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2020/8/6 19:30

手軽だけど高画質な“VLOGミラーレス”という新たな選択肢! パナソニック「LUMIX G100」詳報

ここ数年、SNSや動画共有サービスなどに動画をアップしたり、旅や日常を動画で記録したりする「Vlog」(ブイログ/Video+Blogの造語)を楽しむ「Vlogger」が世界的に増加していて、日本でも10代や20代の若者を中心に注目を集めています。最近では、スマホなどで手早く撮るだけでなく、より質が高く美しい動画や写真を撮影して映像や画像を共有したいというニーズも高まってきました。

 

そうしたニーズに応える製品として、デジタルカメラ「LUMIX(ルミックス)」シリーズを展開するパナソニックが、Vlog撮影に最適化したミラーレスカメラ「LUMIX DC-G100」(以下、LUMIX G100)を発表。本稿では、7月28日にプレス向けに実施されたオンラインセミナーの様子を交えつつ、本製品の特徴や魅力などについて紹介していきます。

↑LUMIX G100は、W:約115.6mm×H:約82.5mm×D:約54.2mmと手に乗るほどのコンパクトさで、質量もキットレンズ付きで約412gと極めて軽量。自撮り動画なども楽々と撮影できる。発売予定は2020年8月20日、参考価格(税別)は9万7000円前後(12-32mmレンズキット)、10万2000円前後(12-32mmレンズ+トライポッドグリップキット)

 

LUMIX G100の基本スペックをおさらい

まず、LUMIX G100の基本スペックをチェックしてみましょう。

 

本機はマイクロフォーサーズ規格を採用したレンズ交換式のミラーレスカメラで、4/3型の約2030万画素Live MOS センサーを採用。約368万ドット相当の高精細なEVFや3.0型・約184万ドットのフリーアングルモニターを採用するなど“撮影の快適さ”を重視した仕様になっています。

 

動画撮影はフルHD(1080/60p)に加え、4K30pでの記録にも対応。約345g(本体、バッテリー、メモリーカード含む)と比較的軽量でハンドリングしやすく、レンズ内とボディ内の電子式手ブレ補正機能が連動する強力な「5軸ハイブリッド手ブレ補正」(4K撮影時は4軸)によって歩き撮りなどの大きなブレが発生するシーンでもブレの目立たない動画を撮影できます(ただし、写真撮影時はレンズ内補正のみ)。

 

そのほか、詳細は後述しますが内蔵マイクだけでもクリアで臨場感に富んだ音声記録が可能。さらに、動画記録についても豊かな階調を持ち、編集時に自在な色調整が可能なLog撮影に対応しているので、PCなどでの動画編集(ポストプロダクション)を前提とした本格的な映像制作も楽しめます。

↑ボディ背面はシンプルでボタン数も少ないが、背面モニターがタッチパネルなので直感的に操作可能。ISO感度やホワイトバランスなどの基本的な設定は、右手側の十字キーで素早く設定できる

 

↑上面もシンプルだが、写真用シャッターボタンに加えて独立した大型の動画撮影ボタン(赤いボタン)を配置。左手側には、スマホとの連携が素早く行える「スマートフォン転送ボタン」(Fn4のボタン)を装備する

 

↑動画撮影時には5軸ハイブリッド手ブレ補正(ボディ内5軸電子手ブレ補正+レンズ内2軸光学ブレ補正)が機能する。カメラを構えた状態での小さなブレだけでなく、歩行時などの大きなブレにも対応

 

また、対応アクセサリーとしてトライポッドグリップ「DMW-SHGR1」を用意。グリップに動画撮影用のRECボタンや写真撮影用のシャッターボタン、バッテリー節約のためのスリープボタンを備え、ミニ三脚としても機能する優れものです。

↑LUMIX G100用のトライポッドグリップ、DMW-SHGR1。単品販売のほか、本体とレンズに加えるかたちでのキットも用意される。質量は約102gで耐荷重は1.2㎏。カメラ本体のUSB Mico-B端子につなぐことで給電され、電池不要。GH5、GH5S、G9、G99、G8でもファームアップすることで使用可能になる。参考価格(税別)は9800円前後

 

↑グリップとして使用する場合は、RECボタンなどが装備されていることもあり、片手での撮影が容易。自撮りも行いやすくなる(写真上)。また、テーブル三脚としても使用できるため、食事中なども両手が空いた状態で撮影できる(写真下)。なお、カメラ本体のモニター画面のフチが赤枠で囲まれているが、これは動画記録中であることを表している。撮影ミス(撮影もれ)を防いでくれる、わかりやすい表示だ

 

「トラッキングモード録音」や「スロー&クイック動画」などVlog向け機能が充実

今回行われたセミナーの前半では「VLOGミラーレス」という新ジャンルのカメラであるLUMIX G100が紹介され、後半ではデモ実演が行われました。

↑セミナーでLUMIX G100について解説してくれた、パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 商品センターの亀井創太氏。デモ実演についても亀井氏が担当

 

↑セミナーの様子。セミナー配信用の撮影機材には、同社のLUMIX GH5が使用された

 

セミナー冒頭では、LUMIX G100の製品化のきっかけとして、カメラで動画を撮る人が増え、かつ様々なシーンでのオンライン化が加速したことでいわゆるライフログを動画で残したり、動画を共有したりする人が増えるなどして動画需要やVlogへの注目度が高まっている背景事情などが紹介されました。その後、主要な機能紹介が行われたのですが、なかでも筆者が気になったのは、本機ならではの機能といえる「トラッキングモード録音」と「スロー&クイック動画」の2つ。どちらも個性的な動画を作り出すうえで大変魅力的な機能だと思います。

 

「トラッキングモード録音」は、顔・瞳認識AFと撮影画角に連動して集音範囲(指向性や前後左右)を自動調整し、内蔵マイクだけで簡単に立体的な音の記録ができる機能。「スロー&クイック動画」は、スローとクイックのフルHD動画撮影機能がモードダイヤルに加わり、再生速度やフレームレートといった設定も素早く選べるというもの。じっくり見せたいシーンや動きを強調したいシーンなど、メリハリの効いた動画を撮影したいときに役立ちそうです。

↑内蔵マイクでの収音技術にはノキア社の「OZO Audio」の技術を採用しており、クリアな音が録音可能。さらに顔・瞳認識AFと画角に連動して収音する「トラッキングモード録音」に対応する。オート、サラウンド(360°収音)、フロント(前方収音)、ナレーション(後方収音)の手動設定もできる

 

↑スロー&クイック動画への変更はボディ上面右手側にある撮影モードダイヤルで素早く行え、詳細設定は背面モニター上のタッチ操作で行う。設定では、スロー(2×、4×)、クイック(2×、4×、8×)が選べるほか、フレームレートも選択可能。撮影はフルHDとなる

 

このほか、フリーアングル液晶モニターを反転させるだけで自動でVlog撮影に最適な設定にしてくれる「動画自撮りモード」や、ボタン1つで素早く専用スマホアプリ「LUMIX Sync」と連携できるスマートフォン転送ボタンを装備し、縦撮り動画をスマートフォンでも縦向きに再生できるといった「簡単スマートフォン連携」などについても解説されました。

↑モニターを反転させると自動で「動画自撮りモード」となり、顔・瞳認識AF/AEが機能。絞りを絞り気味にして背景がはっきりと写りやすくなる。収音も自動でトラッキングモードとなり、撮影者の声がしっかりと記録される

 

本機は、ファインダー(EVF)搭載のレンズ交換式カメラとしては非常に小型軽量なモデルで、そのボディに合うようにキットレンズも12-32mm F3.5-5.6というコンパクトなレンズを採用しています。気軽に撮るという意味ではレンズもできるだけ小型・軽量なほうが魅力的ですが、撮影シーンに応じて望遠レンズやマクロレンズ、明るい単焦点レンズといったさまざまなレンズを活用して同じ被写体でも印象の異なる映像にできる点は、本機のようなレンズ交換式カメラの魅力であり、スマホやコンパクトカメラとの大きな違いでもあります。セミナーでもキットレンズの望遠側(絞り開放)と42.5mm F1.7単焦点レンズの絞り開放の写りの変化を比較し、単焦点レンズ使用時のボケの大きさについて紹介する実演が行われました。

↑今回のセミナー実演で使用されていた「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」。実勢価格(税別)は2万7530円(編集部調べ)。F1.7とF値が小さく、背景の大きなボケ描写が期待できる中望遠の単焦点レンズ。こうした交換レンズを使いこなすことで、より質が高く個性的な映像表現が可能になる

 

「VLOGミラーレス」という新ジャンル

Vlogやライフログでの使用を意識したカメラは、これまでにも数多く登場しています。ただ、そうしたカメラの多くは、いわゆるアクションカムであったり、従来のコンパクトカメラの延長線上にあるものがほとんど。Vloggerのなかには、より本格的で質の高い映像を得るために業務用やそれに準じた高性能な動画機能を備えた一眼カメラを用いる人もいますが、それらは気軽に撮るといった用途には向きません。

 

その点でいえば、画質と手軽さという2点をバランスよく保つうえで、センサーサイズが適度に大きく、レンズ交換も可能なマイクロフォーサーズ機は、従来から動画撮影に適した機材でした。パナソニックもこれまでにGH5やGH5Sのような動画機能を充実させたマイクロフォーサーズ機を発売し、映像の分野で高い評価を得ていましたが、より手軽な動画(Vlog)撮影に最適化したのが今回のLUMIX G100といえます。

 

マイクロフォーサーズを含むレンズ交換式カメラで「VLOGミラーレス」といったVLOGに特化したキャッチコピーが冠されている製品は、2020年7月末時点ではおそらく本機のみ。その名に違わず、表現の幅を広げるスロー&クイック機能や臨場感豊かなトラッキングモード録音機能、自撮りを考慮した操作性、何よりその小型軽量さなど、随所にVlog用途を意識した工夫が見られます。スマートフォンの動画では満足できないエントリー・ユーザーはもちろん、できるだけ小さな機材で高画質に撮影したい旅行者、“Travel Vlogger”などにとっては、非常に魅力的なカメラとなりそうです。

 

製品コンセプトや想定ユーザーがはっきりしているため、LUMIX G100では、同社のLUMIX G9 PROやG99などのようにセンサーシフト式のボディ内手ブレ補正ではなく動画撮影時のみに効果のある電子式手ブレ補正を採用したり、完全機械式のシャッターを採用せず電子先幕式シャッターのみを採用していたり、連写速度が約6コマ/秒に抑えられていたりするなど、メインとなる動画撮影を重視するかたちで一部のスペックを抑えて小型化や低価格化が進められています。

 

とはいえ、高品質なEVFやフリーアングルモニター、約2030万画素の高画素センサーを採用するなど、旅先で写真を撮るといった一般的なシーンであれば不満なく撮影できる基本性能は備わっています。そのため、できるだけ軽量な機材1台で写真も動画も撮りたいといったユーザーにもおすすめできる1台だといえるでしょう。