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2015/9/7 10:00

【西田宗千佳連載】「見逃し視聴」は多様化する

「週刊GetNavi」Vol.34-3

 

現在、テレビ民放各局は、テレビ番組の見逃し配信サービスの整備を進めている。

 

まず基本になるのは、自社が運営するサービスだ。日本テレビなら「日テレ無料(TADA!)」、テレビ朝日は「テレ朝キャッチアップ」、TBSテレビは「TBSオンデマンド無料見逃しキャンペーン」で、フジテレビは「+7(プラスセブン)」、テレビ東京は「ネットもテレ東キャンペーン」を用意する。どこも無料だが、テレビ放送にCMがあるように、広告動画を視聴する必要がある。また、視聴可能期間は基本的に一週間だ。

 

一方で、テレビ局から番組供給を受けて見逃し配信を行うところもある。ヤフージャパン参加の「GYAO!」は、そうしたコンテンツを武器の一つとして使う。各社のものが横断的に見られるが、一週間で視聴できなくなること、広告を視聴する必要があることに変わりはない。

 

また「Hulu」や「dTV」は有料サービスだが、テレビ局から提供を受けた番組で見逃し視聴を行う。無料の場合と異なり、こちらでは、放送後の番組がそのまま蓄積されていき、放送終了後には全話が見られる状態になる。無料でない分ハードルは高いが、ある種のライブラリ性で差別化している。

 

テレビ局にとっては、ブランド化や自局の他番組視聴につなげたいという意識もあり、自社サービスを軸としている。実際、ネットで番組名を使って検索すると、大抵はテレビ局の番組公式ページがトップに出てきて、そこで紹介されるのはテレビ局の公式配信だ。

 

だが、各種動画配信プラットフォームにはそれぞれ多くの顧客がいて、日常的に利用されている。そうした場所で露出することは、視聴者にアピールする上で重要なことだ。だから、彼らにも番組提供を行う。番組が視聴されればコンテンツの利用料金がテレビ局に入ってくるから、マイナスはない。アニメ作品などはテレビ局よりも番組制作に出資した制作委員会や、制作会社の力が強いので、YouTubeやニコニコ動画が選択される場合も多い。

 

10月開始予定の見逃し配信サービス「TVer」はスマホの上で、テレビ局が寄り合って配信を行うプラットフォームとなり、考え方としてはGYAO!に近い。ただし、視聴された際の広告料収入のほとんどは番組を提供したテレビ局に入る形で、コンテンツ利用料の形になるGYAO!などとは異なる。

 

これからは、いろいろな手段で見逃し視聴が行えるようになるのは間違いない。そうするとおそらく、こういう疑問が出てくるはずだ。

 

「では、どこが勝利するのか?」

 

答えは「どこかが勝つ形ではない」「どこが勝ってもいい」というものになる。プラットフォーム分散はマイナスに思えるが、そうではない、と、テレビ局関係者は考え始めている。

 

果たしてその理由はなんなのか? その辺は次回Vol.34-4にて。

 

  • 「Vol.34-4」は9/14(月)ごろ更新予定です。

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