みなさま、「中判カメラ」ってご存知でしょうか? フィルムカメラの時代、通常の35mmフィルムより大型の120フィルムなどを使用し、高画質な写りを得ることができるカメラが、「中判カメラ」と呼ばれていました。使用するフィルムが大型のため、美しい写りが得られるかわりにカメラ本体も大きく、そして重くなってしまうため、写真愛好家やプロの間のみで使われるような代物でした。しかし、時代がデジタルに移り変わっても中判カメラは存在し続けており、最近になって注目の新製品が登場してきたのです。そこで今回は、世界初の中判ミラーレス一眼として登場した「ハッセルブラッド XD1」を中心に、デジタル中判カメラの世界をご紹介します!
一眼レフサイズのボディに “ハッセル”の遺伝子を凝縮
ハッセルブラッド
X1D
実売予想価格111万円(ボディ)
10月より出荷開始予定
アマチュアはもちろん、プロも憧れる高級カメラメーカー・ハッセルブラッドが開発した、中判サイズセンサー搭載のミラーレス一眼。同社ではすでに1億画素を持つ中判一眼レフ「H6D」を発売していますが、中判カメラのミラーレス一眼は世界でも初。35㎜フルサイズよりも大きな高感度センサーを備えながら、質量725gと中判にも関わらず非常に軽量で、片手で持てるコンパクトなデザインに仕上がっているのには驚きです。USB 3.0対応で、高速なデータ転送も可能としています。
SPEC●撮像素子:32.9×43.8㎜ 5000万画素CMOS●液晶:3型 約92万ドット●サイズ/質量:約W150×H98×D71㎜/725g
往年の同社製カメラを彷彿とさせる本体設計は、直感的に操作できる合理的なもの。ボディはアルミニウム製で、耐久性も十分安心できるレベルです。デジタル一眼の最上級機といわれるフルサイズセンサー搭載機のおよそ1.7倍もの高画素センサーを搭載しながら、これだけの取り回しのよさを実現した、同社の開発への努力がうかがえます。
マウントは同社開発のXマウントを採用し、新開発のXCDレンズシリーズが対応しています。現在、45mmと90mmの2種のレンズを展開。
そもそもハッセルブラッドはこんなカメラメーカー
ハッセルブラッドは1841年創業のスウェーデン発のカメラメーカー。中判フィルムカメラの代名詞として一世を風靡したメーカーとして著名なのです。
このカメラ界の伝統ある老舗が中判ミラーレス一眼を発売したというニュースは衝撃的で、プロのカメラマンも垂涎の商品に仕上がっていると、カメラマンの島本一男さんも、X1Dの価値に太鼓判を押しています。
「 “ハッセル”を買うのに、お金のことは気にしちゃダメです! 小型のボディに、あの大きなセンサーが入っているだけで驚きモノ。タッチパネルやWi-Fi付きで、USB 3.0にも対応する現代のハッセル、これは見逃せません!」
驚愕の性能にプロも脱帽! ただ問題なのは……
このように、専門家からも高く評価されるのハッセルブラッドのX1D。でもやはり気になるのはお値段ですよね。
発売が予定されているX1Dのお値段は、な、なんと本体のみで約111万円とのこと……。
やはり憧れの”ハッセル”、そうそう手を出せるお値段ではありませんが、ぜひ一度触れてみたい名品であることに間違いありません。
富士フイルムも中判ミラーレス一眼を開発!
これまでデジタル一眼の中判カメラというと、先述のハッセルブラッドか、リコーの「ペンタックス645」シリーズなどが中心で、両者ともに共通するように、大型の一眼レフというイメージが強い製品でした。しかしながら、軽量で使いやすい注目の中判ミラーレス機はハッセルブラッドの「X1D」だけではないのです。9月20日、富士フイルムも中判ミラーレス一眼カメラシステムの「GFX」の開発を発表。その第一弾として、中判ミラーレス一眼「FUJIFILM GFX 50S」と、対応する「フジノン GFレンズ」計6本を2017年春から順次発売する予定になっています。
こちらも気になるのはその価格ですが、ドイツで開催されたカメラ製品の展示会「フォトキナ2016」では、1万ドル以下での発売がアナウンスされています。この秋、中判ミラーレス一眼をめぐるカメラ業界が大きく動きそうな予感。今後の続報にも期待しましょう!