全国を走る路面電車の旅 第7回 富山ライトレール
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富山駅北口の停留場と、日本海側の岩瀬浜駅間を走る富山ライトレール。“ライトレール”の名の通り、新しい低床タイプの路面電車が走る路線だ。車両の愛称は「ポートラム」で、白いボディに虹色にちなんだ7色・7編成が富山駅と郊外を結ぶ。
【歴史】誕生は10年前ーーJR富山港線の専用軌道が生かされた
富山ライトレールが誕生したのは2006(平成18)年のこと。日本で最も新しく生まれた路面電車の路線だ。ライトレール(LRT)とは、輸送力が軽量な鉄道システムのことを指す。必ずしも路面電車のことを指しているわけではないが、日本では、低床の車両が導入された新しいタイプの路面電車のことをライトレールと呼ぶことが多くなっている。
路線は富山駅北から北へ向かって走る、岩瀬浜までの7.6km区間。富山駅北から奥田中学校前までは、併用軌道が主体だ。その先の奥田中中学校前と岩瀬浜の間は、元JR富山港線だった路線で、専用軌道となっている。ちなみに、富山港線は2006(平成18)年2月28日に運行を終了。事前に富山駅北と奥田中学校前の間の路線を建設していたこともあり、スムーズに路線の切り替えが行われ、同じ年の4月29日に富山ライトレールとして再出発した。
こうしたローカル線から路面電車路線への切り替えというのは例を見ない。その後、富山ライトレールの経営は例年順調に推移していることから、赤字に苦しむ地方鉄道の一つの再生方法と言うことができるかもしれない。
【車両】7色の7編成は路面電車とは思えないほど静かでスムーズ
富山ライトレールの車両は、「ポートラム」の愛称を持つTLR0600形。2車体連節式の低床車で、7編成が走っている。それぞれ、白い車体に赤・橙・黄・黄緑・緑・青・紫の7色のアクセントカラーが施され、車内はセミクロスシート仕様。揺れや走行音などはほとんど感じられず、快適だ。
【沿線風景】かつて北前船の交易で栄えた岩瀬の旧市街へ
北陸新幹線の駅として生まれ変わった富山駅。その北口正面にある富山ライトレールの富山駅北のホームに、白いボディに鮮やかなアクセントカラーが入った電車が停まる。発車の時間がくると、静かに、そして滑るように電車は動き出す。路面電車とは思えないスムーズさ。駅前の通り横に設けられた専用軌道を走り、交差点を抜け、途中まで併用軌道を走っていく。
専用軌道は元JRの路線だったこともあり、走りはスムーズ。単線のため途中駅で対向する電車とのすれ違いがあるものの、ほぼ時間通りに電車は走る。沿線には商業施設や競輪場などがあり、利用者は日中でも多い。地域に密着した便利な路線なのだ。
途中の東岩瀬駅からほど近い旧岩瀬地区市街には、古い海鮮問屋の建物が残っており、訪れる観光客も多い。また、さらに北へ歩くと岩瀬浜の海岸に出る。海岸から眺める立山連峰の景色は雄大そのもの。夏には海水浴場としてもにぎわっている。2022年ごろまでには、富山駅の南側を走る富山地方鉄道の市内電車と線路を結ぶ予定。今後さらに便利な路線となりそうだ。
【TRAIN DATA】
路線名:富山ライトレール線(富山港線)
運行事業体:富山ライトレール
営業距離:7.6km
軌間:1067mm
料金:200円(全線均一)*ICカード利用180円
開業年:2006(平成18)年