アップルは数年前からMacBookシリーズにTouch ID(指紋認証)システムを採用しており、昨年ついにTouch ID内蔵のMagic Keyboardを発売しました。これを買い足すことで、本体にはTouch IDがないM1 Mac miniなどでも指紋認証が使えるようになり、本体のロック解除や買い物が便利になっています。
しかし、誰もがMagic Keyboardのデザインを好きなわけではなく、冗談で「Touch IDだけのボタンが欲しい」との声もありました。そして最近、それを本当にかなえる「マジックボタン」を自作した猛者が現われました。
これは開発者のKhaos Tian氏が概念実証(実現可能性を示すために、簡単かつ不完全に実現化すること)として行った実験です。Tian氏はTouch ID内蔵Magic KeyboardからTouch IDパーツを抜き出して、実際に機能する「マジックボタン」を手にしたわけです。
iPhoneのTouch IDは強固なセキュリティで守られており、本体から切り離して使うことは(おそらく)不可能。が、Touch ID内蔵Magic Keyboardは、紐付けられたMacのSecure Enclave(Touch IDデータの保護やストレージの暗号化などを担当するチップ)と通信することで機能しています。
つまり、指紋認証にとって肝と言える「登録と照合」作業はMac側で行われているため、キーボード側のパーツはそこまで強固に守られていないというわけ。そこで、Tian氏は指紋センサーと、Mac側の通信を管理する「ハードウェア公開鍵アクセラレータ(PKA)ブロック」を抜き出して、Touch ID専用ボタンを完成させた次第です。
本プロジェクトは、The Basic Apple Guyがエイプリルフール企画として、「もしもアップルがマジックボタンを作ったら」というコンセプト画像を冗談で公開した数日後に発表されたかっこうですが、「Touch IDボタンだけ」を真剣に望む人は少なくない模様。例えば、Relay FM(Podcastネットワーク)のMyke Hurley氏らは、机の下にMagic Keyboardを貼り付けてTouch IDボタンだけを利用し、仕事には好きなキーボードを使っているとTwitterで明らかにしています。
とはいえ、実際にアップルが製品化して販売したなら、Magic Keyboard開発者は少なからずショックを受けるかもしれません。
Source:Khaos Tian(Twitter)
via:9to5Mac