クエン酸が豊富な梅は、疲労回復や血液サラサラ効果などうれしい効果がいっぱい! 健康にいいことはよく知られていますが、改めて探るとそのパワー絶大です。これからの暑い季節は特に、夏バテや熱中症予防、食中毒防止に……と頼れる食べ物です。
■梅といえば、紀州。その歴史は、江戸時代から
梅には、400以上の品種があり、主に花を楽しむものを「花梅(はなうめ)」、実を楽しむものを「実梅(みうめ)」と言います。各地で、さまざまな品種が栽培されていますが、一番栽培が盛んなのは「和歌山県」。全国の収穫量約65%を占めているそうです。
和歌山県が梅の産地になったのは、江戸時代から。この土地は、イネが育ちにくい環境だったことから藩主が梅の栽培をすすめたため、盛んになったのだとか。やがて、紀州の梅干しは品質がよいことから江戸でも評判になり、この当時から、「梅」といえば「紀州」というほど、名産地だったようです。
■疲労回復、食中毒予防……。梅のパワーに注目!
「平安時代、村上天皇は梅干しと昆布茶で病を治した」と言い伝えがあったり、現存する日本最古の医学書『医心方』には、薬として紹介されているなど、昔から体にいい食べ物として広められてきた「梅干し」。実際、どのような効果があるか、『梅パワーのひみつ』(田川滋・漫画、橘悠紀・構成/学研プラス・刊)から、チェックしてみましょう。
●食中毒予防
梅に含まれるクエン酸には、ブドウ球菌や大腸菌など食中毒の原因となる菌が増えるのを抑える働きがある。
●疲労回復効果
クエン酸が疲れの原因といわれる「乳酸」を炭酸ガスと水に分解し、体外へ出す働きがある。
●糖尿病予防
血液の血糖値が上がると、糖尿病などの原因に。梅に含まれる、オレアノール酸が糖質や消化吸収をゆっくりにし、食後に急に血糖値が上がるのを防ぎます。
●血液サラサラ効果
クエン酸が血液をドロドロにする脂質を減らし、血液をサラサラに。
●高血圧予防
カリウムが血圧が上がるのを抑え、高血圧が招く脳梗塞や心筋梗塞を予防。
●インフルエンザ予防
梅エキスに含まれるムメフラールがインフルエンザウイルスを増やさない働きをして、ウイルス感染を予防。
●胃炎、胃がん予防
胃炎や胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリの活動を抑える働きがある。
その他、クエン酸には虫歯の原因となる菌の活動を抑える働き、カルシウムの吸収を助ける働きなども。また、梅干しの香り成分には、痛みを鎮静、軽減する効果などもあると言われています。
■簡単にできる! さっぱり美味しい梅レシピ
梅といえば、やっぱり「梅干し」。そのまま食べるだけでなく、アレンジレシピもオススメ。すぐにできる簡単レシピをご紹介!
◆梅ごはん(4人分)
炊飯器に米(4合)を入れ、水加減は普通にして、減塩していない梅干し(大2個程度)を一緒に入れてそのまま炊けばOK。炊きあがったら種を除き、軽く混ぜ合わせ、好みで千切りにした青じそを散らして。
◆梅ドレッシング
種を取り除き、包丁でたたいた梅干し(1個)、水にさらした玉ねぎのみじん切り(大さじ1)、マヨネーズ(大さじ1)、はちみつ(小さじ1)、こしょう(少々)を混ぜれば出来あがり。また、梅を使ったジュースも簡単。炭酸水で割れば梅ソーダに、牛乳で割ればヨーグルト風味のジュースとして美味しくいただけます。甘酸っぱい梅ジュースは、蒸し暑い季節にもぴったり!
◆梅ジュース
まず、梅(1㎏)を水洗いして、軽く水気を切ったら、冷凍庫で24時間以上凍らせる。熱消毒した3L入りの広口びんに、氷砂糖(1㎏分)と梅を交互に入れてふたをしっかり閉める。しだいに氷砂糖が溶けていき、約7日すると出来上がり。梅の実を取り出し、約80℃で15分加熱して別の容器に移し変えて、冷蔵庫保存を。4倍の水や炭酸水、牛乳などでうすめると美味しく飲めます。ちなみに、作る際に焼酎も加え、3ヵ月ほど置けば梅酒に!
また、梅干しというと塩分が気になりますが、梅に含まれるカリウムには塩分を体外に出す働きが。もちろん、食べ過ぎはよくないですが、思ったほど塩分取り過ぎにはならないようです。一粒に健康パワーをたっぷり含む梅を味方に、夏を乗り切りましょう!(文・カキヌマヨウコ)
【参考文献】
梅パワーのひみつ
著者:田川滋(漫画) 橘悠紀(構成)
出版社:学研プラス
梅干しにはすごいパワーがあって、わたしたちを元気にしてくれるって知っていたかな?日本一の梅の栽培地である和歌山県では、古くから梅の栽培に力をいれてきたよ。梅干しにはどんなパワーがあるのかな?この本を読めば、梅のひみつがよく分かるよ。