最近ソニーはPlayStation 5の改訂モデル「CFI-1200」シリーズの出荷を始めています。この改訂モデルでは内部設計も一新され、消費電力と最高温度ともに前モデル(CFI-1100)よりも下がっていることが明らかとなっています。
その理由の1つが、心臓部分であるSoC(1つのチップに様々な機能を統合したもの)が新型になっているからだと判明しました。
これは半導体業界専門メディアAngstronomicsが、独占記事として公開した情報です。元々のPS5に搭載されていたSoCは、コード名「Oberon」と呼ばれています。これは台湾の半導体大手TSMCの7nm技術(N7)で製造されていましたが、新たなSoC「Oberon Plus」は同社の「N6」、つまり6nm技術で作られているそうです。
ここでいう「6nm」「7nm」などの数値は、半導体の回路線幅(プロセスルール)のこと。この数値が小さくなればなるほど、一般的には処理能力が向上し、消費電力は小さくなり、発熱は抑えられる傾向があります。
そしてTSMCはN7ノードとN6ノードに、デザインルール上の互換性を持たせているとのこと。これにより製品の基本設計を大きく変えることなく、旧型の7nmチップを6nmチップに置き換えられる、というわけです。
N6技術のトランジスタ密度はN7よりも18.8%向上し、消費電力も減り、それに伴い温度も下がります。おかげでヒートシンクも小型化でき、軽量化にも貢献しているようです。
新SoCの恩恵は、それだけではありません。そのダイサイズ(半導体の面積)は約260平方mmで、旧Oberon(約300平方mm)よりも約15%小さくなっています。ダイサイズが小さくなれば、1枚のウェハー(シリコン単結晶でできた薄い板)から生産できるチップの数が増えるはず。Angstronomicsによれば、「Oberon Plus」はウェハー1枚あたり、約20%多くのチップが作れるそうです。
これは、ソニーがコストを上げずにPS5用のSoCを量産しやすくなることを意味しています。ひいてはPS5本体の増産も加速できる可能性もあり、しだいに品不足が解消していくのかもしれません。
Source:Angstronomics
via:Wccftech