『電波少年シリーズ』(日本テレビ系)といったバラエティ番組をはじめとするテレビ番組やラジオ、またまた歌手としてのライブ活動など多忙を極める松本明子さん。
そんな松本さんが軽自動車をベースとする軽キャンピングカーのレンタカー「オフィスアムズ」をオープンしたと聞き、本人にその真意を直撃!アポなし、とはいかなかったものの、ひと味変わったレンタカー屋さんの実態をうかがいました。
(撮影・構成:丸山剛史/執筆:手束 毅)
開業のきっかけは「もっとお手軽に登山をしてほしい」から!?
──私もそうですが、読者が一番知りたいのは松本さんがどうしてキャンピングカーのレンタル業を始めたかです。きっかけは何だったのですか?
松本 これはですね、去年の9月の末に山登り初心者だった私が、長野県と富山県にまたがる北アルプスの名峰「唐松岳」に初めて本格的な登山を経験したのですよ。標高が2696mで往復7時間くらいかけて登った頂上はまさに絶景でした!
頂上で味わった感動を胸に下山し自宅に戻ったのですが、今日の登山で私は何人の方とすれ違ったかなとふと振り返ったら1000人はいたなと。1回の登山で1000人の方とすれ違うって凄いなと思うとともに、そんな人達がもっとお手軽にリーズナブルに登山できる方法はないかと思いついたのです。
というのも、その時、私は登山のために前乗り前泊し宿泊、最寄り駅からレンタカーを借りてもいましたから結構お金がかかったんですね……。
また、2700m近くの山に登るのに重いリュックを背負ってテント泊をする人は大変だなと。もうちょっとリーズナブルにお手軽に、あと移動と宿泊を一緒くたにできないかとそのときから考えはじめました。
──そこで思いついたのが軽キャンピングカーのレンタル業だったと。
松本 例えば軽トラの荷台にテントを載せてそこで寝るのはどうだろうと、イラストを描いてみたのですが、よくよく考えたら走行中にテントが吹き飛ばされてしまうじゃんとか、そんなうまくいかないよねとネットで検索してみたらあったんですよ、軽トラの荷台にテントを載せた車両が!
それがバグトラ(※販売先の正式名称はBug-truck Camper Pro.)で、青森県の「カーファクトリー・ターボー」さんが製作・販売されていた車両なのですが、もう一目惚れをしちゃって。
すぐに「タレントの松本明子と申しますけれど、バグトラを手に入れるのはどうしたらいいのでしょうか?」と“アポなし”で電話をかけたところ、関東エリアで神奈川県にある「ブロー」さんという車両の架装会社が販売していると教えてくれて、翌日にはそのお店にうかがいました。
お店にはバグトラ以外にも車両があり、ネコバス風のブギーライダーもありますよと紹介されて、その車両も一目惚れしちゃったんですよ!
どちらも車中泊できます、とのことだったのでその2車種を揃えてレンタカー業を開こうと決めました。
ターゲットは大学生とか若い夫婦やカップル
──お店では現在、バグトラックとブギーライダー、それぞれ2車種が用意されています。これらの特徴を教えてください。
松本 まず、バグトラは軽トラック「ダイハツ・ハイゼットジャンボ」をベースに、荷台には網戸付きテントキットを装着した軽キャンピングカーです。荷台には木製フロアキットを装備し、マットを敷くことで車中泊が可能なスペースになります。
あと、キャビンと荷台の境目にある背面ガラスをスライド式にしたので、座席シート裏に置いた荷物などを寝室から取り出すことやキャビンの熱や冷風を荷台スペースに入れることもできます。
もうひとつのブギーライダーは軽1BOXバン「スズキ・エブリイ」をブローさんがアメリカンスクールバス風にカスタムした車両です。私は「ネコバス」と呼んでいますけど(笑)。
リアシートを倒すとフルフラットな空間となり、ベッドキットを取りだせば大人2人がゆったりとくつろげる広々スペースが現れます。
そちら2車種4台には運転時にあるとうれしいバックモニター付きドラレコ、ETC、カーナビ、USBポートが標準装備されているのも特徴です。
──それぞれ、2台ずつ用意されていますね。違いはあるのですか?
松本 バグトラ2号はオーバーフェンダーや鹿よけグリルガードを装着して1号と比べ、よりワイルドに仕上げました。かっこいいでしょ!
ブギーライダーは1号、2号のボディカラーがまず違います。2号のグリーンは可愛いと、とくに女性の方に人気ですね。
あと、ブギーライダー1号にはタワー型ルーフテントを装着しているので乗車定員4名が車中泊できるようになりました。
──当初、ブギーライダー1号にはルーフテントがなかったと記憶していますが、車両に改良が加えられているのですね。
松本 そうなんですよ! お客様からの要望などから少しずつではありますが内外装に手を加えています。ブギーライダーの車内に設置したサイドテーブルは、私が東急ハンズで材料を購入し自作しました(笑)
──それは凄い!お店では軽キャンピングカーを用意していますがお客さんはどのような層をメインターゲットにして開業したのでしょうか。
松本 やっぱり東京に住んでいる大学生とか若い夫婦とかカップルとか、免許は持っているんだけどクルマを持つことが難しい方が中心かなと想定していました。都内は駐車場が1台あたり月額3万円くらい、それ以外の維持費もかかるしで簡単に所有できないですからね……。
そういう方にレンタカーを利用していただき、借りる車両も軽自動車ベースなので安い。なるべくリーズナブルに登山やキャンプをするお供に使って貰えればうれしいなと思って。
利用者の3割は海外からの観光客
──とはいえ、開業までの苦労もあったと思います。
松本 苦労というわけではないのですが、お店を開こうと思ってから準備に時間がかかりました。レンタカー業に必要な「自家用自動車有償貸渡業の許可」を取得するため手続きを司法書士さんに依頼し、運輸局の審査、許可の取得、車両の登録などそれらの工程が半年くらいかかりました。
──そうやってキャンピングカーを扱うビジネスを展開しはじめられましたが、以前からアウトドアやキャンプに興味があったのですか?
松本 ソロキャンプでおなじみのヒロシさんではないので、もうアウトドア初心者ですけど河原でバーベキューくらいはやっていました。
でも、もともと天気が良くなると出かけたくなる症候群があったみたいで。それは四国の田舎町で育ったことが原点にあるのかもしれないですね。
──現在、空前のキャンピングカーブームとも言われていますが、軽自動車をベースとしたキャンピングカー以外の車種を用意する予定はありました?
松本 レンタカー業を始めるにあたりキャンピングカーショーに行きいろいろな車両を見たのですが、大きくてゴージャスなキャンピングカーだと女性ドライバーが敬遠すると聞いたことや、私自身も利用者側に立つと運転免許はあるものの大型のキャンピングカーを借りて運転するのはちょっと……と躊躇しちゃいますよね。
軽キャンピングカーも車内に水回りの設備や調理台がある車両もあったのですが、とにかく気軽に、そう、車中泊だけできる、女性にも運転が苦にならない軽キャンピングカーをという思いが強いのでいまの2車種に決めました。
──どちらかというと、アウトドアの達人ではなく「そこまでアウトドアを頑張らない」人のほうが合いますね。
松本 そうですね。そう、先日アウトドア初心者ですという22歳の男子がクルマを借りてくれて「車中泊、凄く楽しかったです♪」と返却時に喜んでくれたんですよ!
あと、バグトラのファンの方がけっこういるみたいで「車両を売ってくれませんか?」と問い合わせや試乗したいと借りるお客様もいました(笑)。
そうそう、オープンからお客様の3割くらいが外国の方なんですよ。イギリス、タイ、インドネシア、中国、台湾、韓国、フランスなどの方々なのですが休日の取り方が日本と違い長く取るみたいですね。ホリデーだからと2週間まとめて借りる方や、パソコンが有ればワーケーションできると長い期間借りてくれる方もいます。
先日はIT関連の仕事をされている外国の方が「東北に2週間行ってきます!」とクルマを借りていただいたり、北海道2週間まわったり、四国や広島、しまなみ海道を回ったりと長期利用していただくお客様はみんな外国の方でした。
お客様が笑顔で帰ってくるのを見ると本当にうれしい
──先程もブギーライダーのサイドテーブルを自作されたとお聞きしましたが、車両も日々進化しているように思えます。
松本 そもそもブギーライダー1号にルーフテントをつけたのは、「子どもを含めた4人でキャンプに行きたいのですが車中泊ができるのは2人までですか? 4人で行きたいんですけど……」というお客様からのオーダーを泣く泣くお断りをすることが何件かあって……。これはなんとかしないといけないと、急いでルーフにテントをつけて4人車中泊できるようにしようと、設置できるテントを走り回って探して取り付けましたね。
──あと、車両だけじゃなくアウトドア用のレンタル用品も充実していますよね。
松本 そうなんですよ!レンタル用品もお客さんのリクエストにお応えしたものが多くて、例えば冷蔵庫。北海道へ長期間、旅行に行く予定の女性のお客様から「冷蔵庫のレンタルはないですか?」と問い合わせがあり、保冷用のクーラーボックスならあるのだけど冷蔵庫が用意してないなと、すぐに購入しました。冷蔵庫本体だけでなく、シガーソケットからつないで電気を供給するためのインバーター、さらにエンジンを停止したあとでも使うことができるバッテリーも揃えています。
問い合わせされたお客様には「冷蔵庫を購入しましたからレンタルできます、大丈夫です!」とお伝えすると大変喜んでいただけました。
──気になるのがこれからの季節に重要となる防寒対策です。
松本 私も実際にバグトラで車中泊をしてみたのですがやっぱり冬は寒くて……。本当は温風が出るヒーターも用意するべきかと思ったのですけどバッテリーの問題や専用の電源コードなどを揃えると購入金額が40万円くらいになっちゃうんです。そうなると気軽にレンタルできるものではなくなってしまうんですよね……。
そのため、私どもができる範囲で、例えば寒さから身体を守るキャンプ用の銀マットを貸し出したり、車中泊スペースに洗濯ロープを設置できるフックを装着し四隅に毛布を吊る「毛布カーテン」ができるように工夫するなど、少しでも暖かく車中泊できるものを探して試している最中です。
──お客さんからの声や要望には柔軟に対応することもテーマにしていると。
松本 そうですね。レンタル品でいうと最初にBBQセットみたいなものはないのですかという問い合わせがあってすぐに買いに行きましたが、車両もそうですがレンタル品って、本当にお客様のリクエストでニーズがある製品に気がつくことが多かったですね。
──また、驚くのがキャンピングカーという付加価値がある車両にもかかわらず料金が安いこと。正直、採算が取れるか心配になります。
松本 大手のレンタカーさんの料金とか見ると、軽自動車の貸出価格はやっぱりリーズナブルなんですよね。そこを飛び出してお客様が高いなと思わないような料金設定にしました。当初、設定していた価格よりもっとリーズナブルに……正直、我慢しました、はい。
はっきり言って黒字にはならないです(苦笑)。希に黒字になるのは、そうですね、夏休みなどのアウトドアやレジャーのハイシーズンになった時ぐらいですけども、あとはもう本当に経費とトントンぐらいで稼働している感じです……。
でも、お客様が笑顔で帰ってくるのを見ると本当にうれしくなっちゃって、なんかもういっぱいサービスしたくなっちゃうんですよね。
あと40代以上の方だと、私と一緒に写真を撮ってくださいとか言ってくれる方がいらっしゃって、それはうれしいですね。外国人の方と20代の方、大学生の方はまったく松本明子と分かっていませんから(苦笑)。
一緒に楽しむお店づくりを目指す
──将来的な展望として、まずお店を知ってもらうことは当然として、他になにか考えていることはありますか?
松本 近い将来ですけれども、やっぱり地球温暖化や環境問題を理由にクルマの世界も徐々に変わっていくかと思っているのでどこかのタイミングでEV(電気自動車)の導入も考えなくてはいけないと思っています。
いまの自動車業界の変革によってレンタカー業界も変わっていくと思うので、そこはこちらもうまく取り入れたいです。
──最後に、この記事を読んでお店に興味を持った読者にオフィスアムズのアピールをどうぞ!
松本 ありがとうございます。私どもはアウトドアやキャンピングカー、レンタカー業もすべて初心者で、私が思う「こんなクルマがあったらいいな♪」という車両やお店を作りました。これからは皆さんがレジャーを気軽に、手軽に、安く楽しんでいただけるようなレンタカー店作りや車両作りを目指したいと思っています。
若い方、女性、ファミリー、カップル、それからソロでキャンプやレジャーを楽しみたい方など年齢性別問わずに私と一緒に多様な楽しみ方を実践したり提案してくれる方は大歓迎です。皆様の楽しみ方に合わせて、私もいろいろ発見できるようにがんばりますので、一緒に楽しんでください。
──いわば借り手の思い通りにカスタムや進化することができるレンタカー屋さんですね。
松本 そうですね。例えばバグトラ2号をワイルドにカスタムしたのも、そもそもはお客様からのリクエストでした。「もっとワイルドな車両はないですか?」との問い合わせにフェンダーと鹿よけのバンパーを装着、本当は車高も上げたかったのですが1号に比べると少しはワイルドに仕上がったと思います。
こんな感じでリクエストしていただければ、私達のできる範囲となりますがいろいろなことに対応していきますのでご活用ください!
【オフィスアムズについて詳しくはコチラ】
【INFORMATION】
松本明⼦presents ⻩⾦の80 年代アイドルうたつなぎ
〜うれしなつかし胸キュンコンサート〜
アイドル⻩⾦期の1980 年代において「不作の83年組」にデビューを果たした松本明⼦がキュレーターとなり、同時代に活躍したスーパーアイドルたちと、華々しい時代の名曲たちをスペシャルなトークとともにお届けするコンサート企画。
日時:2022年1⽉23⽇(日)(昼公演・開場12:30 開演13:30/夜公演・開場17:00 開演18:00)
会場:東京・かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
料金:全席指定8000円(税込)
出演:松本明⼦、浅⾹唯、森尾由美、布川敏和、⻄村知美
チケットは、BSフジチケット・チケットぴあ・ローチケ(e +、CNプレイガイド、楽天チケット)などで発売中。
お問い合わせはBSフジイベントお問い合わせ(event@bsfuji.co.jp)まで。