デジタル
2020/12/30 17:00

暮らしの中心になったSNS、2021年にどう変わっていくのか? ITジャーナリストが大胆予測!

2020年もそろそろ終わり。皆さんにとって、今年はどんな一年でしたか? ほとんどの人は新型コロナウイルスの影響で生活スタイルが一変した年ではないでしょうか。在宅ワークに切り替わって出勤が減ったり、旅行やレジャーを控えて家で過ごしたりすることが多くなりました。

 

そこで、WebサービスやSNSを使って交流を始める人が増えました。オンラインミーティングやオンライン飲み会、オンライン授業など、急にデジタル化が進みましたね。そんな今年のSNSを振り返りつつ、来年を大胆にも予測してみます。

 

【2020年の動き1】バトンやリレー、「#おうち時間」で交流

2020年4月に出された緊急事態宣言から一か月、SNSで流行ったことといえば「リレー」や「バトン」。「#○○リレー」や「#○○チャレンジ」などのハッシュタグを付けて、それぞれのルールに則った投稿をします。投稿するときに次の人を指名するサプライズ感も人気の理由でした。

 

Facebookでは、おにぎりを作る「#おにぎりリレー」、音楽アルバムを紹介する「#アルバムチャレンジ」、好きな本を7日間紹介する「#7日間ブックカバーチャレンジ」などがありましたね。腕立て伏せをする動画を載せる「#腕立て伏せチャレンジ」も盛んに投稿されました。

 

一方、Instagramでは若者を中心に「#にんじんリレー」が流行りました。ストーリーズ機能を使って、順番ににんじんを描いていくリレーです。わざと下手に、もしくはふざけて違う絵を描くなどして、回していきます。大人に流行ったリレーと異なり、遊び要素が強いリレーですね。

↑「#にんじんリレー」の投稿例

 

また、「#おうち時間」というハッシュタグで、手料理やテイクアウトのスイーツなどを投稿する人も多い年でした。若い世代は「#おうちピクニック」と題して、部屋の中にレジャーシートを広げ、カップケーキやドリンクなどを並べた様子を投稿することが流行りました。シートやお菓子はもちろんおしゃれに。「推し(好きなアイドルやキャラクターなど)」の写真を一緒に並べる人もたくさんいます。

 

バトンやリレーは、あまりにも目にする機会が増えてしまったこと、指名というシステムにプレッシャーを感じる人もいることなどから、少しずつ流行は終わりました。でも、また新型コロナが猛威を振るい始めた今、引き続き「#おうち時間」を楽しむことは大切ですね。テレワーク用に大きなディスプレイを買ったり、人気の調理家電で作った料理を載せたりと、友達にも役立つ投稿が喜ばれそうです。

 

【2020年の動き2】一般ユーザーも著名人もライブ配信

コロナ禍で急速に使われるようになった機能が、Instagramの「ライブ」配信機能でしょう。Instagramのストーリーズにある「ライブ」は、スマホだけでライブ配信ができることから、自分のフォロワーに向けて気軽にライブ配信を行っていました。もちろん、今でもよく使われています。

 

Instagramのライブ配信が注目を集めたのは、2020年5月に行われた俳優の石田ゆり子さんの配信がきっかけのひとつでした。他のユーザーと2人で配信できるコラボ機能を使って、芸能人の友人を突発的に招いてライブ配信を行ったのです。ゲストにはミュージシャンの星野源さん、俳優の斎藤工さん、妹の俳優石田ひかりさんなどが登場し、何が起きるかわからないライブ感に多数のユーザーが集まりました。また、星野源さんがInstagramに「うちで踊ろう」の動画をアップしたことも話題になりました。こちらはライブ配信ではなかったのですが、多数のコラボが生まれましたね。

 

SNSはスマホの性能やネット回線の速度が上がっていくにつれ、テキストから画像中心に、そして動画、ライブ配信へとコンテンツが変わってきています。ライブ配信はこれまで専用の機材などが必要でしたが、今ではスマホさえあればアプリですぐに配信できるようになりました。

 

何が起きるかわからない臨場感、そして配信者との距離の近さ、コンテンツを作り込まなくても配信できる気軽さなど、ライブ配信には魅力がいっぱい。好きな芸能人やアーティストがいるなら、Instagramのアカウントをフォローしておくことをおすすめします。突然ライブ配信を始めるかもしれませんよ。

↑Instagramのコラボ配信機能

 

ライブ配信はコミュニケーションやエンターテインメントの披露の場に使われていますが、今後はライブコマースに注目です。ライブコマースとは、インフルエンサーや人気のライバー(ライブ配信者)がライブ配信で商品を売ることです。イメージとしては、テレビショッピングが近いでしょう。

 

Instagramは、ライブ配信中の商品をInstagram内で購入できる「ライブショッピング機能」をアメリカでテスト中です。TikTokでも、アメリカでウォルマートがライブコマースを実施したばかり。中国ではライブコマース市場が急速な成長を遂げており、その市場規模は2020年末までにの9,000億元(約14兆円)に達するとの予測もあります。国内でも、ショッピングサイト運営会社などがライブ配信事業を始めています。自分の好きなインフルエンサーやライバーがおすすめしてくれる商品なら、つい買ってしまいそうです。コロナ禍でオンラインショッピングの需要が高まっている今、ライブコマースの成長にも注目です。

 

【2020年の動き3】InstagramがTikTokのような、TwitterがInstagramのような機能をリリース

今年は、他のSNSにある機能とそっくりな機能がリリースされる年でもありました。Instagramの「リール」は、TikTok対抗と言われる短尺動画の投稿機能です。最大15秒で音楽をBGMに付けられ、映像エフェクトも簡単に施せます。Instagramとしては、投稿を行う「フィード」、24時間で消える「ストーリーズ」、長尺動画「IGTV」に加えて短尺動画「リール」を実装したことで、様々なユーザーのニーズに応えられるプラットフォームへと成長しました。

↑Instagramの「リール」機能

 

そのInstagramのストーリーズに似ている機能をリリースしたSNSが、Twitterです。Twitterの「フリート」は24時間で消える投稿機能です。テキスト、画像、動画を投稿でき、絵文字やメッセージで反応するとDM(ダイレクトメッセージ)で送られるところ、誰が閲覧したか記録が残る点などが、ストーリーズと酷似しています。

 

リールもフリートもまだリリースされたばかりということもあり、エフェクトの種類や機能が少なく、まだ本家に追いつくには時間が掛かりそうです。しかし、同じような機能でも、それぞれのプラットフォームの個性が出てくると使われ方が変わります。両機能とも2021年以降が楽しみです。

↑Twitterの「フリート」機能

 

今年はTikTokの人気が急上昇し、TikTokから楽曲や小説がヒットするなど、コミュニケーション以外でもSNSの力を見せつけられる一年でした。一方で、災害も含めて未曾有の危機に陥ったとき、SNSにはデマやフェイクニュースが生まれやすいという傾向があり、人々のストレスが特定の人物への誹謗中傷に向かうこともありました。各プラットフォームは警告を出したり、きめ細やかに設定できる機能をリリースするなどして健全な環境作りへの施策を行っています。

 

コロナ禍でますますオンラインの比重が高まり、SNSも実際の生活と強く結びついていきます。2021年のSNSは、同じ時間を共有したり、ネットでのクチコミを重要視するなど、オンラインでも人の温度を感じる交流が増えそうです。