11月11日に『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』(辰巳出版・刊)を刊行した小籔千豊さん。ゲーム反対派だった小籔さんがいかに『フォートナイト』にハマっていったのか。そして、ゲームをすることで親子関係がどのように変わっていったのかをじっくり伺いました!
(構成・撮影:丸山剛史/執筆:有山千春)
かつてのゲーム少年が子どもからの誘いで『フォートナイト』にどハマり
ーー15年以上ゲームをやっていないなか、40代後半で突然2年で4000時間以上をゲームの生配信に費やすようになったそうですが、幼少期はどれほどゲームと関わっていたのでしょうか。
小籔 ハードはファミコン、ディスクシステム、スーパーファミコンと一通りやり、ソフトは『ドラクエ』に『マリオ』に『信長の野望』に、200本以上家にありいろいろとやりました。
ーー結構な数ですね!
小籔 誕生日とクリスマスプレゼントに1本ずつ、さらにお年玉や、おばあちゃんがなんでもない日に買ってくれることもあり、そのくらいいきました。
ーー時間の制限はありましたか?
小籔 時間は全然決まっていなくて、夜中もやっていたら一応怒られはしましたけど、わりとバリバリやっていました。「勉強せい」と言う家でもなかったので。
ーーそんなにもヘビーユーザーだったのに、大人になってからはやらなくなり。
小籔 結婚と同時に貧乏になったので、「金も稼いでいない旦那がずっとゲームをやっているのものちょっとなあ」と。それに新喜劇のことを考えたり、アルバイトにも時間を費やしていたので、自然とゲームをやらなくなっていったんです。
ーーそれが、お子様きっかけで突然ゲーム熱が再燃したのですね。
小籔 子どもがゲーム好きになり、「一緒にやろう」と言われて、最初はちょっと付き合う程度だったんです。いろんなタイトルを勧められ、『フォートナイト』も最初は「いやだ」と言いつつちょっと付き合っていたら、だんだん「めっちゃおもろいな」となり、自分のSwitchを買い、子どもにやり方を教えてもらい、気づいたらめちゃくちゃやっていました。
でも、仕事場に出る以外にも休日でも考えないといけない仕事があるんですよね。「もっとしないといけないことあるのに。ドラムの練習とか、新喜劇の台本のことを考えないといけないのに。その時間を費やしてゲームをやるのって、ええんかな」と。でも、やりたいんです。
そんなふうにすごい葛藤があったとき、知り合いのディレクターから「YouTubeやらへん?」と声をかけられて、「『フォートナイト』のゲーム実況をYouTubeでやれば、仕事のテイになって罪悪感が消えるかな」と思い始めたら、「ええんかな」という罪悪感が消えて、無尽蔵になり2年間で4000時間になってしまった、ということですかね。
ーーほかのゲームにはない、ハマるほどのおもしろさが『フォートナイト』にはあったのでしょうか。
小籔 『フォートナイト』は、日々のコツコツが謙虚に現れるゲームなんですよね。大人になってからほかのゲームはやっていないので比較対象はないのですが、子どものころからやってきたゲームの中でいうと、ここまで基礎練習や日々の鍛錬が必要なゲームはなかったように思います。クラブ活動のような、スポーツのように思えたのがほかとの違いですね。50歳前にして改めて、「なんでもコツコツやるものなんやなあ」と感じられたゲームでした。
最初のころは「毎日やっているのに上手くならない」「みんな上手いのになんで俺だけこんなに下手やねん」と自分に腹が立つ日が続くんですが、半年経って当初の映像を見ると、「だいぶ上手くなってるやん! コツコツやってたら上手くなんねんな。できることができるようになるんやな」と。ドラムでも同じことを思いますが、フォートナイトは特にそう思います。
ーードラムやスポーツなどの趣味と、同じ軸なんですね。
小籔 そう思えたのは、ゲームが進化したからという部分もあると思います。
凝り性が『フォートナイト』にハマった結果、2年で4000時間を費やすことに
ーー本書には、新喜劇の方たちもやり始めそれぞれハマっていると書かれていますが、みなさん小藪さんと同じくらいどっぷりハマっているのでしょうか。
小籔 みんなそれぞれですね。僕はTouTubeの世界に来させてもらっているので、先人のYouTuberの方々やゲーム実況の道を切り拓いた方々、僕の配信を観てくれている人たちに、「こいつは生半可な気持ちでTouTubeの世界に来たわけじゃないんだな」とわかってもらいたいんです。努力してある程度のところまで上手くなり、結果を出しているところを見せないと筋じゃないと思っているんですよね。親子大会をやらせてもらっているのもありますし。
でも、本来は上手くなる必要もなくて。新喜劇の子たちは本業を大切にしながら楽しんでやっています。すっちーは「スナイパーが上手になったかなと思います」なんて話したり、酒井藍ちゃんはゲームのゲの字も言ったことがないのに「知り合いとやっていたら楽しいですね」と言っていたり。ほかにも、「風呂に入って寝つくまで2、3回やってから寝ます」みたいな、上手に息抜きとしてやっている人もいます。”エンジョイ勢””ガチ勢”なんて言葉がありますが、ゲームに対するアプローチの仕方はそれぞれですよね。
僕はYouTubeや親子大会があるから「上手くならならなければ」というプレッシャーを自分に課しているのでめちゃくちゃやっていますけど、元々「やるぞ」と思ったら凝るタイプではあるんです。ハマったもの全部ではないですが、これまではダーツやカメラに関しては、自分自身を振り返ると「上達しよう」「詳しくなろう」とやっていたので、そのときに似ているかもしれません。
ーーカメラは2013年に『アメトーーク』(テレビ朝日系)で「カメラかじってる芸人」としてご出演され話題になったり、『コヤブガチピン写真館』(フジテレビONE)という冠番組を持っていらっしゃいましたが、ダーツにハマっていた時期もあったんですね。
小籔 ダーツも上手くなる必要がなかったんですよ。結婚して少し経ったころ、ちょっとお金を持てて夜に飲みに出られるようになった30代半ばですね。まわりのみんながダーツをやり始めたんです。僕は誘われても「新喜劇もあるし、バイトもしているし、自分らを連れてバーでごちそうするほどの金は持っていないから、ダーツはいいわ」と言っていたんです。でも、みんなが「3本のうちの1本は真ん中に入るようになった」と言い出すようになったので「すごいことやんけ! やばい、差をつけられる前に俺も行かな!」と思って、無理やり行きだしたのがきっかけでした。店を調べて1人で行き始めたら、めちゃくちゃハマってしまって。店の人と戦ったり、大阪で強い人とはだいたい友達になり、大会にも出たりしたんです。週5で通ったり、39度の熱があっても行っていたんです。
ーー39度!
小藪 「仕事で2日行っていないし、3日行かないとマジでヤバなる」と思って、熱があったけど夜中1時から4時まで行って練習したり。その当時、「これだけ時間を費やしていたら、せめてお金にしないと」と思ったんですが、テレビにも出ていないし、仕事に繋がることはありませんでしたね。お金にならないことに時間を費やすのは芸人としてどうなんだろうと、「新喜劇の台本のこととか考えるべきやな」と痛感したんです。
ーーそんな背景があった上で、『フォートナイト』にハマったんですね。
小藪 だから息子が「ゲームをやろう」と誘ってきても、「いやいや、俺はダーツにむちゃくちゃ時間を費やしたけどお金にならなかったんやぞ。この時間を本業に費やしたら芸人としてどれだけよくなっていたんやろうか」と思ったから「いや、やらん」と。でもハマってしまい、「やばい、これ、またダーツっぽくなってる! 同じ轍を踏むのか……」と思っていたところ、時代はYouTubeがあった。ディレクターの知り合いもいるし、あのときより仕事もいただけている。YouTubeは大して登録者数もいないし、生配信ばかりやっているからお金にはなっていないんですけど、1年に1度親子大会を開催しているし、当時の”お金にならなさ”と違うとは自覚しています。
ーー超多忙ななか、どうやって4000時間費やせたんでしょうか。
小藪 最初の1年はほんとうに睡眠不足で、1日3時間睡眠でやっていました。夜10時から始めて朝8時まで生配信をやっていたんですよ。だからコメント欄に「私が見ながら寝落ちして、起きたらまだやっていて、いま出勤途中の電車の中で見てますよ」と書き込まれたりもしました。
ーー鬼配信っぷりに、同業者の方はどんな反応をしましたか?
小藪 たまに会う先輩には、「いつYouTube開いてもおまえがゲームやってるらしいな。仕事あるやろ? なにしてんねん。なんで急にゲーム?」と言われたりしましたね。新喜劇のメンバーが興味を持ち出したのも、ゲームのゲの字も言っていない、仕事のことしか考えていない僕が急にゲームをやり始めて、全国ツアーのバスの中で誰とも喋らずにSwitchを持ってヘッドホンをつけてずーーっとやっているのを見て、「そんなにおもろいんですか?」と。めっちゃ聞かれました。
『フォートナイト』をやっていなかったら、子どもの気持ちがわからなかった
ーーハマったきかっけとなったお子様とのご関係についておうかがいしたいです。本書には、当初は家庭のルールとして「ゲームは1時間」だったと書かれています。ご自身のご家庭では時間設定はなかったものの、制限を設けたのはなぜでしょうか。
小藪 僕の子どものころのゲームは、やることの意義や将来への繋がりなど、今よりだいぶ見えていない状態でした。「なんとなく身にならないことをダラダラとやっている」というイメージが当時もつきまとっていたし、父親になってから過去を振り返ると、「あのとき俺がゲームをやったことが、いま何かに生きているのかといえば、時間を費やしたわりにはそこまでではないな」と。だから肯定的になれなかったんです。それに、こんな思考回路もありました。
どうせ俺の子だからゲームをめっちゃ好きになるに決まっている→テスト勉強せなあかんのにゲームを2、3時間やって勉強をちょっとしかせんと寝てしまう→テストの点数が悪い→そのループになる→子どもが不幸になる→止めさせたい
別に子どもに対する意地悪でやらせないのではなく、俺が踏んだ失敗は踏まんといてほしいと思うのはどの親も同じだと思いますし、深く考えていませんでした。
嫁はんはもっと厳しかったんです。1時間を越えようもんなら、「越えてんで!」と怒気のこもった声を出して、それでもやっていたら「まだやってんで!」と言っていたのにもかかわらず、嫁はんからなんですよね。「うちの子、もっとゲームやらせてもいいかな」と言い出したのは。時代の後押しとゲームの進化に、お金になる可能性を見出せたんです。今は競技で賞金を稼いだり、子どものころにゲームをやっていたからゲーム会社で働く、という人も多くなったと思うし、YouTubeもある。当時なかった前例が、いまはあるんですよ。
たとえば将棋は、「1日6時間やっている」と言うと「偉いな」と親戚とかは言うと思うんです。これがゲームを「1日6時間やっている」と言うと、「んんん?」となる。なんでかというと、将棋をやっている人は、賢い人が多いというのがなんとなくみんなわかっているから。それに、将棋が強かったらプロ棋士になってお金持ちになる可能性があるというのが、見えているから。そういう将来が、見えているか見えていないかだけの差かなと、いまゲーム肯定派の僕は思います。
ゲーム界に、ふたつのゲームの二刀流で「どっちもすごい!」と言われて、ヨーロッパで賞金を稼ぎまくってスポンサーがつきまくって、しかも行儀がよくて、ゲームの歴史を塗り替えるような記録を連発する大谷翔平さんのような日本人スター選手が現れたら、親たちは一斉に「ゲームやっていいよ!」と言い出すと思います。
ーーたしかに、すぐに手のひらを返したくなる気持ちがわかります(笑)。一方で、個人的に『フォートナイト』への偏見も否めません。YouTubeなどで、とんでもない暴言を吐きながら『フォートナイト』をする小学生の動画などが散見され、「こんなに暴言を吐きまくるゲームをやらせるのは、いかがなものか」と思ってしまいます。
小藪 ゲームは家でやるので、子どもが暴言を吐くところが親は見えるんですよね。でも、たとえば公園で野球をやっているお子さんが、一切暴言を吐いていないのかというと、どうでしょう。友達の家でボードゲームをやっているお子さんは? ゲームはしていないけれど、外で暴言を吐いて親が気づかない子どもと、ゲーム中に親に見える場所で暴言を吐く子どもがいて、目の前で暴言について「あかん」と注意できたほうが、大人になったときにマシにあるのではないかなと思います。だからうちはチャンスができたというか、逆に良かったんじゃないかなと思うんです。
みなさん品行方正かもわかりませんが、僕は子どものころ、親の前で言ったことがない言葉を学校や友達には言ったりしていました。となると、親が見ていないところで悪いことや嫌な発言をしたりする可能性は、うちの子に限っては絶対にあると思うんです。僕がそうだったから。そんな僕の子どもだからって、友達の家で遊んでいるときに僕がずっと隣で見張るのなんて、友達もうちの子もイヤだろうし。それを今は、『フォートナイト』によって近くで見るチャンスがあるんですよ。親御さんからしたら、それってラッキーじゃないですか? そういう考え方もあるんじゃないですか? というご提案をさせてもらったらなと思っています。
ーーご提案ありがとうございます!(笑)課金についてもうかがいたいです。小藪さんは子どもの課金と、どう付き合っていますか?
小藪 最初は嫁はんが「課金なんて一切なし! そんなもんしたって意味なし!」と、旧来の親ですわ。僕も「せんでええ」と言っていました。僕らにしたら無価値なものに見えますが、この子たちにとっては欲しい物ではあるんですよね。僕も子どものころ親に、たとえば仮面ライダーのカードをせがむと、「お前にいままで買うたおもちゃ、いまやってへんやろ。だからそんなカードなんて集めてもどうせやらんようになる」と言われました。そう言われても僕はめっちゃほしかった一方で、たしかに、あんなにほしいと思っていたのに今はどこに行ったのかもわからない。親の言う通りでもあるんです。
それでいま、うちの子が「仮面ライダーのカードが欲しい」とせがんできたら、僕も欲しかったからリアルに気持ちがわかるんです。でも、彼らが欲しい物は画面の中にある。その感覚は僕にはないから、意味がわからないんですよ。「なんでこんなもんが欲しいねん」と。でも『フォートナイト』をやるうちにスキンの価値がわかり、僕は子どもの気持ちがわかっていなかったことに気づいた。それで、無尽蔵に課金する気はないもののある程度は交渉しながら課金する、というふうにはなりました。
だから、課金の良し悪し以前に、親の一方的な考えで「ない!」と突っぱねていたことが、実は子どもの気持ちがわかっていない親の言動だったと気付かされたことが僕の中での大きな変化でした。僕らが子どもの頃にはなかった感覚だから、考えるより先に「理解できへん」という物差しで測っていましたが、その前に子どもの「これが欲しい」という気持ちについて立ち止まって考えられるようになったんです。
これは課金についてだけではなく、子どもが何かほかのことで訴えてきたときに、真っ先に「それはなしやな」と断じていたことを、一緒に『フォートナイト』をやるようになってから、「ちょっと待てよ、こいつの気持ち的にどうやろう」と、立ち止まって考えて接するようになれたのは、僕自身が成長できた点です。
ーー子どもへの尊重を感じます。向き合い方が変わったことで、お子様との関係にも変化が生じましたか?
小藪 『フォートナイト』をやっていなかったら、子どもの気持ちがわからなかったし、子どもの立場になろうとせずに親のルールをただ押し付けて、それが正しいと思い込み、でも子どもとは心が通っている……という感覚でいたと思います。でも、全然通っていなかったことがわかったわけです。
いろいろな育て方があるので僕の育て方が正しいとは思いませんが、僕は子どもにはある程度、「理不尽についての免疫をつけさせなあかん」とは思っています。子どもの要求を丸呑みするという育て方は僕の中にはなくて、ある程度「世の中は思い通りにいかんぞ」という最初の理不尽は親なんだぞと。でも、それが行きすぎていたのかなと。そんなつもりはなく、むしろ「俺、子どもの気持ち汲んでるほうなんちゃう? 子どもの将来のことめっちゃ考えてるやん」と思っていましたが、「そうでもなかったな」とすごく思います。
あと変化といえば、子どもから「ゲームの中に嫌な人がおった」という話をされたとき。「自分がされたら嫌やろ。真似せんとき。『顔見えへんからする』って奴は日常生活にも嫌なところが出てしまうから、顔見えへん知らん人にこそ行儀よくしとかなあかんで」と伝えますが、それとよく似たことを僕が『フォートナイト』をやる前に言っても、共通のものがないのでピンと来ていませんでした。それが一緒にゲームをやるようになり、共通のもので話が進められるので、子どもに沁みる度合いが違うように思います。
ーー子どもから相談事が増えたりも?
小藪 そうですね、世間話を含め会話は増えたので、前よりも心が開いているような気はします。子どもが変わったというより、僕が変われたことがよかったです。
『フォートナイト』で変わる親子関係
ーーさきほどもお話に出ましたが、昨年から親子大会を主催され、今年4月には『GALLERIA presents 第2回 親子大会 Featuring Fortnite』 の決勝大会も行われました。開催のきっかけと、大会での印象的なシーンを教えてください。
小藪 各所で「僕は子どもに教えてもらい一緒にゲームをやるようになり、YouTubeもやるようになった」と話すと、「うちもです。子どもにハメられて一緒にやっています」という方が結構多かったんです。それで「どこの子が一番強いのか決める大会をみんなでやりましょうかね」と、上手くいくかわからなかったので、第1回目として小さなプレ大会を開催したんです。
そのとき、めちゃくちゃ下手くそなプレイヤーとむっちゃ上手いプレイヤーの2人組がいて、明らかに上手いほうが子どもで下手くそなほうは親なんです。下手くそな親が子どもに必死でついていって、良い武器や回復を子どもに渡したりして、親が子どもを軸にしてサポートをしていました。一方で、親がやられたら子どもがめっちゃ助けていて。声は聞こえませんが、「パパこっち来て! 俺助けるわ!」と言わんばかりに子どもが大人を担いで毒霧の中を走るシーンが映ったとき、動画のコメント欄が「泣ける!」という言葉で埋まっていました(笑)。僕のチャンネル登録者は30〜50代が多いのでね。
ーードラマチックですね!
小藪 1位の親子へのインタビューでは、お父さんが「いつもは僕が下手すぎて一緒にやってくれませんが、親子大会があるということで、『お父さん、大会に向けて一緒に練習しよう』と言ってくれて。2人で日々めっちゃ練習していたんです。本番も僕が失敗してやられてしまったとき、子どもが助けにきてくれておぶって走ってくれたときは、ほんとうに泣きました」と言うんです(笑)。そんな思わぬほっこりエピソードや感動があったので、「親子大会、イケるかもな」と確信しました。
ーーそれが第2回大会の開催に繋がったのですね。
小藪 第2回は大きくなり、いろいろなご家庭が集まりました。学校が楽しくないうえ親子の会話もないご家庭や、思春期のお子様がいるご家庭が、フォートナイトをやったら会話も増え、「一生懸命やる子どもを応援したい」というスタンスに変化した、みたいな。
第2回大会で印象的だったのは、仕事のために週6日お子さんと離れ離れで暮らす、シングルファザーのお父さんですね。お子さんは祖父母の家で過ごしていて、インタビューをすると「正直、寂しいです」と。お父さんも「子どもには苦労をかけている」と話していました。でも、離れていても毎夜一緒に『フォートナイト』をやりながら会話をしているそうなんです。「遠く離れたところにいながらもできる共通の趣味があって、ほんとうに助かっています」と言っていました。親子大会の決勝はほんとうにレベルが高くて親子とも上手な人ばかりなんですが、彼らも決勝に勝ち上がり、動画視聴者はおのずと彼らに心を寄せるじゃないですか(笑)。その親子が活躍するシーンがあると、コメント欄が、おじさんおばさん視聴者の「がんばれ! がんばれ!」というコメントで埋まっていました。
なので、この本を読んでいただいて「ほんまかいな」と思う人は、親子大会の動画を、インタビュー部分だけでもいいのでご覧いただけたらと思います。ちょっとはゲームに対する考え方や、子どもに対する接し方について「いままでマズかったかもな」と思い直すきかっけになってくれたらと思います。
こんなことを言うと、「うちの家は完璧な親子関係で子どももええ子に育っている」と聞こえるかもわかりませんが、0点です。うちの子どもも僕に対してどう思っているかわからないし、100点の親ではないですが、10点だったのが『フォートナイト』をやって子どもの立場になり考えなおして、30点にはなれたような気がします。
【書籍紹介】
ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由
著者:小籔千豊
発行:辰巳出版
ゲーム禁止だったはずの小籔家が一変。フォートナイトがキッカケでできた予期せぬ親子関係とは!?おっさんとして、そして親として、フォートナイトに出会って驚かされた。たくさんのことを伝えるべく、小籔千豊がペンを執った!
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