ここ数年、家庭用掃除機はコードレススティックタイプが人気を集めています。特に大手メーカーのハイエンド機は、高性能・高機能かつコンパクトで使いやすいのが魅力。ただ、お値段のほうも高価格化が進み、5万円超えは当たり前という状況です。たとえスティック掃除機がほしくても、毎月賃貸マンションの家賃や住宅ローンの支払いが重くのしかかる一般世帯には、なかなかポンと出せる金額ではありません。
機能を絞り込んだお手ごろ価格にモデルに注目!
そこで注目なのが、大手メーカー以外から発売されているコードレススティック掃除機。実は価格が安くて使いやすいと評判のものが多いんです。安さの理由は吸引力・集じん性能を割り切り、過剰な機能を削って、必要十分な性能と機能に絞ったから。また、機能を大幅に削ったことで本体が軽くなっているのも特徴です。当サイトでは実売価格が1万円代後半〜2万円代前半の製品の中から注目の3モデルをピックアップ。5項目にわたって徹底チェックしてきました。今回は、各モデルの特徴を項目ごとに振り返り、それぞれどんなユーザーに向いているかを考えてみました!
今回試したのは以下の3機種です。
モデルその1
アイリスオーヤマ
超軽量コードレススティッククリーナー
IC-SLDC1
実売価格 1万5984円
モデルその2
プラスマイナスゼロ
コードレスクリーナー
Ver.2 クリアブラウン
XJC-A020
実売価格 2万3760円
モデルその3
ドウシシャ
コードレススティッククリーナー
DVS-1601
実売価格 2万1470円
チェックその1
掃除能力はどうか?
アイリスオーヤマIC-SLDC1は高コストの原因となる自走式ヘッドを思い切って省略。というか、ヘッドブラシすら付いていません。それでも吸引力を「標準」「ターボ」の2段階で変えられ、さらにゴミの有無で吸引力を切り替える自動モードも搭載しています。
XJC-A020もIC-SLDC1同様、ヘッドブラシを省略。吸引力は「標準」「強」「ハイパワー」の3段切替え。ホコリやペットの毛なら「標準」でも十分吸引できます。「ハイパワー」なら、砂粒など重みのあるゴミも余裕で吸引できました。
DVS-1601は、今回取り上げた3機種の中では唯一、自走式ヘッドを搭載したモデルです。専用モーターによるブラシの回転でゴミをかき上げるため、床に張り付いたチリもしっかり集じん。また、ブラシでゴミをかき取れるぶん、カーペットの掃除にも有利です。
チェックその2
操作性・取り回しはどうか?
掃除機の能力で重要なのは、吸引力だけではありません。実は操作性も同じくらい重要。そして、その操作性に最も関係するのが、掃除機の重さです。IC-SLDC1とXJC-A020は、ともに本体質量約1.3kg。その軽さは本当に感動的で、毎日の掃除がけがまったく苦になりません。また、どちらもヘッドの厚みが少なく、システムラックの下など、高さ10cmのスペースにもスイスイ入ります。
IC-SLDC1で特に優れていたのは、左右へのヘッドの方向転換のしやすさ。グリップを持つ手を軽くひねるだけで、右にも左にも90℃以上曲がります。
一方、XJC-A020はグリップを持つ手首が本体に対して垂直な角度で持てるのがメリット。手首に無理をかけずに掃除機を前後に動かせるので、長時間掃除しても疲れにくいのです。
DVS-1601は、自走式ヘッドを搭載しているため直線方向への掃除機がけはとてもラク。フローリングはもちろん、カーペットでもスイスイ掃除できます。ただし、ヘッド自体が重くて大きいため、左右の細かい方向転換や、ラック下など高さのない空間の掃除はやや苦手。その意味で、広くてモノの少ないリビングを快適に掃除するのにぴったりとの印象を持ちました。
チェックその3
設置性はどうか?
コードレススティック掃除機は、電源コードを差し込む手間が不要ですぐに掃除を始められるのがメリット。ですから、当然押入れに収納したりせず、部屋置きしてサッと手に取れるようにしておくのが有利です。
IC-SLDC1は金属製の壁置きパーツを接着テープで壁に固定。本体背面上部に付いているマグネットと壁置きパーツが磁力でくっつくことで、壁面収納できるようになっています。粘着跡が残らない接着テープを採用しているので、賃貸の家に住んでいる人や、壁にネジ穴を開けたくない人は便利ですね。磁力で固定しているので、不意な過重には耐えられなさそうですが、ワンタッチで着脱できるのは便利だと感じました。
XJC-A020は、ヘッド後部のフックを専用スタンドのホルダーにかけることで、スッキリ収納できます。スタンドは部屋に置いてあっても圧迫感がなく、掃除機をセットした見た目もとてもスタイリッシュです。
DVS-1601は、掃除が終わったあとは付属の充電台に差し込んで収納。その間に充電も行えるのが便利です。本体が約3kgとやや重いせいもあり、安定して収納するため充電台も大きめ。部屋の隅に常駐させるのが最も邪魔にならないでしょう。
チェックその4
ゴミ捨てとメンテナンスはしやすいか?
コードレススティック掃除機はダストカップ容量が少ないために、こまめなゴミ捨てが不可欠。ゴミ捨てのしやすさとダストカップやヘットなどのメンテナンスのしやすさを確認しました。
IC-SLDC1は、3機種の中では唯一紙パック式を採用。紙パックにゴミが溜まったら捨てて新しいものと取り替えるだけで、ゴミに直接触らず捨てられ、掃除などの必要もありません。一方ヘッドは、ノズルブラシがないぶん、毛ゴミが絡まることもなく掃除が簡単です。
XJC-A020は水洗いできるダストボックスを採用。メッシュフィルターやプリーツ状のEPAフィルター、ダストボックスに付いたゴミを捨てます。メッシュフィルターやEPAフィルターに微細ゴミが詰まると吸引力が落ちるので、汚れがひどい場合は水洗いの必要があります。
DVS-1601は本体からダストケースを外し、フィルターユニットを外してからケースに溜まったゴミを捨てます。サイクロン方式を採用しているせいで、ややメンテの手間がかかりますが、フィルター周りはすべて水洗いできるので、清潔性をキープできます。
チェックその5
それぞれの独自機能は?
今回紹介した3モデルは機能を必要十分なものに絞って低価格を実現していますが、その中でも機種ごとに特徴ある機能を持っています。その機能がぴったり合っていれば、購入する価値はより高まります。
IC-SLDC1でユニークなのは、「ほこり感知センサー」を搭載していること。センサーがホコリを検知するとランプが緑から赤に変わり、吸引力が自動的にアップします。これはホコリを取り逃がさないのと同時に、ホコリがない場所やヘッドを動かしていないときに自動的に吸引力を落としてくれるので、電力の節約にも大いに役立ちます。
XJC-A020はバッテリーを着脱できるのが便利。バッテリーを本体から外した状態で充電できるので、スタンドの設置場所がコンセントの近くに限定されません。また、スタンドを含めたスタイリッシュなデザインも大きな魅力で、インテリアにこだわった部屋に置いても絵になります。さすが、デザインに定評のあるブランドだけありますね。
DVS-1601は、掃除能力の項でも書きましたが、この価格帯では珍しい自走式ヘッド搭載が光ります。また、ヘッド前面にLEDランプを装備しているのにも注目。暗い廊下やベッドの下などの掃除をする場合、LEDの光でゴミが浮き出て見えるので、掃除がとてもしやすいんです。さらに、本機はハンディ機としても使える2in1タイプ。ボタンひとつでハンディ掃除機として使える点も便利です。
まとめ
今回試したモデルでは、軽量のIC-SLDC1とXJC-A020、自走式ヘッドが魅力のDVS-1601と大きくふたつに分かれました。軽量タイプのIC-SLDC1やXJC-A020は、ブラシ非搭載ということもあり、高価格帯の機種と比べると掃除能力はやや劣ります。ただ、とにかく軽いので掃除機がけがラク! これって実は、一番の掃除能力だと僕は思います。どんなに吸引力の強い掃除機でも、人が掃除を始めなければ、単なる宝の持ち腐れになってしまいますから。
ということで、この2機種に関しては、すでにメインの掃除機を持っている人がサブとして使うのがオススメ。毎日の掃除をこちらで行い、週に一度吸引力の強い掃除機でしっかり掃除するという使い方になっていくかと思います(となると、どっちがメイン機なのかわからなくなりますけどね)。また、この2機種のうち、価格よりデザインを重視するならXJC-A020という選択になるでしょう。
一方、自走式ヘッドを搭載し、吸引力、独自機能とも優れたDVS-1601はメインの掃除機としても十分使えます。ヘッドの小回りがやや効きにくいので、広いリビングをこれで掃除して、内蔵のハンディ機で細かい部分を掃除するのもいいでしょう。こうしてみると、お手ごろ価格のモデルとはいえ、実力は相当高いのがわかりますね。今回紹介したどのモデルも「買って損なし!」だと思います。