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2016/8/1 17:40

【西田宗千佳連載】x86ベースになって変わった「ゲーム機の常識」

「週刊GetNavi」Vol.45-2

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これまで、家庭用ゲーム機は「世代が変わるまでは同じ性能のものが売られ続ける」のが基本だった。実際には、パワーアップアダプタのようなものが出たこともあったし、差別化バージョンが出たこともあった。また、出荷時時期によってごく小さい違いだが、性能が変化したこともあった。しかし、それらはごくイレギュラーなことに収まってきた。ビジネスモデルとしては「お金をかけて開発・製造した同じ製品を、5年から8年にわたって長期に販売することで収益を最大化する」ことが勝利の鉄則だ。

 

しかし、PlayStation 4(PS4)世代以降の製品では、「時期がどうなるかはともかく、互換性を維持したまま性能アップするモデルへと変わるのでは」という予想が語られることが多くなった。

 

理由は、CPUのアーキテクチャがAMD社のx86系になり、LSIの再設計時などに、漸近的に進化するPCの事情を反映しやすくなったためだ。PCは、CPUの世代が変わっても互換性が維持されていて、なだらかに進化するのが当然である。これはスマホも同様だ。一方、ゲーム機は世代によって、プレイできるゲームも性能も異なる「断絶」があったが、これからは変わるのではないか、という予想である。

 

とはいうものの、筆者の予想はちょっと違った。ゲーム機の世代が同じ、すなわちPS4世代の間は進化させず、次の世代、要は「PS5(仮)」が出た時に、新しい要素を付加しながらもPS4世代との互換性を保つのでは、と予想していたのだ。ゲーム機は「仕様が固定されている」ことに良さがある。ゲームソフトを作るうえで、ハードが常にどれも同じ性能・機能であるため、作り込みやすく動作検証も容易である……という事情があるからだ。PCはCPUだけでなく、GPUやメモリ容量、ストレージ容量に加え、OSのバージョンやインストールされている他のアプリまで環境がバラバラだ。その自由度こそが良さだが、ソフトを作り込む側にとっては厳しい。同じ名前のゲーム機なのに複数種類があると、開発は大変になる。

 

そうしたことはゲーム機を開発する側もわかっている。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のアンドリュー・ハウス社長は「PCやスマホよりは変化はゆるやか。バリエーションが極端に増えることはない」と説明する。では、ゲーム機の鉄則を破ってまで進化させたかった背景にはなにがあるのだろう?

 

そこにあるのは、日本からは見えづらいゲーム市場の変化と、ゲームの作られ方の変化がある。その辺の詳細は次回のVol.45-3にて。

 

●Vol.45-3は8月8日(月)更新予定です。

 

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