ファッション
2016/6/21 7:00

個人所蔵のコレクションを購入してオーデマ ピゲ ミュージアムがさらに充実

スイス高級時計の中でも屈指の技術力を持つオーデマ ピゲが、1890年代から1990年代までに及ぶ個人所蔵のコレクションをコレクションを購入しました。同社の栄光の歴史を物語るヴィンテージウオッチの数々は、すべてコレクターのマーカス・マギュリーズ氏が27年もの歳月をかけて収集したものとのこと。今回オーデマ ピゲが購入したヴィンテージウオッチの中から、特に重要度の高い「ユニヴェルセル」を取り上げます。

 

ウルトラコンプリケーションNo.6142=ユニヴェルセル

↑オーデマ ピゲは1875年に創業。当時からスイスのル・ブラッシュを本拠としています。写真は、最新のマニュファクチュール工房
↑オーデマ ピゲは1875年に創業。当時からスイスのル・ブラッシュを本拠としています。写真は、最新のマニュファクチュール工房

オーデマ ピゲのCEOであるフランソワ=アンリ・ベナミアスは、「これらのヴィンテージウォッチを再び故郷へと迎え入れられることを、非常に喜ばしく思っています。オーデマ ピゲのヘリテージ部門にとって記念すべきマイルストーンとなり、また、私たちが引き継いでいく遺産にも大きく貢献することでしょう。マーカス・マーギュリーズ氏も、コレクションの戻るべき場所はル・ブラッシュの工房だと常に感じられていたとのことで、非常にご満足いただいています」と述べています。

 

その中でも最注目タイムピースとなるユニヴェルセルは、少々複雑な経緯をたどってはいますが、れっきとしたオーデマ ピゲ製の超複雑ポケットウオッチです。この時計には、ルイ=エリゼ・ピゲ製の半完成ムーブメント(=エボーシュ)から、オーデマ ピゲが完成品として仕上げたムーブメントが搭載されています。ケーシングはドイツ・ドレスデンのユニオン・グラスヒュッテで行われ、そのままユニオン・グラスヒュッテの名のもとに販売されたそうです。

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19世紀末当時、最も複雑な時計のひとつに挙げられるユニヴェルセルは、実に数多くの複雑機構を搭載しています。搭載機構は、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター・カリヨン、グランド&プチソヌリ、スプリットセコンドクロノグラフ、リセット機能付きのフライング1/5セコンド、デッドビートセコンド、アラーム機能と、どれも腕時計ならばひとつだけでも高い技術力が要求されるものばかり。

 

ムーブメントの総部品数は1168個。いまのように工作機械が発達していない時代に、これだけのパーツを正確に制御させる輪列を組み上げることができたのは、「奇跡の手」と賞賛されるほど優れた技術力を有していたオーデマ ピゲだからこそでしょう。

 

購入されたコレクションは、ユニヴェルセルのほか、クロノグラフ、ミニッツリピーター、ワールドタイム、ジャンピングアワーなどの機構を搭載した腕時計、エキゾチックなケースと文字盤のデザインが魅力的な芸術的タイムピースなど盛りだくさんの内容。これらは、スイスのル・ブラッシュに完成予定の” Maison des Fondateurs(創業者達の家)”で展示されるほか、この中からさらに厳選されたタイムピースが、各国での巡回展示や出版物として紹介される予定とのこと。

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↑” Maison des Fondateurs(創業者達の家)”は、2018年に完成が予定されています

 

日本ではロイヤル オークが非常に人気ですが、オーデマ ピゲの真骨頂はやはり伝統的かつ革新的な複雑時計製造。その事実を改めて気づかせてくれるトピックでした。

 

【URL】

オーデマ ピゲ https://www.audemarspiguet.com/jp/