デジタル
2022/9/13 10:30

キーワードは「クラウド連携」! 業界に新風を吹き込む新世代ドラレコ2製品をチェック

音声認識や通信機能が進化した次世代型「ドラレコ3.0」。ここでの注目はパイオニアのNP1と、コムテックのZDR058というドライブレコーダー2モデル。いずれも音声認識やクラウド連携など、従来機から進化した機能を備える。クルマ全般に精通するプロのインプレに加え、メーカー担当者のコメントを交えて車載機の未来を占う!

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

モノ知りインフルエンサー

カーITジャーナリスト

会田 肇さん

自動車雑誌の編集を経てフリーに。カーナビやドライブレコーダーのほか、先端の自動運転技術なども詳しい。

次世代ドラレコは“クラウド連携”がキモ

NP1はドライブレコーダーとカーナビの機能を掛け合わせた、まったく新しい車載機だ。

「特筆すべきは、音声で車載機として求められるひと通りの機能を操作できる点です。クラウドにアクセスすることで音声の認識力が高く、アップデートもOTA(※1)で可能。5月にはAmazon Alexaにも対応し、音楽や天気予報といったコンテンツが楽しめるように。追加アップデートにも期待です」(会田さん)

一方、ZDR058は通信機能の強化が安心に直結。国内メーカーのドラレコとしては、ひとつの転換点として捉えることができる。

「通信によってトラブル時の映像を自動的にサーバーへアップロードできるのは、安心を得るうえで必要な機能。この手の映像は重要ですが、つい保存を忘れがちで、事故の状況次第では映像データが失われるリスクがあります。こうした通信型レコーダーは、保険会社の商材というイメージでしたが、今後は民生用もバックアップ機能が必須になります」(会田さん)

徐々に一般化しそうなのが緊急時の通信機能。安心安全なドライブを望むなら注目すべきだ。

「いま、新型車ではコネクテッド化がどんどん進んでいます。ユーロNCAP(※2)では、すでにエマージェンシーコールを含め評価対象になっているほど。これに対応できていない既存車もまだまだ数多くありますが、通信を利用することで様々な事象への対応力が高まるため、今後重要度を増していくのは確実です」(会田さん)

※1:Over the Air。アップデートプログラムなど、無線通信でデータの送受信を行う技術のこと

※2:ヨーロッパで実施される新車の安全性テスト

 

ヒットアナリティクス

“録れればOK”が終わりプラスオンの新機軸が登場

レコーダーは前方のみ記録するものから、2カメラや360度タイプでクルマの前後左右を記録できる製品へとすっかり遷移した。今後はクラウドで連携して、緊急時のリスク回避や、ドライブを一層楽しむ機能を備えた新機軸が増加することが予見される。

 

【その1】 レコーダーとカーナビの機能を備え高精度な音声認識が画期的(会田)

【オールインワン車載機】

2022年3月発売

パイオニア

NP1

6万5780円(通信+サービス利用料1年ぶん含む)

地図表示のない音声操作のカーナビとドライブレコーダーの一体型モデル。衝撃を検知すると2つのカメラが自動で録画を開始し、クラウドに保存。もしものときに、決定的な瞬間を録り逃す心配がない。

 

↑車内Wi-Fiサービス「docomo in Car Connect」(オプション)に申し込めば、通信量を気にせずLTEデータ通信を利用可能。車内エンタメを家族で楽しめる

 

↑画面の確認やタッチ操作のいらない対話型音声ナビを搭載。視線を逸らさず運転に集中でき、「人気の飲食店の検索」など多少曖昧な指示にも対応する

 

↑購入後も新機能の追加や地図のアップデートは随時行われる。各種機能は好みに合わせてオン/オフの設定ができ、使いやすいようにカスタマイズ可能

 

【プロの一家言!】 アップデートによる機能追加に期待が高まる

「今後のカーナビの方向性を打ち出した革新的な製品。緊急時のエマージェンシーコールに対応するのを期待します。現在はGPSと加速度センサーによる測位ですが、より精度を高めるために車速パルスの入力機能があれば文句ナシ!」(会田さん)

画質: ★★★

記録画角: ★★★★

暗所性能: ★★★★

 

担当者に聞きました!

パイオニア株式会社NP事業本部CPRO

脇山亜希子さん

広告会社や不動産、外資クルーズ会社などの広報を経て現職。パイオニア、次世代の成長の柱となるNP1のPRを担当。

 

購入後も進化・成長する心強いパートナーが誕生

車載機の進化に伴い手や目を使った複雑な操作や確認が増えるようでは、ドライバーの負担・ストレスに。そこでNP1では、操作や案内を“音声”に振り切るという新たなコンセプトで、快適なドライブを助けます。購入後も機能やサービスが随時アップデートされるので、買い替え不要。助手席に頼もしいパートナーがいるような、“未来感”を実現しました。

 

【その2】 自動アップロードで重要な映像を確実に記録(会田)

【ドライブレコーダー】

2021年10月発売

コムテック

ZDR058

実売価格4万3780円(本体)/年会費1万4000円(動画・通話プラン)

4G LTE通信機能を搭載し、クラウドと連携できるドライブレコーダー。トラブル発生時の画像や映像を確実に残せるだけでなく、専用アプリを用いて通話や通知の設定もできる。画像プランは1年間無料だ。対角168度の超広角レンズを採用した前後2カメラ仕様。

 

↑専用アプリからドライブレコーダーへの通話が可能。家族の運転中に、衝撃録画の通知や後続車接近録画の通知が届いた際など、異常を感じたらすぐに声をかけられる

 

↑衝撃を検知すると画像や動画を自動でクラウドに保存。専用アプリから確認でき、任意のタイミングで画像や動画、位置情報をクラウドにアップもできる

 

↑本機の電源がオン/オフになったときに、位置情報とともにスマホに通知できる。家族の出発・到着が心配な場合や帰宅時間を知りたい場合に便利だ

 

【プロの一家言!】 通信を最大限生かすならライブ視聴機能を

「ドライブレコーダーの国内販売数量でトップ(※3)を走る同社がローンチした通信機能搭載モデル。基本性能も高水準です。通信機能を生かし、遠隔でのリアルタイム映像視聴が常時できるようになれば、さらに安心なのでは」(会田さん)

※3:販売実績統計調査会社BCN販売数量No.1(集計対象期間:2017年1月~2021年12月)

画質: ★★★★

記録画角: ★★★★★

暗所性能: ★★★★

 

担当者に聞きました!

株式会社コムテックマーケティング部部長CPRO

石川義和さん

昨年まで前後2カメラや360度モデルなどを営業・販売。今年度からマーケティング部を発足し新製品の企画、提案を行う。

 

ドライバーと家族のインシデントを取り除く製品開発

従来の通信型は自動車保険などに付随するサービスで、保険会社との映像通信、通話が主。もっと手軽に、ドライバーとその家族に安心を享受してほしいと開発に着手しました。駐車中のトラブル通知機能が特に好評。大容量・高速化する通信インフラやAI技術も活用し、“アクシデントに対応する製品”から、“インシデントを防止する製品”への発展を見据えています。

 

【コレも便利】 8つのマイクが高精度に収音しAlexaがスマートに応答

Amazon

Echo Auto

実売価格4980円

スマホアプリを介して音声サービスAmazon Alexaを利用できる車載機。8つのマイクを装備し、ノイズが多い車内でも高精度で音声を認識する。運転中もハンズフリーで音楽の再生やニュースの確認、音声通話などが可能に。