雨の日に使った傘やレインコートに長靴は、乾くまでは収納棚にしまえません。雑然とした玄関まわりは、湿気もこもりがちに。収納棚を有効に使い、すっきりとした空間をキープするにはどうしたらいい? そのコツを、整理収納アドバイザーの能登屋英里さんに教えていただきました。
“なんとなく”はNG。すべての物の居場所を決める!
収納は詰め込む場所ではなく、使いやすくする場所だという能登屋さん。クローゼットの衣替えをするように、季節ごとに玄関収納も見直す必要があると言います。
「玄関の収納がパンパンになっているご家庭で多いのが、靴や傘、工具や自転車用のアイテムをなんとなくそこに収納しているという状態です。物を以下のような5段階に分けて、1から順に取り出しやすいところに入れていき、どこに何を入れるのか、居場所を決めることから始めてみましょう。
1.毎日使う物
2.週に何度か使う物
3.月に何度か使う物
4.ほとんど使わない物
5.不要な物
わが家では、よほどの強い雨ではない限り、基本的には折り畳み傘派なので、長傘はほとんど出番がありません。そのため、長傘は玄関で保管せずにクローゼットに収納しています。『なんとなく、この辺りにしまう』という無意識収納をやめ、『靴や傘は玄関にしまう物』といった固定概念にもとらわれず、ライフスタイルに合う形で玄関に収納する物の居場所を明確にしていきましょう。そして、スペースに納まらない優先順位の低い物や季節外のアイテムは、クローゼットや別の収納スペースへ移動させます。不要な物は、もちろん処分します」(整理収納アドバイザー・能登屋英里さん、以下同)
玄関をどう使いたいのか、具体的にイメージしてみる
玄関で保管する物は、何を見えない収納とし、何を見える収納とすればいいのでしょうか?
「まずは、玄関をどういう状態にしたいのか、ありたいイメージを具体的に考えてみましょう。使う物をサッと手に取って持ち運びできるようにしたいならば、壁や玄関扉の壁面にフックを付けて、引っ掛ける収納を充実させると便利ですよね。一方で、見た目をスッキリとさせたいのであれば、扉裏の壁面を有効に使って、スリッパやヘルメットを収納できると取り出しやすくなります。
使用頻度は高くなくても、防災グッズのように玄関に置いておきたい物についても、理想の保管方法をイメージしていきましょう。そうすると、防災リュックの中に詰め込んでいるものは、必ずしも全部を玄関に備えておく必要がなくなってくるかもしれません。数本の水と懐中電灯などはリュックに入れて玄関に置いておきたいけれど、ほかは寝室やキッチンで保管できそうです。
『必ず玄関に置いておきたいものはどれ?』『全部の中身がここじゃないとだめ?』そうやって、一つずつ検証していくと、なんとなく置いているものや、意味なくその場に置いていたものを移動させたり処分できたりして、本当に必要なものが取りやすい状態で収納できるようになっていきます」
【コツ1】狭小空間では、棚の奥行きを徹底活用!
「コンパクトな収納を有効に使いたい場合、奥行きを生かした収納にすることもポイントです。こちらは賃貸マンションにお住まいのお客さまのケース(左)ですが、長傘は奥側に引っ掛けてまとめておき、手前に犬の散歩グッズや靴ケアアイテムを置く。レインコートは吊るすことで取り出しやすくしました(右)」
ルールを明確にすれば散らからない!
レイングッズは3ステップ方式で管理
雨で濡れたレイングッズについて、使用後の段取りを明確にしておくこともポイント。
「この時期、出番の多い傘とレインコートと長靴は、『使う→乾かす→しまう』の3ステップルールを設けます。わが家には小学1年の子どもがいるのですが、子どもの長靴はこの時期、玄関のたたきに常に置いておいてOKとし、使ったレインコートは、玄関の大きな鏡に引っ掛けて1日置くことで乾かします。そして乾いたらたたみ、玄関収納の定位置にしまうというルールを設けています。使った後、1日は干すために出しっぱなし、でも翌日には元に戻すと決めていれば、玄関に広げていることが気にならないし、そのまま放置してしまうことも防げます。
この時期のレイングッズは取り出しやすい場所に定位置を決め、使用後はどういう流れで元に戻すのかを明確にしておくようにしましょう」
【コツ2】ラベリングをすれば、元に戻したくなる!
「靴以外にも玄関に置きたいものはいろいろとあるもの。その場合、居場所を決めたらラベリングをしておくのがおすすめです。ラベルがあると、そこに戻したくなりますよ。場所が明確であれば、とりあえず隙間に物を突っ込んでしまうということも減らせます」
省スペースを有効活用!
梅雨時期の玄関収納テクニック
最後に、限られた玄関スペースを有効に使える、能登屋さんおすすめの収納アイテムを紹介していただきました。
・玄関扉にペタッと付けるマグネットボックス
「賃貸住宅の玄関の扉はマグネットが付くタイプが多いので、マグネット式の収納アイテムが使えます。Towerのマスクボックスは、上にシャチハタやボールペンを置いておけば、宅配便の対応時も便利。スリムな傘立ては濡れた傘の一時保管場所として重宝します」
・玄関の壁面を使った引っ掛けスペース
「玄関の壁に付けることで、濡れたレインコートをハンガーにかけたり、傘をかけたり、するスペースがつくれます。他にも3連タイプやフックタイプ、ボックスタイプなど、さまざまな種類があるので、玄関に置きたいアイテムに合わせて選べます」
・靴の中に入れられる除湿剤
「雨で濡れた靴は乾かしてからしまわないと、悪臭やカビの発生につながります。とはいえ、たたきに何足もの靴を並べておくのは避けたいものです。靴やバッグに入る除湿剤があると、重宝します。炭八は呼吸をする調湿木炭で、半永久的に使用が可能です。おしゃれなデザインもいいですよね」
ほかにも、傘立てを買う場合はスリムタイプにする、扉裏のスペースにタオルハンガーを付けてスリッパ置き場をつくるなどのテクニックも効果的だそう。雨の多い季節に活躍するアイテムが取り出しやすく、しまいやすい仕組みを工夫してみましょう。
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