正しい名前をちゃんと知らないままで使い続けているオフィス用品というのが、わりとある。例えば、下記の写真左側のもの……ハンドルを折り返して黒い板バネで紙を挟むこの文房具を、ちゃんと文房具屋の店頭で正しい名称を言って購入することができるだろうか。
実際のところ、「クリップ」ではまぁ50点がいいところだ。間違っちゃいないんだけど、どちらかといえば写真右側の「ゼムクリップ」のほうが、より広く「クリップ」と呼ばれる存在である。ほかには、「ゼムクリップじゃない方のクリップ」という言い方も聞いたことがあるが、それではあまりにも長すぎる。
日本国内での一般的な名称は「ダブルクリップ」という。ほかにも、ターンクリップやバインダークリップという呼び方もあるが、まぁダブルクリップと言えばどこの文房具屋さんでもハイハイと実物を出してくれるだろう。
では第二問。このダブルクリップ、実は色々と便利な進化版があることをご存知だろうか。ダブルクリップというと、ただ紙をはさんで留めるだけのド地味なアイテムだが、ちょっとした部分をバージョンアップさせることで意外と使いやすくなるのだ。
アレが邪魔にならない90度曲がるダブルクリップ
ダブルクリップは、機構上どうしても開くためのレバーが必要になる。必要なのはわかるけど、でもこのレバーがすごく邪魔なのだ。開く用にしたままだと紙束の外側にはみ出て邪魔になるし、内側に倒すと今度は留めた紙束が開きにくい。どちら側にしても微妙にイラッとさせられる。
それなら、あのレバーが邪魔にならないダブルクリップがあったら便利だろうな……。そう、予想通りやっぱり便利なのだ。
ベロス
Wクリップ フラットタイプ(中)
324円(5個入り)
ベロスの「Wクリップ フラットタイプ」は特殊な構造のダブルクリップ。ハンドルが90度横に曲がってたためるようになっているので、束ねた紙束を開くときにハンドルがひっかからない。この快適さはなかなか気持ちが良い。
ただ、やはり構造が特殊なだけあって値段が少し張る。ぶっちゃけ1個60円ほどと、ノーマルなダブルクリップの倍の価格になってしまう。さすがに普通のクリップ感覚で常用するには度胸がいるので、引き出しの奥に隠し持っておいて、ちょっと勝負どころの資料をとじるときに使うとか、クリティカルな使い方をしたい。
文字が隠れないシンプルなフレーム・クリップ
ダブルクリップといえば、黒い金属の板バネの弾力で紙を束ねる仕組みになっている。逆に言うと、あの金属板がないとクリップとしての用をなさないのである。機構的に必須なのはわかるが、あの金属板が書類の見出しあたりにかかってしまい、文字が見えないということがたまにある。ハンドルだけじゃなくて金属板も邪魔なのだ。
金属のワイヤーを曲げて作られたゼムクリップであれば、文字が隠れてしまうようなこともないんだが、しかしゼムでは保持力が弱すぎて厚い紙束をまとめることができない。であれば、ワイヤーだけで構成された、でも保持力の強いダブルクリップがあれば“文字隠れちゃう問題”は解決するはず。
サンケーキコム
リーンクリップ(M)
172円(4個入り)
サンケーキコムの「リーンクリップ」は、まさにそのもの。ワイヤーで作られたダブルクリップだ。普通のダブルクリップと比べると、本来板バネがあるべき部分がフレームだけになったような、スケスケの不思議な見た目になっている。これがポイントで、スケスケなおかげで束ねた紙束に描かれた文字が隠れにくいのだ。
あと、無骨なダブルクリップと違ってエレガントな見た目で、オシャレなのもいい。シンプルなぶんだけちょっとひ弱に見えるが、とじ枚数は板バネのダブルクリップと同等と実力も申し分なし。使いどころを選ばないスタイリッシュなクリップだ。
小粒でかわいい! ちょびっとタイプのダブルクリップ
書類をとじるのに、ダブルクリップを使うのはまったく普通のこと。ただ、「これちょっとオーバースペックじゃね?」と感じたことはないだろうか。
実際のところ、日常的な使い方であれば中サイズ(よく流通しているサイズ)のダブルクリップはとじ枚数60枚ほど。ホッチキスでもとじられる20枚前後の資料に使うには、明らかにオーバースペックなのである。
ライオン事務器
バインダークリップ(粒)/写真右
129円(10個入り)
じゃあ20枚ぐらいをちょうど良くとじられるダブルクリップのサイズはというと、なんとこれぐらいの。ライオン事務器の「バインダークリップ(粒)」だ。サイズ表記が大でも中でも小でもなく“粒”。現在市販されているなかでは最も小さいダブルクリップで、コピー用紙20枚前後をとじられるようになっている。
これなら普通にとじても、ほとんど紙束を開く邪魔にはならないし、文字が隠れることもない。このように不満は、ちょうど良いサイズのクリップでとじればだいたい解決するのだ。あと、チマッとしててすごくかわいいのも、いい。
とじ枚数が20枚でたりない場合は、もう少し大きいサイズもある。30枚前後までいけるサイズは「豆」だ。これもまたかわいくて使い勝手もバツグンだ。