動画配信サービスの普及によって、テレビでネット動画を見るためのセットトップボックス(STB)を使う人が増えています。最近は、HDMI入力端子に直接挿せるスティック型端末が増えて、「ストリーミングメディアデバイス」や「ストリーミングメディアプレーヤー」などと呼ばれることも。この記事では、ボックス型もスティック型もまとめて「ストリーミングメディアデバイス」と呼ぶことにします。
そのストリーミングメディアデバイスですが、Amazonの「Fire TV」、Googleの「Chromecast」、Appleの「Apple TV」が主流。どの製品を選んでも、「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」「Hulu」など、人気の動画配信サービスは観られます。遊べるタイトルには差があるものの、ゲームが楽しめるのもポイント。
今年の2月から、Fire TVとChromecastもアップルの動画配信サービス「Apple TV」(注:Appleはデバイスにもサービスにも「Apple TV」という名称を使っています)に対応しました。つまり、ふだんiPhoneで「Apple TV」を観ている人は、同社の「Apple TV」ではなく、他社のデバイスを選んでも「Apple TV」を観られるようになったわけです。
各社のデバイスは、スペックが異なる複数のモデルを用意。主な違いはビデオ解像度ですが、それ以外にも違いはあります。購入に際して、チェックすべき違いをまとめてみました。
Fire TV Stickの2モデルはほぼ共通の機能
まず、AmazonのFire TVシリーズですが、現在は「Fire TV Stick(第3世代)」「Fire TV Stick 4K」「Fire TV Cube」の3モデルが販売されています。スペックの違いは下記の通り。
Fire TV Stick(第3世代) | Fire TV Stick 4K | Fire TV Cube | |
価格 | 4980円 | 6980円 | 1万4980円 |
最大解像度 | フルHD(1080p/60fps) | 4K(2160p/60fps) | 4K(2160p/60fps) |
HDR規格 | HDR10、HDR10+、HLG | HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Vision | HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Vision |
Dolby Atmos | ○ | ○ | ○ |
プロセッサ | クアッドコア(1.7GHz) | クアッドコア(1.7GHz) | ヘキサコア(最大2.2GHz) |
メモリ(RAM) | 1GB | 1.5GB | 2GB |
ストレージ | 8GB | 8GB | 16GB |
音声リモコン | ○ | ○ | ○ |
ハンズフリー操作 | × | × | ○ |
スマート家電を操作 | × | × | ○ |
内蔵スピーカー | × | × | ○ |
本体サイズ | 86×30×13mm | 99×30×14mm | 86.1×86.1×76.9mm |
重量 | 32.0g | 53.6g | 465g |
Fire TV Stick(第3世代)とFire TV Stick 4Kは、どちらもスティック型です。両モデルは、解像度を除けばほとんど差はありません。4Kのテレビを持っている人や近いうちに買う予定がある人はFire TV Stick 4Kを選ぶべきですが、テレビがフルHDならFire TV Stick(第3世代)を選んだほうがお得です。なお、Fire TV Stick(第3世代)は2020年9月に発売されたモデルで、それ以前のモデルはHDRおよびDolby Atmosには対応していません。メルカリなどで買う場合は注意しましょう。
Amazonはボックス型の上位モデル「Fire TV Cube」も販売しています。4K対応で、ストリーミングメディアプレーヤーとしての性能はFire TV Stick 4Kと同等。加えて、「Amazon Echo」のように、スマートスピーカーとしても使えます。価格は高めですが、1台2役の便利なデバイスです。
テレビが4K非対応でも “with Google TV” を選ぶのが得策
Googleは、スマートフォンまたはスマートスピーカーから操作してテレビでコンテンツを再生できるChromecastを販売しています。シンプルな操作性で人気があるデバイスですが、昨年、このChromecastが大きな進化を遂げました。「Google TV」という機能が追加されたのです。
Google TVは、Googleのスマートテレビ向けOS「Android TV」と同じプラットフォーム。最新の「Chromecast with Google TV」をテレビに挿してインターネットに接続させれば、ネット動画非対応のテレビをスマートテレビのように使えるわけです。従来のChromecastとは異なり、付属のリモコンだけで操作が完結するようになりました。
Googleのストリーミングメディアデバイスは、2021年4月現在、フルHDの「Chromecast(第3世代)」と、4K対応のChromecast with Google TVの2択です。
Chromecast(第3世代) | Chromecast with Google TV | |
価格 | 5072円 | 7600円 |
最大解像度 | フルHD(1080p/60fps) | 4K(2160p/60fps) |
HDR規格 | × | Dolby Vision、HDR10、HDR10+ |
Dolby Atmos | × | ○ |
音声リモコン | × | ○ |
Google TV | × | ○ |
スマート家電を操作 | × | ○ |
本体サイズ | 162×51.8×13.8mm | 162×61×12.5mm |
重量 | 40g | 55g |
両モデルは解像度やHDR対応のほかに、機能においても大きな違いがあります。Chromecastは、スマホで見たいコンテンツを表示させて、テレビにキャスト(切り替える)する使い方が主流です。一方、Chromecast with Google TVでもキャスト操作はできますが、スマホが手元になくても、リモコンで操作が完結します。また、Google TVに対応しているため、テレビ画面に最適化されたインターフェイスで、アプリをダウンロードして楽しめるのもポイント。
両モデルの価格差は2528円。自宅のテレビが4Kに対応していなかったとしても、Chromecast with Google TVを選ぶのが得策でしょう。ただし、コストを優先するなら、Chromecast(第3世代)を選ぶのもアリ。「Googleフォト」に保存した写真や動画をテレビの大画面にキャスト、といった操作はChromecastでも同じようにできます。
Apple TVは「テレビの解像度」で選べばOK!
Appleの動画配信サービス「Apple TV」だけでなく、「Apple Music」「iCloud写真」などのサービスを利用している人には、「Apple TV」が便利でしょう。Apple TVは、高性能チップと大容量ストレージを備えているなど高性能ですが、他社のデバイスよりも割高になるので注意。
2021年4月現在、アップルが販売しているApple TVは2モデル。解像度がフルHDまでの「Apple TV HD(第4世代)」と、4K対応の「Apple TV 4K」です。両モデルの主な違いをまとめてみました。
Apple TV HD(第4世代) | Apple TV 4K | |
価格 | 32GB:1万7380円 | 32GB:2万1780円 64GB:2万3980円 |
最大解像度 | フルHD(1080p/60fps) | 4K(2160p/60fps) |
HDR規格 | × | HDR 10、Dolby Vision |
Dolby Atmos | × | ○ |
プロセッサ | A8チップ | A10X Fusionチップ |
音声リモコン | ○ | ○ |
本体サイズ | 35×98×98mm | 35×98×98mm |
重量 | 425g | 425g |
2モデルの違いはシンプル。解像度とHDR、Dolby Atmosへの対応の有無。チップの違いは、そのまま処理速度の違いと捉えていいでしょう。テレビが4K非対応で、性能よりも価格を重視するならApple TV HD(第4世代)、テレビが4K対応ならApple TV 4Kを選ぶべきです。
なお、アップルは2017年9月にApple TV 4Kを発売して以来、新モデルを発表していません。そろそろ発表されるのでは? と噂されている最中です。Apple TVの購入を考えている人は、ちょっと様子を見たほうがいいかもしれませんね。
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