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2023/1/2 11:15

2022年のPCは低迷、だけどゲーミングやモバイルは期待が持てるかも?

2022年のPCおよび周辺機器の動向はどうだったのか、本記事で振り返っていきます。ですが、その前にここ数年の状況からおさらいしていきましょう。

 

コロナ禍によって急速に普及したリモートワークやオンライン授業の影響が大きく、個人でも久しぶりに家のPCを買い替える、もしくは、新たに購入するといった動きがみられました。

 

具体的にどんな動きがあったのか、JEITAが公開しているPC出荷台数の動きから、簡単に追ってみましょう。

 

出荷台数が大きく動いたのが、2020年後半~2021年前半です。リモートワークなどへの本格対応のため需要が膨らみ、前年の2倍以上もの出荷台数となった月があったほどです。しかし2021年後半は、買い替えや新規購入が落ち着いたこと、半導体不足による影響で供給が不安定だったことなどが重なり、急激に失速。月間の出荷台数も60万台前後で推移するようになりました。

↑JEITAが公開している「パーソナルコンピュータ国内出荷実績」をグラフ化したもの。調査対象は、Apple、NECパーソナルコンピュータ、セイコーエプソン、Dynabook、パナソニック、FCCL、ユニットコム、レノボ

 

では、2022年はどうかといえば、グラフを見てわかる通り、PCの出荷台数は微減しているものの、大きな動きはありません。

 

ライト層まで認知されるゲーミングPC市場に注目と期待がかかる

そんな中で、台数としてはまだ多くないものの、市場として注目され、伸びてきているのがゲーミングPC市場です。以前から、コアなゲーマーやeスポーツに興味がある人たちから注目されていましたが、それがライト層、一般層にまで認知されるようになってきました。

 

従来は、大型タイトルといえば家庭用ゲーム機というのが当たり前でしたが、今はPC版もほぼ同時にリリースされることが珍しくありません。また、「Steam」や「Epic Games」、「Ubisoft」といったPCゲームをダウンロード販売するオンラインストアで、日本向けタイトルが充実してきたことも大きく影響しているでしょう。とくに過去のビッグタイトルが安価に楽しめるとあって、ライト層にとって魅力的なものとなっています。

 

認知度の高まりやタイトル側の背景を受けてか、メーカーもゲーミングPC市場に力を入れています。その一例として、2022年の夏にNECパーソナルコンピュータが、「LAVIE GX」シリーズでゲーミングPC市場に参入したことが挙げられます。

↑ゲーミングPC市場への再参入は、24年ぶりというNECパーソナルコンピュータ

 

ターゲットを、これからPCゲームを始めたい人向けとしていて、ライト層を狙った製品となっているあたり、これからのPCゲームの広がりに期待していることの現れといえるでしょう。

 

また、ポータブルゲーム機タイプのゲーミングPCが高性能化してきているのも、最近の傾向です。とくに注目されているのは、Steamを運営するValveが発売した「Steam Deck」。海外では2月から発売されていましたが、日本でも12月から予約販売が開始されました。

↑両手でホールドして遊べる、ポータブルゲーミングPCの「Steam Deck」。こうしたデバイスの選択肢が広がることで、PCでゲーミングを楽しむ層がさらに増えるかもしれません

 

再び小型化? ノートPCのトレンドが変化の兆し

ノートPCを大きく分類すると、据え置きのメインPCとして使える15.6型以上の大型モデル、コスパに優れた14~15型モデル、1kg前後のモバイルPCとなる13.3~14型モデルなどが、その代表となります。

 

この中でもこれから大きな変化が起こりそうなのが、1kg前後のモバイルPC。コロナ禍でリモートワークが当たり前になると、あまり外にノートPCを持ち出さなくなり、モバイルPCの出番が少なくなってきました。しかし最近はリモートだけでなく、直接対面しての仕事も少しずつ復活してきています。

 

こういった変化に合わせ、より持ち出しやすいモバイルPCとして、さらにコンパクトなモデルが登場。そのひとつが、12.4型のレッツノートSRシリーズです。

↑レッツノートSRシリーズ。12.4型とコンパクトなだけでなく、画面比も3:2で縦に広くなっているのが特徴です

 

モバイルPCといえば、以前は10.1~12.5型あたりが主流でした。その後、使いやすさ重視で大型化していった経緯がありますが、今度は持ち出しやすさを重視し、再び小型化していく可能性があります。

 

もうひとつノートPCのトレンドとして注目しているのは、画面の縦横比の変化です。多くのノートPCは今でも16:9ですが、以前からマイクロソフトのSurfaceシリーズで3:2の画面が採用されているなど、ビジネスモバイル分野では、縦方向に解像度が高い画面が好まれる傾向にあります。

↑今年11月に発売された、2in1 PCの「Surface Pro 9」。13型で2880×1920ドット(3:2)の画面を採用しています。Excelなどの縦に広がるドキュメントのほか、SNSをチェックするにも16:9より便利です

 

ここ数年で少しずつ数が増えてきていることもあり、そろそろビジネスモバイル以外でも3:2液晶のノートPCが増えるかもしれませんね。

 

ディスプレイや通信機器などは細分化しておもしろい

周辺機器の分野では、ディスプレイにユニークな製品が登場。画面が広いほど作業効率が上がることから、2台並べて使うデュアルディスプレイの利用者も増えています。それなら、最初から2台分の表示ができればいいのでは……と考えたような製品が登場しました。

↑LGエレクトロニクスの「28MQ780-B」は画面比16:18、解像度は2560×2880ドットというディスプレイ。WQHD解像度ディスプレイを縦に2台並べたものと同じです

 

16:9を前提にしたソフトも多くあるだけに、これに合わせやすい画面比にしてあるというのがおもしろいところです。

 

また、Twitterの表示に最適だという小型の縦長ディスプレイが複数登場しています。

↑サンコーのツイ廃しか勝たん!「TL縦長ディスプレイ」

 

↑玄人志向のTwitterのタイムライン表示に最適な縦長ディスプレイ「KURO-MONI/8.8」

 

もちろんTwitter専用というわけではなく、縦長、もしくは横長のサブディスプレイとして使えるので、ソフトのツール類置き場、PCのステータス表示用といった用途でも活躍してくれます。こういった、ちょっと変わった製品が登場すると、ワクワクしますね。

 

通信機器では、従来の2.4GHzと5GHzに加え、さらに6GHz帯が利用可能な「Wi-Fi 6E」対応ルーターが登場しました。まだ対応機器はそこまで多くありませんが、ノートPCやスマホを中心に対応機器が増加中。来年には、広く普及していきそうです。

↑NECプラットフォームズのWi-Fi 6E対応ルーター「Aterm WX11000T12」。従来だと混雑する2.4GHzや5GHzではなく、空いている6GHzが使えるようになれば、通信がより快適になります

 

もうひとつ、USBを電源とする機器のコネクターがType-Cへ移行してきたのも、地味ですがここ数年の変化。これに合わせ、Type-C出力をもつPD対応電源も増えてきました。とくに昨年からは高出力品の小型化が顕著で、Anker Nano IIシリーズに驚かされた人も多いでしょう。

 

今年はこういった小型のUSB電源が多数登場し、低価格化。サプライ製品を扱う国内メーカーからも発売され、選択肢が増えました。

↑エレコムのGaN採用小型電源「ACDC-PD2245BK」。45Wと高出力ながら、約69gと軽量です

 

なお、Amazonのマーケットプレイスなどでは海外輸入品などが多く販売されており、さらに低価格な製品もあります。ただし、安全基準の怪しい製品もあるので、その点は気を付けたいところです。

 

最後に、個人的な意見……というか感想です。

 

2022年は、コロナ禍における特需といってもいいほどの反動で、PCの販売台数は低迷したままでした。しかし、こうして動向を振り返ってみると、モバイルPCの新しい動きや、PCゲーミング関連には期待が持てます。これらが大きな動きとなるにはまだ時間がかかると思いますが、2023年はモバイルPCを中心に需要が少しずつ戻り、今年よりPC市場全体が回復し、新製品が多数登場することに期待したいです。

 

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