グルメ
2020/8/31 6:15

木川瑞季氏と原田泳幸氏、台湾ティーを牽引するツートップに「ティーカフェ」の今後を訊く

2019年に一世を風靡したタピオカ。筆者は年末に「「タピオカ・ブーム」は終わるのか? 第3次ブームの第4形態にきた今、その大前提にある違和感」を書き、その動向を追っていくつもりでした。しかし2020年はコロナ禍によって、トレンドの発信地である街のティーカフェやティースタンドに攻める余裕がなくなっている状態です。

 

ある意味、まったく予想をしなかった形でタピオカ・ブームは沈静化しました。しかし一方で、スシローが8月に「シェアティー」を初上陸させるなど、台湾ティーには新たなムーブメントも見られます。そしてトレンドの火付け役である「春水堂」(チュンスイタン)と「ゴンチャ」も前進を止めていません。そこで今回は業界ツートップの各社長にインタビューし、最前線を明らかにしたいと思います。

 

↑いま、台湾ティーカフェで何が起きているのかをレポートします

 

「春水堂」はティーカクテルと乳酸菌

最初にうかがったのは、日本で「春水堂」を運営する株式会社オアシスティーラウンジの木川瑞季代表。「春水堂」はタピオカミルクティー発祥の店として有名で、6月に渋谷マークシティ店、7月に京都木屋町店とそれぞれ新規オープンさせました。ともに同社初の試みが盛り込まれていて、その狙いを知るべく渋谷マークシティ店へ。木川さんに話を聞きました。

 

↑「春水堂」の木川瑞季代表。代官山や表参道にはあったものの、実は渋谷駅前への出店はこれが初。しかも渋谷マークシティ店は過去最大規模で70席あります

 

「『春水堂』はお茶のおいしさを伝えるとともに、お茶の可能性を広げていくことを目指しているブランドです。そのためのアレンジティーであり、そこからタピオカトッピングやタピオカミルクティーが生まれました。特に昨年はブームということで多くの方に体験いただきましたが、お茶の可能性は尽きません。そこで渋谷から新たに始めたチャレンジが、お酒と小皿料理です」(木川さん)

 

台湾では、イギリスのアフターヌーンティーや日本の喫茶店のように、軽食とともにお茶を楽しむ文化が根付いており、現地の「春水堂」でも小皿料理が充実しています。そのスタイルを、日本上陸7年目にして初導入したのが渋谷マークシティ店。

 

↑お酒は「タピオカカルーアミルクティー」(550円)や「ジャスミンモヒート」(550円)など5種類あるほか、ノンアルコールカクテルも。また、現地で人気の「カリカリ黄金チキン」(650円)、「麻辣豆花」(600円)、「バタークリームトースト」(450円)など小皿も充実

 

「『お茶菓子』があるように、日本でお茶のペアリングといえばスイーツですよね。でも台湾ではお茶を小皿料理とともに楽しむんです。点心を味わう飲茶に近い感覚ですね。その一方、台湾では小皿料理をつまみながらお酒を楽しむ文化は日本ほどではなく、つまり日本のほうがお酒の食文化が豊かと言えるかもしれません。そこで、日本人がお茶と小皿料理をより楽しむスタイルとして、お酒のアレンジティー『ティーカクテル』を開発しました。この試みは日本初です。『春水堂』の特徴のひとつが食事も楽しめるイートイン空間ですが、より広いスペースのマークシティ店だからこそ、この業態を実現できました」(木川さん)

 

↑「豆花」(トウファ)をはじめ、台湾フードを日本に紹介してきた先駆けも「春水堂」。近年話題の「鹹豆漿」(シェントウジャン/写真手前)は650円で提供されています

 

新たなアレンジティーはお酒とのことですが、ノンアルコールドリンクでもこれまでにない商品を開発したと木川さん。それを今秋新発売するのが、「春水堂」のグループブランド「TP TEA」(ティーピーティー)です。

 

↑「TP TEA」の「タロイモ紅茶ラテ」(左/550円)と「アロエ翡翠ジャスミンレモンティー」(右/550円)。ノンカフェインの麦茶を使ったラテがあったり、たっぷり野菜と春雨麺のサラダ麻辣湯麺(マーラータン麺/650円~)があったりと、ヘルシーメニューが豊富な点も特徴

 

「『TP TEA』も『春水堂』と理念は共通していますが、スタイルが少々違います。例えば“黄金比率のティーラテ”を名物に、種類豊富な70以上のアレンジティーを揃えていること。より男性にもご利用いただきやすいスタイリッシュな世界観であることなどですね。設計がシンプルかつコンパクトなティースタンドなので出店しやすく、店舗の数も台湾では『春水堂』の5倍ほど多く、約250店舗あります」(木川さん)

 

日本の「TP TEA」は現在10店舗(2020年8月時点)ですが、今後台湾のように拡大していくかもしれないと木川さんは言います。そんな同店の画期的な新作が“腸活ティー”。特徴を聞くと、ポイントは乳酸菌×お茶カテキンとのこと。

 

↑新作の「ヨーグルトジャスミンティー」(500円)と「アロエヨーグルトジャスミンティー」(600円)。9月1日からの発売ですが、同社が業界で初めて導入したモバイルオーダーシステム「スマタピ」を使えば8月25日から買えます

 

「コロナ禍によって、免疫力など健康意識がより高まっていると思います。そこで注目したのが乳酸菌とお茶カテキン。ふわふわのヨーグルトフォームと爽やかなジャスミンティーを合わせ、おいしく手軽に腸活できるお茶を開発しました。タピオカよりヘルシーに、粒の食感を楽しめるアロエトッピングもオススメですよ」(木川さん)

 

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