タクシーアプリ「GO」などを運営するMobility Technologies(MoT)は、全国のタクシー事業者と各種パートナー企業が参加する「タクシー産業GXプロジェクト」を始動することを発表しました。
このプロジェクトは、タクシーのEV(電気自動車)化によって再生エネルギーの活用や二酸化炭素排出量の削減し、タクシー産業の脱炭素化を目指すもの。2025年までに全国で2500台のEVタクシーを運用し、2027年までにCO2排出量を年間3万トン削減することを目標に掲げています。
同社の代表取締役社長を務める中島 宏氏によれば、日本の産業のCO2排出量のうち、運輸産業が占める割合は約17%になるとのこと。現在、タクシー産業におけるEV車の導入率は0.1%と極めて低いものの、タクシー産業がほかに先駆けて脱炭素化を進めることで、カーボンニュートラル社会の早期実現を目指したいとしています。
同社は全国のタクシー事業者を対象に、EV車両のリースや利用システムの提供を行うほか、同社が持つAIテクノロジーやデータを活用した包括的なサービスを提供。例えばタクシー運転手がよく休憩する場所をクラウドデータをもとに割り出して充電スタンドを設置したり、電力供給が過剰になる昼間の時間帯に電力を蓄電池に蓄え、充電に必要な電力コストを抑えたりと、EVタクシーを運用したことがない事業者でも低コストで導入することが可能となります。
EVタクシー車両には、パートナー企業であるトヨタや日産のEV車種を使用。トヨタ「bZ4X」や日産「リーフ」「アリア」などを用意するほか、将来的にはラインナップを拡充していきたいとのこと。
また、スマホアプリ「GO」のアップデートにより、利用したタクシーの走行距離からCO2排出削減量を算出し見える化することで、利用者にEV車種の積極的な利用を促進させる取り組みも実施予定(アップデート時期は未定。法人向けサービス「GO BUSINESS」では実装済み)。将来的にはアプリからEVタクシーを選択して配車するような機能も実装したいとしています。
本プロジェクトは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティー社会の構築」採択の支援を受けており、タクシー事業車はEV車両の導入や充電設備の設置などで助成金を受けることができます。
世界的にカーボンニュートラル化が進むなか、もはや待ったなしの状況ともいえる化石燃料依存からの転換ですが、EV車の導入でCO2排出量の削減を進めるMoTの新プロジェクトは、タクシー産業だけでなく運送業やほかの産業にも影響を与えそうです。
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