スマホで動画サイトをだらだら見ていたら寝落ちしてしまい、もう出かけなければいけない時間。しかし充電は残り数%……ピンチ! スマホを使う人なら、誰しも経験がありそうな瞬間でしょう。2022年12月に発売されたシャオミのフラグシップモデル「Xiaomi 12T Pro」は、このような“ちょっとしたピンチ”を解決できるスマホです。
とにかく早い! 約19分でフル充電
Xiaomi 12T Proの一番の売りは、充電の速さです。独自の120W急速充電技術により、電池残量が0%の状態から、約19分でフル充電が可能としています。
実際にACアダプターに挿してみると、瞬く間に充電されていきます。充電中は電池残量が0.00%単位で表示されるようになっており、ストップウォッチで時間を計るかのように残量が増えていきます。室温20度の環境で、電池残量1%からフル充電にかかった時間は18分。ほぼ公称通りの時間で充電できました。室温が約5度の寒い部屋では充電のペースを若干落としているようですが、それでも30分で満充電になっていました。
単純に充電が速いというだけなく、たっぷり使えるのもXiaomi 12T Proの特徴です。バッテリー容量は5000mAhもあり、YouTubeやNetflixなどの動画再生をメインに使っても1日半は継ぎ足し充電なしで使用できました。あまりスマホを使わない日なら、1日使っても10%程度しか減りません。
急速充電だから「ながら充電」が減り、結果的にバッテリー消耗も抑えられる
力強い急速充電があると、スマホの使い方が変わります。たとえば、スマホの電池残量が10%を切っているときは、使い切ったときの充電の手間を考えて動画再生をやめるなど、抑制した使い方になりがち。また、スマホの電池消耗の原因として挙げられる「ながら充電」をしてしまう、なんて人もいるのではないでしょうか。
その点、急速充電があることで、短時間でフル充電できるため、たとえばシャワーを浴びて出かける準備をしている間に充電が可能。ながら充電を減らすことができ、結果的にバッテリー消耗を抑えられそうです。すぐに充電できるわけですから、少し待てば動画の再生も再開できるでしょう。
それでも急速充電によるバッテリー劣化が不安という人に対して、Xiaomiはバッテリー交換サービスを提供しています。Xiaomi 12T Proに限っては、発売から24か月以内なら、無償でバッテリー交換を受け付けるとしています。
「2億画素カメラ」は夜景にも強く、「SNS映え」な写真に
19分でフル充電の急速充電が目を引きますが、Xiaomi 12T Proはそれ以外もフラグシップにふさわしい機能、性能を備えています。
背面カメラはメイン、超広角、マクロの3眼仕様で、メインカメラは「2億画素(200MP)」と、スマホとしてはトップクラスの高画素センサーを搭載します。このセンサーは4つの画素を1つの大きな画素として撮影するピクセルビニング機能を備えており、暗所撮影に強いという特徴もあります。
実際の写りを確認してみても、特に都会の夜景のような明暗差が激しいシーンの表現が秀逸でした。AIオートで撮る色味は、ぱっきりくっきりとした色味になり、実物を目で見るよりも目を引く仕上がり。いわゆる「SNS映え」な写真を撮りやすいカメラという印象です。写真のトーンを簡単に変えられるカメラフィルターも用意されており、トイカメラ的な遊び方もできます。
オートモードでも被写体によってはボケ効果が強調されることがあり、手軽に雰囲気の良い写真を撮れます。ただし、髪の毛のような細かい被写体をうまく検出できず、ボケ効果がかかりつつも輪郭に不自然さが残った写真となることもありました。
【Xiaomi 12T Proの作例フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】
動画もゲームも快適なパフォーマンス
Xiaomi 12T Proの見どころは、まだあります。ディスプレイは2712×1220ドットの有機ELディスプレイで、リフレッシュレート120Hzの滑らかなディスプレイ表示にも対応します。SNSアプリのタイムラインの閲覧も、Webサイトのブラウジングもストレスはありません。
HDR10+とDolby Visionもサポートし、オーディオではDolby Atmosのステレオ再生に対応。スピーカーのチューニングは高級オーディオブランドのHarman Kardonが手掛けています。6.7インチと大きな画面もあいまって、卓上に置いて動画を視聴するには使い勝手が良いスマホといえます。
スマホの性能の要となるチップセットは2022年後半時点で最上位モデル「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載。メモリーは8GBです。加えて、本格的な水冷システムを搭載しており、重めの3Dゲームをプレイしても負荷を掛けずに処理できるようになっています。
生体認証は画面内指紋認証に対応。ロック解除までのスピードは早めで、ストレスを感じることはありません。このほか、おサイフケータイ(FeliCa)とNFCも対応しています。
シンプルなデザイン、防水は非対応
背面のデザインは落ち着いた仕上がりで、カラーはブルーとブラックの2色展開。3眼カメラの出っ張りがトレードマークとなっているほか、「Xiaomi」のロゴは横向きに配置されています。大きさは約163×76×8.8mm、重さは205g。画面サイズに見合う程度の厚みや重さに抑えていますが、手に持ってみるとずっしりとした重みを感じます。
両面ガラス張りの仕上げで、背面はすべすべとした質感。また、背面の左右はなだらかなカーブを描いており、手に持ったときに角が当たることはありません。ただし、手に持ったときの重心が安定しにくく、若干持ちづらいと感じました。
【Xiaomi 12T Proの外観フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】
持ちづらさは付属のシリコン製クリアケースを併用すれば見事に解決。スマホを持つときには滑り止めとしてもよく機能します。なお、ケースはカメラ周辺までカバーしつつも、ボタンも覆う形状です。とはいえ、ボタンが押しづらくなることはありません。
ちなみに、防水仕様はIP53相当の生活防水で、日本の一般的なスマホとは違い、水洗いは難しいと思うので注意が必要です。
付属の充電器はPCも充電できる
Xiaomi 12T Proに付属する充電器は、USB Type-C端子を備えるほかのスマホやタブレット、ノートPCなどへの給電も対応しています。筆者の手元にあったiPad Air(第4世代)やタブレットPCの「Surface Pro 8」も問題なく充電できました。他社製品への給電はUSB PD規格と互換性があり、最大30Wでの給電となるそうです。
Xiaomi 12T Proで120Wの急速充電を行なうためには、スマホと急速充電器、USBケーブルのすべてがXiaomiの独自規格「Xiaomi HyperCharge」に対応している必要があります。実質的には、付属の充電器以外では120Wで充電できないと考えた方がいいでしょう。Xiaomiでは独自の充電ICチップ「Surge P1」を開発しており、このチップにより20V・3Aの急速充電を可能としています。
その急速充電器はシングルポートのUSB充電器としてはやや大きめ。ケーブルもしっかりとした作りで束ねづらい作りとなっています。
個人的には自宅用と職場用など、可能であれば予備の充電器を確保しておきたいところです。ただ、Xiaomiによると充電器の単体販売は発売時点ではなく、2023年の上半期までに公式オンラインショップで販売する方針で検討しているとしています。
【Xiaomi 12T Proの充電器フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】
ややネックなのは販売価格
総評すると、Xiaomi 12T Proは、夜景も明るく撮れるカメラや、大画面で高精細なディスプレイなど、ハイエンドスマホに求められる機能をバランス良く取り入れたスマホと言えます。そして、スマホとしての使い勝手を変えるポテンシャルを秘めているのが、19分でフル充電できる超強力な急速充電技術。動画を視聴し続けたり、ゲームを存分に遊んだりしていて、充電切れが多いという人なら、Xiaomi 12T Proの急速充電は生活を変える機能となるでしょう。
なお、購入方法についてざっくり紹介すると、日本で販売されるXiaomi 12T Proは「オープンマーケット版」と「ソフトバンク版」の2種類が存在します。
「オープンマーケット版」はいわゆるSIMフリー版で、Xiaomiのオンラインショップでの価格は10万9800円(税込)となっています。家電量販店やいくつかのMVNOでも販売されており、たとえばIIJmioでは9万8820円(税込)で販売されています。
「ソフトバンク版」は基本的にはオープンマーケット版と同等の仕様ですが、大きな違いとしてストレージ容量が256GBに倍増されています。Xiaomi 12T ProはSDカードスロットが非搭載となっているため、本体にアプリやデータをたくさん保存したい場合は、ソフトバンク版を選ぶと良いでしょう。
ちなみに、ソフトバンク版もSIMロックフリーでeSIM対応となっており、他キャリアの回線を入れて使うこともできます。ネックなのは、ソフトバンクの直営店での価格は14万3280円(税込)とやや高めの設定なこと。ただ、「新トクするサポート」に加入すると、2年後の端末返却を条件に半額相当の負担で購入できます。こうしたサービスを利用するのがいいでしょう。
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】