日本では毎年12万人が胃がんを発症する。胃がんによって毎年5万人が亡くなっている。
胃がんの原因と言われているのはピロリ菌だ。ピロリ菌は慢性胃炎をひきおこす。胃のむかつきや胃もたれを甘く見てはいけない。胃が荒れると粘膜細胞の遺伝子障害を誘発する。胃がんのメカニズムだ。
お腹の調子が悪くなったせいで「失敗した」という話は珍しくない。下痢・便秘・おなら・腹痛という「弱点」は早めに克服しておいたほうが良い。胃腸を強くするための手間とお金をケチるべきではない。
(1)胃の知覚過敏をなおす
(2)胃に良くない食材をひかえる
(3)腸内細菌の種類をふやす
あやしい高額な健康食品は必要ない。毎日のちょっとした心がけで胃腸を強くできる。
胃の知覚過敏をなおす
現役医師が書いた『一流の男だけが持っている「強い胃腸」の作り方』(江田証・著/大和書房・刊)によれば、ピロリ菌を除去したのに胃の不調を訴える人がいるそうだ。機能性胃腸障害(ディスペプシア)という症状らしい。
1.胃酸の出すぎ(胃酸への知覚過敏)
2.胃の動きが悪い(胃の運動不全)
3.ストレス(脳からのストレスホルモンによる)このように、酸、動き、ストレスの問題で、胃カメラでは異常がないのに、不調に陥るのが機能性ディスペプシアです。
(『一流の男だけが持っている「強い胃腸」の作り方』から引用)
過敏すぎる胃をきたえるにはカプサイシンが良い。唐辛子の主成分だ。ある実験では「唐辛子を毎日少量ずつ長期間とると、みぞおちの痛みや、胃のもたれ、吐き気などの症状が軽減される」ことがわかっている。
胃に良くない食材をひかえる
胃が荒れるのは百害あって一利なしだ。塩分や脂(あぶら)たっぷりの食事が胃酸を出やすくする。過剰な胃酸分泌は、逆流性食道炎や慢性胃炎の原因になる。
胃が荒れていると消化能力が低下する。未消化のまま小腸や大腸に運ばれても栄養にならない。慢性胃炎のせいで「栄養を吸収しない体」になってしまう。そんなときに栄養サプリメントを飲んでも効果は期待できない。口に入れるものを見直して胃の調子を整えるほうが先だ。
NCI(アメリカ国立がん研究所)によれば、「がんを抑える食品」の1位はニンニクだという。2位のキャベツには抗酸化物質イソチオシアネートが含まれている。熱を加えても成分が壊れないのでどのような食べ方でも良い。ブロッコリーにも抗酸化物質スルフォラファンが含まれており、胃をたくましくする効果があるという。食物繊維も摂取できる。
腸内細菌の種類をふやす
腸内細菌は、わたしたちの健康に大きく関わっている。腸内細菌の種類が多いほど、腸の粘膜はバリア機能を発揮する。栄養を吸収するのは腸だ。腸が健康でなければ、なにを食べても意味がない。
腸内細菌の種類を増やすには、同じものばかり食べないことだ。腸内細菌の種類が少ないと腸内バリアが弱まってしまう。
腸内細菌を増やしたければ、乳酸菌であればヨーグルトやキムチや味噌などの発酵食品を食べることだ。重要なのは腸内における乳酸菌の種類(バリエーション)を増やすことなので、ヨーグルトならば一社だけにこだわらず、味噌ならば日本各地のものをまんべんなく食べると良い。(文:忌川タツヤ)
【参考文献】
一流の男だけが持っている「強い胃腸」の作り方
著者:江田証
出版社:大和書房
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