イーロン・マスク氏がTwitterを買収して以降、有料プラン「Twitter Blue」の認証バッジを悪用したなりすましアカウントが横行するなど混乱が続いており、上位100の大手広告クライアントのうち半分を失ったとの報道もありました。
そんななか、同社の米国内での2022 FIFAワールドカップ(以下、「W杯」)関連の広告収入が予想を80%も下回ったとの噂が報じられています。
これまでW杯はTwitterにとって、記録的なトラフィックや広告費が流れ込む絶好のチャンスとなっていました。しかし、米The New York Timesの情報筋によると、W杯が始まった11月20日時点での米国での広告収入は、その週の社内予想を80%も下回る水準で推移していたそうです。つまり、予想していた総額の5分の1しかなかったことになります。
そのためTwitterも、大手ブランドに対してさらなるインセンティブを提供するなど、急いで対応に乗り出しているとのこと。一部ブランドはスーパーボウルのようなイベント時の広告だけでいいとして、大幅な割引、あるいはどんな理由でも解約していい条項を付けているとも伝えられています。
また、自動車メーカーは最も懸念を示している広告主の1つだそうです。匿名関係者はゼネラルモーターズが、Twitterの内部データがマスク氏の所有するテスラ社と共有されるのではないかと疑っているとも語っています。
こうしたW杯関連広告の落ち込みを受けて、Twitterの2022年最終四半期(10~12月)の社内収益予測は、14億ドルから11億ドルに切り下げられたとのこと。もともと世界的な景気後退のなか、1年前の16億ドルから14億ドルに修正されていましたが、さらに落ち込んだかっこうです。
先週、EUの規制当局はマスク氏に、デジタルサービス法で義務づけられたコンテンツモデレーション(投稿管理)ルールを守らなければ、EU全域でTwitterの使用を禁止すると警告していました。その直後、マスク氏が買収後のTwitterではヘイトスピーチが激増しているとの報道も続いています。
マスク氏は「言論の自由絶対主義者」を名乗っていますが、そのために打ち出した施策によりTwitterから大手広告主が離れていき、EUでも使用禁止のリスクに晒されているわけです。そろそろ、全面的な方針の見直しを迫られるのかもしれません。
Source:The New York Times
via:Mashable