安倍夜郎作の同名マンガを原作に、2009年から3シーズンにわたってドラマ化(MBS系)&映画化された「深夜食堂」。さらに韓国でもドラマ化されるなど根強い人気を誇っていて、「孤独のグルメ」(テレビ東京系)シリーズとはまた違った趣の”夜食テロ”の新作を、心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。
ファン待望の新シリーズ「深夜食堂 -Tokyo Stories-」が、Netflixオリジナルドラマとして10月21日から世界190か国で同時配信されます。さらに、Netflixでは過去の3シリーズと劇場版も配信を行っていますので、振り返り視聴や、これを機に同シリーズを見始めてみるのもオススメです! また、劇場版第2弾「続・深夜食堂」も11月5日より全国公開ということで、食欲の秋、「深夜食堂」の世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか?
新宿の片隅で夜中から朝までひっそり開店している「めしや」は、いわく付きの過去を背負っていると思われる、ぶっきらぼうだけど心配り満点のマスター(小林 薫)が、材料があれば客の食べたいものを何でも作ってくれる、カウンターだけの小さな食堂。ただの大衆食堂ではなく、東京という都会ではぐれてしまった人間たちのオアシスにもなっているのです。過去のシリーズでは、1話ごとに「猫まんま」や「ポテトサラダ」といった、気取りのない家庭料理を軸にした、ささやかな人間ドラマが繰り広げられていました。
新シリーズでも平常営業のめしや。マスターはいつも通り厨房に立ち、客は食べたいものを好き勝手にリクエストしつつ、泣き、笑い、満腹になってそれぞれの家に帰っていくというスタイルは変わっておらず、「1話完結で30分」という、胃にもたれない”腹八分目”な尺も嬉しいところ。
スタッフも、総監督を務める松岡錠司監督(「バタアシ金魚」など)をはじめ、山下敦弘監督(「リンダ・リンダ・リンダ」など)、大森立嗣監督(「まほろ駅前狂騒曲」など)、小林聖太郎監督(「マエストロ!」など)、野本史生監督(映画「深夜食堂」など)、吉田康弘監督(「ヒーローショー」脚本など)といった、日本映画界の活きのいいところが揃っていて、これはもうハズレなしでしょう。
シーズン3までに主役で登場した人物がちゃっかり常連客に収まっていたり、さらりとカメオ出演していたりと”常連”視聴者へのサービスも満点。「なんでオダギリジョーみたいな主役級がチョイ役なの?」と思ったら、過去の作品をチェックしてみることをオススメします。
そして、この物語のもうひとりの主役が「料理」。CMや映画「かもめ食堂」「南極料理人」などの料理を担当し、観客の胃袋をガッチリ掴んだフードスタイリスト・飯島奈美さんが指導しているので、どの料理も本当に美味しそう! 調理の過程から見せてくれるのでシズル感たっぷりだし、実際に作ってみたくなります。
新シリーズのお品書きをざっと挙げると、
第1話 タンメン
第2話 アメリカンドッグ
第3話 トンテキ
第4話 オムライス
第5話 たまご豆腐
第6話 梅干しと梅酒
第7話 白菜と豚バラの一人鍋
第8話 長芋のソテー
第9話 ハムカツ
第10話 年越しそば、再び
と、馴染みがあるメニューばかり。さて、ここからどんなドラマが紡がれてゆくのでしょうか?
個人的にたまらなかったのが、第2話「アメリカンドッグ」に出てくるホットケーキです。どこでも手に入る市販のホットケーキミックスを使っているはずなのに、我が家とは全く別物に焼きあがっているのはなぜ!? フライパンの上でひっくり返した瞬間に現れた、そのきめ細かで美しいキツネ色に思わず「あぁ」と声が出てしまいました。もちろん翌日の朝食はホットケーキにしたのは言うまでもありません(が、やはり全くの別物に……)。
さて、新シリーズになっても変わらないオープニング。新宿大ガードから夜のネオンきらめく靖国通りを曙橋方面に抜けていくおなじみの映像ですが、実は新しく撮り直されているそう。明らかな違いがあるのですがわかりますか? ヒントは、この夏大ヒットした映画の主役で、新宿コマ劇場跡にそびえているアレ! 答えは実際に作品を見て確かめてみて下さい。