ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、発売後1か月で目標販売台数の10倍以上もの受注を獲得した、トヨタのラグジュアリーSUVについて論じる!
※こちらの記事は「GetNavi」 2020年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
【PROFILE】
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。
【今月のGODカー】トヨタ/ハリアー
SPEC【ガソリン・G・2WD】●全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm ●車両重量:1570kg ●パワーユニット:2.0L直列4気筒エンジン ●最高出力:171PS(126kW)/6600rpm ●最大トルク:207Nm/4800rpm ●WLTCモード燃費:15.4km/L
299万円〜504万円
内装の質感は段違いに高いし、装備も満点
永福「安ドよ。ハリアーが売れているそうだな」
安ド「7月は乗用車販売台数第4位だったみたいです!」
永福「1位ヤリス、2位ライズ、3位カローラ、そして4位がハリアー。6位にはアルファードもいる。ハリアーとアルファードは、現代のハイソカーだな」
安ド「殿の言われるハイソカーとは、かつてのマーク2に代表される、バブル期に大流行した国産高級車のことですね!」
永福「うむ。当時ハイソカーは若者の憧れで、女子にも大人気だったから、みんな無理して買ったものだ。いまハリアーを買っているのは、さすがに若者中心とは言えまいが」
安ド「トヨタは、『幅広い年齢層からご注文をいただいている』と言ってます!」
永福「つまり、高額なクルマにもかかわらず、比較的若い層も購入しているということだろう」
安ド「このクルマ、カッコいいし、モテそうですもんね」
永福「つまりハリアーは、現代のスペシャルティカーでもある」
安ド「現代のソアラですね!」
永福「当時のソアラのようにはいかんだろうが、少なくとも女子に喜ばれることは間違いない」
安ド「イマドキの女子は、どんなクルマを喜ぶのでしょう」
永福「それはもう、ひたすらカイテキであることだ。加えて車高が高く、見下ろし感があること。これは災害に強そうな安心感にも結び付く」
安ド「僕の愛車のパジェロがまさにそれですね!」
永福「たぶんな。オーナーの腹が出ていなければ」
安ド「すいません、出てます」
永福「とにかく、カイテキであることが第一だ」
安ド「確かにすごく快適ですし、室内もビックリするほど高級感がありました」
永福「私も驚いた。これは先代ハリアーとは大違いだ」
安ド「先代もゴージャスで人気ありましたよね?」
永福「人気はあったが、合成皮革の質感をはじめとして、かなりニセモノぽかった。走りも、特にガソリン車は全体にヌルく、シロート騙しのクルマだった」
安ド「キビシイですね!」
永福「私は6年前、この連載ではっきりそう言っているから、確認してみなさい」
安ド「でも、新型は違うんですね!」
永福「うむ。新型はまるで違う。内装の質感は段違いに高いし、装備も満点。そして、ガソリン車でも十分走りに満足できる。乗り心地はしなやかで高級だ。ただ、今日の撮影車には、惜しい点がひとつだけある」
安ド「何でしょう?」
永福「超カイテキなシートベンチレーションが付いていないグレードなのだ。あれほど女子にウケる装備はないからな」
安ド「惜しいですね!」
【GOD PARTS 1】リアシート
リクライニング可能でゆったり座れる
快適さが魅力のクルマらしく、リアシートは広く、座り心地も良好です。さらに、若干の角度ながら後方にリクライニングさせることができます。また、前方に背もたれを倒せばラゲッジルームを拡大して使うことも可能です。
【GOD PARTS 2】ドライブモードスイッチ
ドライバーの意思に合わせて最適な走りを選べる
高級、ラグジュアリーなどと謳いつつ、ドライブモードを選ぶためのスイッチもこっそり付けられています。燃費優先の走りから、鋭い加速感を味わえるスポーティな走りまで、ドライバーの意思に合わせて走行モードを選ぶことが可能です。
【GOD PARTS 3】パワーユニット
ダイレクト感があって好フィーリング
新型ハリアーにラインナップされるのは、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドと、2.0Lエンジン。特に今回乗らせてもらった2.0Lエンジンはかなりフィーリングが良く、CVTとの相性も抜群でした。
【GOD PARTS 4】フロントフェイス
シャープな造形がエレガントさを主張
一体化したライトとグリルが先代型よりシャープになって、よりクールな印象になりました。L字型のデイランプも個性的です。力強いイメージのSUVが多いなかで、ハリアーは知的でエレガントな雰囲気を主張しています。
【GOD PARTS 5】エンジンスイッチ
重要なスイッチだから強調されている?
エンジンをスタート/ストップさせるスイッチは、インパネ中央の右下あたりに配置されていますが、この部分だけ上からぶら下がる特異な形で独立しています。それだけこのスイッチはほかのスイッチより重要ということなのかもしれません。
【GOD PARTS 6】フロントシート
寒さも暑さもなんのその 快適仕様シートを設定
中央部に色や模様が施され、形状も高級感のある雰囲気にまとめられています。また、グレードにもよりますが、シートヒーター&ベンチレーション(送風)機能が設定されているので、寒い日も暑い日も快適にドライブを楽しめます。
【GOD PARTS 7】ドア内張り
上質な空間を演出する内装の素材と加飾
ハリアーを高級SUVたらしめているのが、この内装の質感の高さです。肌触りの良い素材にパイピングオーナメントが飾られ、ドイツ製の高級SUVにも匹敵するほどの上質感を演出しています。内装色はブラウン、グレー、ブラックから選べます。
【GOD PARTS 8】デジタルインナーミラー
カメラ画像を表示して記録だってできちゃう
ドライブレコーダー(前後方録画)機能付きのミラーは、デジタルインナーミラーということで、車両後方のカメラが捉えた映像を映し出すことができます。どちらの機能も、きっとこれから主流になっていくのでしょう。
【GOD PARTS 9】USBソケット
モバイル機器を車内で使うための必需品
今回の試乗車には前席用に2つ、後席用に2つ、合計4つもUSBソケットがついていました。時代に即した装備です。また、ラゲッジルーム内には、1500W以下の電気製品が使えるコンセントを装着することも可能だそうです。
【これぞ感動の細部だ!】リアスタイル
クーペのような美しいボディラインは見事な出来映え
ボディサイドの抑揚ある美しいラインが、Bピラー(前席と後席のウインドウ間の柱部分)からCピラー(後席とリアのウインドウ間の柱部分)にかけて流れるように絞り込まれてくるラインと、リアで見事に結実しています。シャークフィンアンテナやリアスポイラー、薄型のリアライトも流線型を強調していて、とにかくスタイリッシュです。