つい夢中になって何時間もプレーしてしまうビデオゲーム。楽しすぎてハマってしまうことがよくある反面、ゲームに依存しすぎてしまう中毒性が懸念されますが、この問題に対し、アメリカのブリガム・ヤング大学の研究チームが6年間に及ぶ長期の研究を行った結果を発表しました。
研究チームはビデオゲームの中毒を引き起こす前兆や要因を調べるため、385人の青年に調査を実施。1年に1度アンケートを行い、うつ症状や不安感、攻撃性、言動などについて評価を行い、6年間調査を続けました。
その結果、72%は6年間にわたり中毒症状が比較的少なく、18%は中程度の中毒症状があり、残りの10%が深刻な中毒症状の増加が見られました。
ゲーム中毒になる2つの予兆
また今回の調査で、ゲーム中毒になる予兆として2つのことが明らかになりました。それは男性であることと、社会的行動レベルが低いこと。社会的行動や、周囲の人にとって良いことをもたらす自発的な行動をとることは、ゲーム中毒症状から自身を守る要素になるそうです。
さらに、ゲーマーは安定した職につかず経済的に自立しないというステレオタイプがよく言われますが、今回の調査ではそれが間違いであることも明らかに。深刻な中毒がみられたゲーマーでも、ほかのゲーマーと同じように経済的には安定しており、自立に関しても前向きな傾向があることがわりました。
ただし、今回の調査で10%に深刻な中毒症状が見られたことは無視できません。彼らはうつ症状や攻撃性、不安感が高いなど、ゲーム中毒の症状が見られました。
WHOでは2019年、ビデオゲームのほかスマホゲームも含め、ゲームに依存する「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定。ギャンブル依存症などと同じ精神疾患として位置付けています。また厚生労働省が同年に行ったゲーム障害に関する初めての調査で、10~20代のゲーム利用者のうち7%は「授業中や仕事中など本来してはいけない状況でよくゲームをする」と述べ、また5.7%が「学業に悪影響が出たり、仕事を危うくしたり失ったりしてもゲームを続けた」と回答。ブリガム・ヤング大学研究チームの結果と同じように、およそ1割程度の人が中毒症状があることが伺えます。
今回の結果を「ゲームではそれほど中毒にならない」と捉えるか、それとも「ゲームはやっぱり中毒になりやすい」と捉えるかは人によって異なるかもしれません。この研究チームの主任は「ゲームには素晴らしい側面があると思う」と述べ、「ゲームは健康的に行い、病的なレベルに至るまでやらないことが大切です」と結んでいます。