日本でのディズニー/ピクサー歴代最高興収作品の映画「ファインディング・ニモ」の続編、「ファインディング・ドリー」が7月16日より公開される。なんと、その日本語字幕版と吹替版の海洋生物監修として、日本が誇る“お魚博士”である、さかなクンが抜擢された。実際に“監修者”としてどのように製作に参加したのか、その様子を聞いた。
「主には、細かい部分の表現のお手伝いをしたんです。もともと英語のお話を日本語に変えているので、翻訳された生物の日本語での呼び名は正しいか、などの表現にまつわる部分の訂正をしました。また、“貝に目はあるか”などの生物学的な特徴をお伝えすることもありました。スタッフの皆様は素晴らしい方ばかりで、すっギョい作品に仕上がっていますよ!」(さかなクン)
さらに今回は、さかなクンが大好きだというマンボウの声優にも挑戦している。
「自分の頭のトレードマーク、これはハコフグというお魚なんですが、そのフグの仲間の王様的な存在であるのがマンボウなんです。演じることができて非常に光栄でした。大きなお魚ですので、非常におおらかな性格・ゆったりとした感じを表現できるように心がけていました。再現すると、『わ~た~し~はマンボウだよ~~~っ』っていうイメージですかね(笑)」(さかなクン)
監修に声優と、大活躍を見せる彼だが、本作の魅力についてはこう語ってくれた。
「海の中の環境の再現が本当に圧巻です。光の差し込み方や、グレートバリアリーフ、カリフォルニアと変化する海の様子、ドリーやニモなどの一匹一匹のお魚の動き方……。どれひとつとっても妥協がなくて、スタッフの方々のこだわりが伝わってきました。このこだわりを、映画を観る方々にもぜひ感じてほしいですね!」(さかなクン)
そして、本作品のテーマのひとつが“家族の絆”。主人公のドリーが、両親を探す奇想天外な旅路が描かれるのだが、さかなクンにも、家族との忘れられない思い出があるという。
「実は学生のとき、お魚に夢中になりすぎて勉強のほうが……(苦笑)。先生からも何度も注意されていたんですが、母が『この子は魚と絵が大好きで、それでいいんです』と言ってくれたんです。まさに “自由に泳がせて”くれた。また、海や川に出かけるときには家族がついてきて見守ってくれて……。家族や周りの皆様のサポートがなければ、いまの自分はいなかったと思います」(さかなクン)
現在は、魚にまつわるお仕事で常にフル稼働中。仕事での苦労話を伺うと、彼らしい答えが。
「お仕事で大変だと思ったことはギョざいません! お魚ちゃんと関わるお仕事ができるだけで楽しくてたまらなくて……。あえて言えば、イラストの納期を守るのだけはちょっと大変かもしれませんけどね(笑)」(さかなクン)
この無尽蔵なお魚への情熱は、次にどんな形で我々を驚かせてくれるのか……。これからもその活躍に注目だ!
【プロフィール】
さかなクン
東京都出身。国立大学法人東京海洋大学名誉博士/客員准教授。お魚の情報や正しい知識、環境問題などに関する講演を全国各地で精力的に行っている。2010年には絶滅したと思われていたクニマスの生態確認に貢献。2012年には「海洋立国推進功労者」として内閣総理大臣賞を受賞した。日本魚類学会会員。
【作品情報】
ファインディング・ドリー
全国公開:7月16日(土)
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
監督:アンドリュー・スタントン、アンガス・マックレーン
声優:室井 滋、木梨憲武 ほか
<ストーリー>
「ファインディング・ニモ」の冒険から1年後。ニモの親友で忘れんぼうのドリーは “家族との記憶”を思い出し、ニモ・マーリン親子とともに両親探しの旅に出る。しかし、ドリー出生の秘密は人間の世界に隠されていた――。
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【URL】
ディズニーホームページ http://www.disney.co.jp/
撮影/中村介架