トイレは、ただ用を足すだけの場所にあらず。この日本には、オーナーの思いが込められた個性的なトイレが数多く存在する--。本稿は、そんなトイレの世界の魅力を伝える連載の第2回。第1回に続き、10年以上の歳月をトイレ取材に費やした達人、マリトモさんにガイドをお願いした。今回は「水槽トイレ」や「トイレットペーパーが多すぎるトイレ」など、編集部が絶句するほかない衝撃的なトイレが登場!
【ガイドしてくれるのはこの人!】
マリトモ
大阪生まれのフリーランスライター。映像製作プロダクションのアシスタントディレクターとして従事した後、Webサイトの企画・ディレクションやマーケティング、デザイン業務のほか、ライター、カメラマンとしても活動すること15年。そのかたわら、トイレ空間に興味を抱き続け、10年以上の歳月をかけて全国各地に点在する300カ所以上のトイレを独自取材。現在は“トイレハンター” や“トイレ評論家” として各メディアで活躍中。著書に「ニッポンのトイレほか」がある。
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どのトイレットペーパーを使うか迷ってしまうトイレ
ーーこのトイレもまたすごいですね……。
マリトモ 京都にある居酒屋「ももじろう」のトイレです。壁一面にトイレットペーパーが設置されていて、女性用トイレには80個のトイレットペーパーが目の前にあり、そのすべてがキレイに三角折りされていてるという圧巻の光景が楽しめます。80個のトイレットペーパーは、どれを使ってもOK。ただし、手が届けばですが……。なお、男性用のトイレでは、両サイドの壁にトイレットペーパーがびっしりと設置されています。
町おこしで作られたホールケーキ型の公衆トイレ
ーー続いてこちらはなんだかかわいらしい。
マリトモ 大分で開催された「大分トイレンナーレ」という、トイレとアートの融合で町おこしをする活動で作られたトイレのひとつ。円形の公衆トイレの外観自体がホールケーキになっているんです。
ーー中はどうなっているんでしょうか?
マリトモ 中はピンク一色。イチゴやブルーベリーに練乳がたっぷりかかった、おいしそうな写真が壁一面に広がっています。
製作費総額2000万円以上! 亀も泳ぐ水槽トイレ
ーー手が込んだトイレが続きましたが、こちらもまた……。
マリトモ 兵庫県の明石市の海岸沿いにある「ヒポポパパ(旧店名:「ムーミンパパ」)のトイレです。四方八方が水槽になっていて、色々な魚や、スッポンモドキが泳いでいます。そのシチュエーションに圧倒されて、思わず鍵を掛け忘れる方が多いらしく、鍵のついた扉が2つ設置されています。
ーーなんだか手入れが大変そうですね……。
マリトモ 水圧でガラスが割れてしまったり、泳いでいる魚が死んでしまったり、何度も失敗を繰り返した末に完成したそう。総工費やメンテナンス費を含め、総額2000万円以上をかけて作られた渾身のトイレです!
世界一広い? 開放的すぎて落ち着かない屋外トイレ
ーーこちらはまた随分と開放的な……。
マリトモ 千葉県の飯給(いたぶ)駅の横にある公衆トイレは、「世界一広い屋外トイレ」としてギネスに申請されそうです。200平米の敷地が柵に覆われていて、その柵の内部にガラスに囲まれたトイレがポツンとたたずんでいます。
ーーガラスに囲まれているということは、用を足しているのが丸見えということですよね?
マリトモ 開放感があるのはいいのですが……。屋外のうえ、目の前に広大な自然が広がっているので、「誰かに見られている」という不安感がぬぐえません。10年以上にわたって色々なトイレに座ってきた私でも、用を足すのに10分ほどかかってしまいました。
今回は個性的、というより行き過ぎたトイレばかりでしたね。次回は、シリーズ最終回。トイレの豆知識と、マリトモさんのトイレへの思いを紹介します。お楽しみに!
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アスペクト/1000円(税抜)