深いです。
FUTURELIGHTは「ナノスピニング」技術により、 ナノレベル(約10億分の1メートル)の太さのポリウレタン繊維を吹き重ねて成型したメンブレンを中間層として使用した3層構造。吹き重ねたポリウレタン繊維に無数にできた隙間が通気性を生み出し、 外気と衣服内を空気が流れることで衣服内の熱と湿気を放出します。 繊維の隙間は水の分子よりも小さいため雨など外からの水分は通しにくく、防水性と通気性の相反する機能を同時に実現します。
以前の展示会では、2つの筒にFUTURELIGHTと従来の防水素材をそれぞれ挟み、生地の上に水を貯め下から空気を当てる装置を設置していました。これは実に、素材の意義がわかりやすかったです。
厳冬期の登山から、 岩と氷のミックスクライミングやアイスクライミングを想定した「SUMMIT SERIES(サミットシリーズ)」。新雪を求めて登攀するバックカントリースキー&スノーボードを想定した「STEEP SERIES(スティープシリーズ)」。 トレイルランニングやランニングを想定した「FLIGHT SERIES(フライトシリーズ)」。以上、同ブランドのコアシリーズにてFUTURELIGHTは展開します。
実際アイテムを触ってみると、軽く柔らかくストレッチ性がありました。筆者はガチで山登りなどするタイプではないので、FLGHIT SERIESのランニングジャケットがしなやかで動きやすそうで、ジョギングするのにちょうど良いなという印象。また、軽量化およびコンパクトにたたんで携行できるので、荷物が多くなってしまう登山などにおいてもベンチレーションの数を減らすことができて利便性も高そうです 。
現状、FUTURELIGHTはアウトドア・スポーツ用アイテムの展開ですが、後々はファッション寄りのアイテムにも落とし込んでいくとのことです。しかし、今年の秋冬に活躍してくれそうなウェアなので、筆者の欲しいものリストのひとつが増えました。
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