ソニーは、ウォークマンのフラッグシップ「WM1」シリーズから、Android OS搭載で音楽ストリーミングサービスに対応した新モデル「NW-WM1ZM2」と「NW-WM1AM2」を3月25日に発売します。実売予想価格は、NW-WM1ZM2が約40万円前後、NW-WM1AM2が約16万円前後。オプションとして、両モデルに対応した専用レザーケース「CKL-NWWM1M2」(約1万1000円前後)も発売されます。
細部までアップデートされた新フラッグシップ
NW-WM1ZM2/WM1AM2は、2016年に発売されたNW-WM1Z/WM1Aの後継機種。新たにAndroid OSを採用したことにより音楽ストリーミングサービスに対応したほか、2018年に発売され話題を呼んだ100万円超のポータブル音楽プレーヤー「DMP-Z1」で培った高音質化技術を継承していることが特徴です。
また、いずれも画面サイズが従来の4インチ(854×480ドット)から5インチ(1280×720ドット)に拡大され、それに伴って本体サイズも大きくなっています。
このほか、データ転送/充電端子がWMポートからUSB Type-C(USB 3.2/Gen1)に変更され、利便性が向上しています。
内蔵ストレージ容量は、NW-WM1ZM2が256GB、NW-WM1AM2が128GB。microSDカードスロットを1つ備えています。ハイレゾ音源はPCMが384kHz/32bit、DSDが11.2MHzまでのネイティブ再生に対応。BluetoothコーデックはSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACをサポートしています。有線接続端子は3.5mmアンバランスと4.4mmバランスの2系統を搭載。再生時間はいずれも最大40時間(有線接続時 MP3/128kbps再生)。
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ストリーミングもワイヤレスも高音質に
ソニー独自の高音質化技術DSEEが、AI技術による楽曲分析を生かしハイレゾ相当(最大192kHz/32bit)までアップスケーリングする「DSEE Ultimate」に進化。さらに、本機では有線/無線接続を問わず同機能を利用できるほか、W.ミュージック以外の音楽再生アプリ使用時にも利用できるようになっています。これにより、ワイヤレスイヤホン使用時や、各社の音楽ストリーミングアプリを使用時も、ハイレゾ相当の高音質に変換して楽しむことが可能に。
また、入力されたすべてのPCM音源を11.2MHz相当のDSD信号に変換する「DSDリマスタリングエンジン」も搭載。DMP-Z1では5.6MHz相当のDSD信号に変換していましたが、本機では11.2MHz相当に進化しています。オン/オフの切り替えも可能なので、好みにより切り替えて使用できます。
金属削り出しの重厚なボディは新モデルでも健在。WM1ZM2では、シャーシを従来の99.96%の無酸素銅から99.99%(4N)に純度をアップ。さらに高純度金メッキ(純度約99.7%)により、音質効果と高剛性を両立させています。また、背面には削り出しアルミシャーシを採用。
このほか、同社の据え置きオーディオ機の開発ノウハウを生かした独自開発のコンデンサ「FTCAP3」に加え、バランス出力の内部配線にキンバーケーブルの協力によって開発された4芯ブレードケーブルを採用。はんだには、金を添加した高音質はんだを使うなど、内部設計にも徹底的にこだわっています。
Editor’s Eye
発売前の実機を、前モデルと聴き比べる形で試聴させてもらうことができましたが、音質の進化を最も感じられるのは「音場空間の広がり」です。どちらも前モデルに比べて、より立体的で広がりのある音になっていると感じました。同社が推進する立体音響技術「360 Reality Audio」に対応したこともあり、同規格に対応する音源を再生すれば新しい音楽体験が得られるかもしれません。
気になるのは画面の大型化に伴い、本体もサイズアップしたこと。重さもWM1ZM2で約455g→約490gに、WM1AM2で約267g→約299gにと、いずれも30g以上重くなっているので、手にしたときにかなりの存在感となっています。ハイエンドにふさわしい重厚感ともいえますが、これを持ち歩くのはなかなか大変そうです。
しかし、ポータブルオーディオの元祖ともいえるウォークマンが考える2022年現在の最上級のサウンドを体験できるのは間違いなく、いま使っているポータブル機に満足していない方やもっといい音で音楽を楽しみたいと思っている方は、ぜひ新WM1シリーズを試して頂きたいと思います。