【2020年売れるモノ総まくり】[KeyWord05]サステナブルフード
2020年は大手メーカーの商品ほか、コンビニやチェーン店での販売をよく見かけるようになったサステナブルフード。その最前線を、ふたつのトピックを中心に紹介する。
フードライター・中山秀明さん
2020年は大豆ヨーグルトにハマッた。下記のフジッコのほか、ポッカサッポロの「ソイビオ豆乳ヨーグルト」もお気に入り。
大豆を使って美味しくリプレイス「動物性食材の置き換え」
サステナブルフードのなかで最もポピュラーなのが、動物以外の原料から作られた食材だ。代表的な大豆商品を中心に、活用されている例を紹介しよう。
【肉】大豆製のハンバーグを使った味も量も大満足なサンド
ドトールコーヒーショップ
全粒粉サンド 大豆ミート 〜和風トマトのソース〜
360円(354円/テイクアウト)
全粒粉入りのパンと、大豆を主原料としたハンバーグがメイン。あらごしとピューレのトマトソースやきんぴらごぼうをふんだんに使い、食べ応えも満足できるサンドだ。
【肉】大豆ミートで作った旨辛いそぼろが美味!
ファミリーマート
四川風旨辛そぼろ丼
498円
豆板醤や花椒で味付けした辛味のある大豆ミートを使った丼。きくらげのナムルや味付けメンマなどの具材と大豆ミートを混ぜながら食べる。同社では今後も大豆ミート惣菜を増やしていく予定だ。
【ミルク】ナッツから生まれたまろやかな味の植物性ミルク
キッコーマン
マカダミアミルク
実売価格139円
オーストラリア産のマカダミアナッツを100%使用。乳製品は不使用。ナッツならではのクリーミーでまろやかな味わいが特徴で、小腹が空いた時やリフレッシュしたいときなどにオススメだ。
【ヨーグルト】大豆を滑らかに加工したとろーり食感が魅力
フジッコ
大豆で作ったヨーグルト
実売価格278円
「カスピ海ヨーグルト」シリーズで培った乳酸菌発酵技術を活用。うす皮を取り除いた大豆を丸ごと滑らかに加工する独自製法によって、大豆由来の自然な風味と、とろ〜りとした食感を実現した。
欧米フードベンチャーの動きに注目が集まる
SDGsの浸透とともに広がるサステナブルフード。その代表例が、大豆など動物以外の原料で作られた食材「代替肉」だ。世界的な人口増加による食糧危機への対策や、家畜の飼育による環境負荷軽減に繋がるたんぱく源として期待されている。最近では、コンビニなど全国展開する店舗での取り扱いが増加。認知の拡大により品数や取扱店が増える好循環が生まれている。また、フードベンチャーの起業も増えており、2021年はさらなる市場拡大が予想される。
さらに、大きなティッピングポイントとして注目されているのが、ベジタリアンやヴィーガン食が日本より色濃い欧米カルチャーの上陸だ。台風の目は、「ビヨンド・ミート」という米国の有名スタートアップ。現地ではマクドナルドと共同でパティを開発したことが発表されて大きな話題となっており、勢いに乗って日本に上陸するという流れも十分に考えられる。
いずれコロナ禍が収束すれば、またグローバルな交流が盛んとなり、食文化の広がりも加速する。代替肉からは今後も目が離せない。
【ネクストヒットの理由】
2030年のSDGs達成に向けて日本でも大きなムーブメントに!
「SDGsは2030年の達成に向けた世界的な目標であり、当然日本も取り組むべきムーブメント。家電やファッションなど他分野の熱も高く、相乗効果により今後も盛り上がるはず」(中山さん)
【コレがトレンドの兆し!】
大塚食品
ゼロミートシリーズ
322円〜
キャッチコピーは“肉じゃないのに、そこそこ美味い!”。電子レンジかボイル調理がオススメのハンバーグタイプのほか、焼いてもおいしいソーセージタイプ、加熱なしでも絶品のハムタイプがある。
昆虫食も続々登場!
ロスされがちな食材を斬新なアイデアで新しい食品に「アップサイクルフード」
廃棄されるはずの食材にひと工夫を加え、より高価値に生まれ変わった食品がアップサイクルフード。食品廃棄物を減らす取り組みとして注目されている。
植物をゼンブ生かした斬新な食品ブランド
ミツカン ZENB
野菜、豆などの植物を、可能な限り丸ごと使った食品ブランド。野菜とオリーブオイルだけで作ったペースト、黄えんどう豆100%の麺、野菜に豆や穀物などを加えたスティック菓子など種類も豊富だ。
有名シェフのパンの耳を活用した食事に合うクラフトビール
AJB Co.
ブレッド
660円
イノベーティブフレンチの旗手・生江史伸さんのベーカリーから出るパンの耳を活用したクラフトビール。ローストしたパンの風味が香る、食事と合わせやすいさっぱりとした味に仕上がっている。
廃棄処分寸前のナッツをザクザク食感のおやつに
スナックミー
アップクランチナッツ
1380円
おやつのスタートアップ企業が、廃棄処分寸前のアーモンドをアップサイクル。スペインの希少なアーモンド品種「ラルゲタ」をオートミールと混ぜてベースにし、ザクザクした食感に仕上げた。
形が揃っていないだけでおいしさはそのまんま!
グリコ
冬のくちどけポッキー ふぞろい品
2400円(8箱セット)
「冬のくちどけポッキー」の製造工程で少し欠けたり折れたりと、見た目の基準をクリアできなかった商品のアウトレット。おいしさはそのままながら安価で、毎年大人気を博している。
●常時販売商品ではありません
米国で正式に定義されたことで取り組みがよりクローズアップ
これまでも環境に配慮した商品はあったが、最近新たに注目されているのが“アップサイクル”という考え方。資源を再利用するリサイクルや、廃棄せずに繰り返し使うリユースとは異なり、廃棄物や古くなったモノの素材をそのまま生かし、新たな価値を付けて別のより良いモノに作り変えた商品のことだ。食品に関しては、2020年春に米国の業界団体が正式にアップサイクルの定義を制定したことで、改めてクローズアップされ始めている。
“もったいない文化”が根付いている一方で、食品安全基準の高さなどからフード廃棄大国でもある日本でも、SDGsの広がりとともにアップサイクルフードの取り組みが盛り上がっている。大手メーカーの新ブランド立ち上げや商品化も増えている昨今。2021年も、このムーブメントに注目だ。
【ネクストヒットの理由】
“もったいない”が根付く日本ならヒットするのは間違いなし
「日本は“もったいない文化”が根付く国。国民性として食品ロスに対する意識は高く、新トレンドのアップサイクルフードとして広まれば、積極的に買う人も増えるでしょう」(中山さん)
まだある! 注目のサステナブルフード
マイボトルの習慣化を目的にした給水サービス
無印良品
自分で詰める水のボトル
190円
マイボトルの携帯の習慣化による、ペットボトルのゴミ削減が目的。2020年夏の発売と同時に無料で使える給水機も店舗などに設置された。不要になったボトルは各店舗で回収。
環境にやさしい穀物を使った世界初のビール
パタゴニア
ロング・ルート・ウィット
484円
枯れずに何年も成長する環境にやさしい多年生穀物「カーンザ」を、世界で初めてビールに。洋梨やコリアンダーの香りが華やぐ、すっきりした味わいだ。ペールエールもある。
再利用容器を使った新たな販売システム
テラサイクル
Loop
米国のリサイクルベンチャー・テラサイクルによる、容器を回収して再利用するプロジェクト。イオンやロッテ、キリンビールなど国内大手23社の商品が2021年春から発売される。
中身を飲んだ後にそのまま食べられる器
アサヒビール
もぐカップ
アサヒビールが丸繁製菓と共同開発した食べられるコップ。国産のじゃがいもでん粉が原料。2020年11月に都内の会員型コワーキングスペースや飲食店でテスト展開された。