本記事では、ホームセンター大手のカインズに取材した「2020年売れたアイテム」を紹介。「お家時間」に関わる【お掃除アイテム】【キッチンアイテム】【室内DIYアイテム】の3カテゴリーに分けて、全3回で紹介します。第1回目は、年末の今にも注目の【お掃除アイテム編】。紹介してくれたのはカインズ昭島店の立野 武店長です。それではいってみましょう!
【今年売れたお掃除アイテム①】使い捨てのマイクロファイバークロス
立野 武店長(以下、立野) ティッシュ感覚でサッと取り出せる使い捨てタイプのマイクロファイバークロスで、今年よく売れた商品です。従来の繊維では滑ってしまうような汚れも、マイクロファイバークロスなら汚れが取りやすい。そのため、おうち時間が多かった今年は特に支持がありました。
ファイバークロスを使い回す商品もありますが、何度も洗って絞るのって面倒ですよね。そしてコロナ禍でもあったため、汚れたものを取っておくというのもできれば避けたい。そういう理由から、使い捨てのこの商品が売れたと思います。また、20枚入りの使い捨てファイバークロスが398円(税込)というコストパフォーマンスの良さは、他にはないと思います。
【今年売れたお掃除アイテム②】ケースが要らないコロコロクリーナー
立野 いわゆる“コロコロ”で、この商品はケースをあえて取っています。コロコロのケースは付けたり取ったりしているうちに、ケースがどこかにいってしまうことがあります。「もういっそケース要らないんじゃないか」として開発した商品で、横に置いたり、壁にかけた際にテープの面がくっついたりしないよう、フレームが工夫されているんです。
また、市販コロコロの難点の一つが、掃除をして粘着力が弱まった後、テープをめくる際その継ぎ目がわかりにくいところ。本商品ではこれをよりわかりやすくするために、スパイラル状にテープを巻いているのも特徴です。
【今年売れたお掃除アイテム③】手を汚さずに掃除できる窓・網戸用ワイパー
立野 モップにマイクロファイバーを採用したワイパーです。前述の通り、従来の繊維では滑ってしまうような汚れも繊維1本1本が多角形構造になっているマイクロファイバーなら、洗剤がなくても取れやすいです。窓はもちろんですが、毛足の長い繊維なので網戸の目も傷つけることなく入り込み汚れを落とすことができます。柄をはずせばハンディタイプとして使うこともできる優れモノです。
【今年売れたお掃除アイテム④】スプレー一体化型の窓ガラスワイパー
立野 通常のワイパーは、水やガラスクリーナーをシュッシュッとかけた後、ワイパーで掃除していくわけですが、水を補給するためのホースやバケツが必要になります。しかし、この商品はスプレー付きのガラスワイパーなので、ホースやバケツを使用する必要がなく、手軽に窓ガラス掃除ができます。このワイパーにもモップ部分にはマイクロファイバーを採用しています。前述の通り、洗剤がなくても汚れを落としやすい点もおすすめです。
【今年売れたお掃除アイテム⑤】ヘッドがしずく型のバスクリーナー
立野 コロナ禍の巣ごもりで自宅で過ごす時間が増え、掃除する機会が増えた人が多いと思うのですが、特にお風呂の掃除を積極的にする人が増えたのか、お風呂関連の掃除アイテムはかなり売れました。中でもよく売れたのが、このバスクリーナーです。
まずヘッドが特徴で、先端をしずく状の造形にしています。このことで曲面、角などの隅々までお風呂の掃除ができるよう工夫しているんですね。また、スポンジ部分は取り換えることもでき、持ち手を短くすればハンディクリーナーとして使うこともできます。
【今年売れたお掃除アイテム⑥】非接触で開閉するくず入れ
立野 これも特に今年よく売れた商品です。非接触でフタの開閉ができるセンサータイプのくず入れです。タイムカウントダウンも表示されるので、どのタイミングで蓋が閉まるかも把握できます。内側にはゴミ袋をセットできるバケツも付いていて、本体を丸洗いすることもできます。
個人的には「くず入れにしては、高額だな」と思っていたのですが、堅調に売れ続けています。売れた理由として、やはり汚物や不衛生に感じるものを、できるだけ触りたくないというお客さまの意識があったのではないかと思っています。
【まとめ】100円ショップに負けないカインズの商品の強みとは?
ーーお掃除アイテムの中から、2020年に売れた6商品を紹介いただきましたが、どれも一般的な商品に創意工夫が加わったものが多いように感じました。そして価格も安いので、不思議に思うところもあります。
立野 これは掃除アイテムに限らないことですが、カインズでは「トレード・オフ」という開発手法を採用しています。「必要な機能は残す、さらに向上させる」としながらも「要らない機能は切り捨てる」という。ですので、従来の機能に工夫を加えながら、価格も抑えられることを実現できているんですね。
単に価格だけを見れば、100円ショップの商品でも良いかもしれません。100円ショップを競合として考え、価格の安さだけを追求した場合は、まず太刀打ちできません。また、他店さん同様に、通常の仕入れ商品だけを陳列していても、お客さまにお店に来ていただき、その場で買っていただくことはできないんです。そこで考えられたのがトレード・オフをもったカインズ独自の商品で、これこそが他店との差別化になっていると自負しています。
ーーコロナ禍で、例年売れていたものが、全く売れなくなったりしたケースもあると思います。
立野 今の時期で言うと、例年ならお正月にまつわるお歳暮の品などが売れていましたが、今年は帰省されない方も多いため、動きは少ないです。ただ、こういった「売れなくなった」商品がある一方で、今回ご紹介したお掃除アイテムは年間を通してかなり動きました。
以下は私の職務の話になりますが、「ある商品が売れなくなった。困った」ではなく、「ある商品は売れなくなったけど、その分お客さまが今多く求める商品を注力しよう」と発想を変え続けた1年でもありました。まだまだコロナ禍は終わりを見せず、さらなる感染拡大も予測されていますので、来年も引き続きお客さまに喜んでいただけるような店作りをしていきたいと思っています。
カインズで今年売れたお掃除アイテムは、やはりコロナ禍による需要を強く受けた商品が多かったように思いました。次回は【キッチンアイテム編】を紹介します。お楽しみに!
撮影/黒飛光樹
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