あなたはいま幸せですか――? この素朴な質問に、なかなかイエスと答えられない人がたくさんいるかもしれません。最近発表された調査で、幸福度は年齢とともに下がっていき、最も幸福を感じにくい年齢が47.2歳ということが明らかとなったのです。仕事でも私生活でもそれなりの経験を積んだ世代が、幸福を感じにくい理由とは?
幸福度と年齢に関する調査を行ったのは、アメリカのダートマス大学で経済学を教えるデビッド・ブランチフラワー教授。同教授は仕事や家庭といった幸福に関するデータを世界132か国から約50万人のデータを集め、その分析を行いました。その結果、幸福を感じる人の数は年齢とともに下がり、ある年齢でどん底を迎え、その後はまた年齢の増加とともに幸福を感じやすくなっていくことが判明。しかも、その最も幸福を感じにくい年齢は、発展途上の257か国では平均48.2歳、187の先進国で47.2歳であると導き出しました。
幸福のU字型カーブはどこにでもある
人の幸福度が「47.2歳に向かって減少し、その後はまた幸福度が増していく」という傾向は、これまでの研究でも報告されています。たとえば2005年に発表された研究で、幸福感の度合いを年齢別にみるとU字のような曲線を描き、40~50歳ころで最も幸福感が落ち込みやすいことがわかり「幸福のU字型カーブ」などと呼ばれています。この現象は80か国の調査結果からも世界共通であることがわかり、配偶者の有無や仕事、収入などにも関係なく起こることもわかっているのです。ブランチフラワー教授の発見はこの説を裏付ける格好となりました。
47.2歳というと、「ミドルエイジ・クライシス」の真っただ中。40代後半になると仕事でもプライベートでもさまざまな経験を積み、人生の折り返し地点に到達する頃。そして過去を振り返ったときに、「このままで良いのか?」と葛藤する心が芽生える方が多くいます(日本人男性の場合、47.2歳は厄年を過ぎた後ですが、この数字が厄年と近いことも気になります)。また自分の家庭(特に子どもの教育費)と親の介護などの問題に板挟みになる時期で、精神的に不安定になるとも。そのため、経済面や健康面では大きな心配要素はないけれど、幸福は感じにくくなるのかもしれません。
人生、これから
この説によれば、アラサーやアラフォーの場合、今後は現在よりも幸福度が下がっていく可能性が高いということ。でも47.2歳が幸福度のどん底なので、それを過ぎれば、また少しずつ幸福度が増していくことも分かっています。人生100年時代と言われる現代なので、「残りの50年は幸せだ」とポジティブに考えたほうがいいかもしれませんね。
価値観は人によって異なりますが、それを含めて物事はすべて変わるもの。幸福のU字型カーブは世界中のどこにでも見られるということですから、むしろ大切になるのは、ほかのどこにもない自分らしい生き方をすることができるかどうか、ということかもしれません。