本・書籍
2022/1/26 6:15

「光る大五郎」から実用的な作品まで——ギャルがやさしくていねいに電子工作を教えてくれる楽しい入門書

ギャル電」をご存知だろうか。ギャル二人組が「ギャルも電子工作をする時代」と高らかに謳い、やけにギラギラ光る電子工作をするユニットだ。最近ではテレビやネットメディアなどにも顔を出しているだけでなく、コロナ禍以前はワークショップなども多数開催し、注目を集めている。

 

そのギャル電が書き下ろした書籍が『ギャル電とつくる! バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作』(ギャル電・著/オーム社・刊)だ。

 

意外とちゃんとした電子工作入門書

いわゆる電子工作入門書なのだが、ほかの入門書とはひと味違う。基礎も何もないゼロから「なんか光るアクセサリー作れたら最高じゃね?」というノリで電子工作を始めた二人が、その「素人感」(いい意味で)を押し出して、かなりわかりやすく電子工作のイロハを解説している。

 

必要な工具や材料について、どこで買ったらいいのか、回路図の見方、プログラムはどこから拾ってくればいいか(基本はコピペ上等)などなど、小難しい話はあまりなく、「ノリでやっちゃいなよ!」というバイブスがビンビン伝わってくる内容となっている。

 

文体こそギャルっぽいポップな感じになっているが、内容はちゃんとしている。ちょっと電子工作やってみたいけれどなんだか難しそうと躊躇している人の背中を押してくれるだろう。

 

有用的な作品から「光る大五郎」まで幅広い作品群

実際にギャル電が作った電子工作も例として紹介されている。ただLEDを光らせているだけではなく、意外と社会派。例えば「ソーシャルディスタンスボディバッグ」は、超音波距離センサーを使い、周囲の人との距離を測定してソーシャルディスタンスのレベルを色でお知らせしてくれるボディバッグ。

 

表紙には「とりまつないで光ればいいじゃん?」とあるが、ちゃんと実用的なものも作れるだぜ、という面が垣間見える。と思えば、「光る大五郎」なるわけのわからないものもある。

 

大五郎っていう4Lのお酒のボトルがあって、その底面と取っ手の部分にテープLEDを貼り付けて光らせたアゲ↑なパーティーアイテム。友達のパーティーに差し入れするために作ったやつ。

(『ギャル電とつくる! バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作』より引用)

 

あの大五郎のボトルが光ってるのか…。そう思うと楽しい気持ちとなんだかやるせない気持ちが交錯する。ちなみにこんな注意書きもある。

 

光る大五郎、LEDや電源をダクトテープで貼ってるってのもあって、光ってないと超不審物に見える。電車とかにうっかり置き忘れちゃったりすると危険物に見える可能性あるから、置き忘れには超注意!

(『ギャル電とつくる! バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作』より引用)

 

気をつけよう。

 

用語集だけでも見てみて。おもしろいから

本書の巻末には、「ギャル電用語集」がある。もちろん電子工作系の用語もあるのだが、ギャル語も記載されている。

 

インターネットは神、オタクに優しいギャル、カニって赤くてかわいくね?、大五郎、脳の治安が悪い、などなど、電子工作まったく関係ない商品名や都市伝説、マンガの名言なども混ざっているので、ここだけ読むと何の本だかわからなくなるので注意しよう。

 

とにかく電子工作の敷居をさげまくってくれる本なので、電子工作やってみよっかなーと考えている人は、一度手に取ってみるといいだろう。「あ、こんなお気楽でいいんだ」という感じになるはず。そして、LEDやらホットボンドやらを買ってくれば、もう今日から電子工作が楽しめるはずだ(と思うんだけどね)。

 

【書籍紹介】

ギャル電とつくる! バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作

著者:ギャル電
発行:オーム社

今のギャルは電子工作する時代! とりまつないで光ればいいじゃん? 本書は、「光るカッコイイものを作ってみたい」方に向けて、ギャル電の電子工作レシピを紹介する本です。初心者でも取り組みやすいように、最初は材料や道具の紹介から、はんだ付けだけのレシピ、Arduinoを使ったレシピまで徐々に応用させつつ説明しています。ただレシピ通りに作るだけでなく、読む方それぞれの作りたいものに電子工作を取り入れて、自作のグッズにチャレンジできるように、ギャル電がどういうところからヒントを得て、どんなアレンジをしているかも解説しています。電子工作を始めてみたいという方はもちろん、手芸作品を発展させたい、アクセサリーやグッズ・衣装に光る要素をプラスしてみたいという方にもおすすめの一冊です。

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