いよいよ冬の気配が感じられる季節になりました。これからはますます冷え込みが厳しくなり、乾燥した日が増えてきますね。そこで今回は、湿度調整でお世話になる除湿機・加湿器の疑問と、本格的な冬に向けて準備しておきたい暖房家電といった季節家電の知っておくべき情報を集めてみました。「加湿器の方式の違いは?」「暖房器具はどの組み合わせが最適?」など、気になるポイントを家電のスペシャリスト、戸井田園子さんに答えていただきましょう!
Q1.除湿器のデシカント式、コンプレッサー式、ハイブリッド式の違いは?
A.消費電力や振動、温度の上昇などが違う
除湿機は、湿度を取る方式によって以下の3つのタイプに分けられます。除湿機をどの季節にどのような目的で使うのかを考えて、タイプを選びたいですね。
【除湿器のタイプその1】
コンプレッサー式
空気を冷やして水分を取り除く方式。コンプレッサーを通して冷媒(フロンガス)を循環させ、湿った空気を冷やして水滴に変えます。
コンプレッサー式の長所・短所
コンプレッサー式の長所は、高温時(25度以上)での除湿力が大きいので梅雨~夏場に向くこと。また、消費電力が小さく、ランニングコストも安いです。一方で、コンプレッサーがあるため振動音が響き、本体サイズが大きめなのが短所です。
【除湿器のタイプその2】
デシカント式
ゼオライト(乾燥剤)で水分を取り除く方式で、冷媒(フロン)を使わずに除湿が可能です。水分を吸着させゼオライトに乾いた空気を吹き出します。
デシカント式の長所・短所
デシカント式はコンプレッサー式と違い、低温時での除湿力が大きく1年を通して使えます。コンプレッサーがないため軽量コンパクトで静かなのも長所。ただし、吸着した水分をヒーターを使って水滴に変えるため、消費電力が大きくなり、部屋の温度も上がってしまいます。
【除湿器のタイプその3】
ハイブリッド式
上記2つのタイプを組み合わせ、状況に応じて使い分ける方式です。
ハイブリッド式の長所・短所
夏場はコンプレッサー式、冬場はデシカント式を切り替えて利用し、1年中変わらない除湿能力を維持する方式です。理想的な方式ではありますが、そのぶん本体価格は若干高めになります。
Q2.加湿器の気化式、超音波式、スチーム式、ハイブリッド式の違いは?
A.即効性や消費電力が変わってくる
加湿器には主に気化式、超音波式、スチーム式の3つの方式と、気化式or超音波式にヒーターを組み合わせた「ハイブリッド式」の合計4つ方式があります。以下にそれぞれ加湿の仕組みと長所・短所をまとめてみました。即効性、電気代、省スペース性、これらを考慮して生活スタイルに合った加湿器を選んで下さい!
【加湿器のタイプその1】
気化式
水を含んだフィルターにファンで風を送り気化させる方式。水に濡らしたバスタオルを干しておくイメージに近いですね。
気化式の長所・短所
ヒーターを使用せず、送風のみなので吹きだし口が熱くならず、消費電力も少ないです。ただし、急速な加湿には不向き。定期的な加湿フィルターの交換や手入れが必要です。
【加湿器のタイプその2】
スチーム式
ヒーターで水を加熱し、蒸気に変える方式。お湯を沸かして湯気を出すのと同じ原理です。
スチーム式の長所・短所
水を沸騰させるので衛生的で、加湿のパワーも高く即効性があります。ただ、吹きだし口が熱くなる機種もあるので注意。また、消費電力も大きいです。
【加湿器のタイプその3】
超音波式
超音波を当てて水を微粒子にし、ファンで送りだす方式。霧吹きのようなイメージでしょうか。
超音波式の長所・短所
コンパクトで部屋に気軽に置けて、インテリア性の高い機種も多いです。消費電力が少ないのも特徴。短所としては、水を加熱するわけではないので、タンク内の水で雑菌が繁殖すると、そのまま蒸気として外に放出されてしまう点です。
【加湿器のタイプその4】
ハイブリッド式
それぞれの方式の短所を補うため、2つの方式を組み合わせたもの。「気化式×ヒーター式」は、フィルターに送る風をヒーターで加熱し、加湿力を強めたタイプ。「超音波×ヒーター式」は、超音波式にヒーターを搭載し、立ち上がりのパワーをアップしたタイプです。
ハイブリッド式の長所・短所
状況に応じて2つの方式を使い分けて賢く省エネ。吹き出し口が熱くなりません。ただし、定期的な加湿フィルターの交換や手入れが必要になります。
Q3.加湿器を久々に使うとき、注意したほうがいいことは?
A.フィルター、タンク、トレイをチェックすべし!
空気が乾燥してきたので、ワンシーズンぶりに加湿器を引っ張り出してくるという人も多いかもしれませんが、使い始める前にまずは「フィルターにカルキが溜まっていないか?」「給水トレイやタンクが汚れていないか?」の確認をして下さい。
水が残ってぬめりがあった場合は、雑菌が繁殖している証拠なので、しっかり掃除しましょう。気化式やスチーム式は、フィルターによるろ過や、過熱による殺菌の工程があるのでまだいいですが、フィルター非搭載の超音波式は、雑菌入りの水が放出されてしまうためご注意を。使い始める前に、いま一度しっかりと確認すべし!
Q4.暖房器具のベストな組み合わせを教えて!
A.違うタイプを組み合わせて使うべし!
暖房は「部屋の空気を暖めるタイプ」(エアコンや電気ストーブなど)と、「身体を直接暖めるタイプ」(コタツや電気カーペットなど)の2つに分けられます。この2つを組み合わせることで、効率よく快適な暖房空間が生まれます。
また、部屋全体を暖めるタイプにも、エアコン、ファンヒーターなど空気を対流させる「対流式」と、電気ストーブ、カーボンヒーターなど赤外線で暖める「輻射式」があり、こちらも対流式と輻射式、違うタイプを組み合わせるのがポイントです。「エアコン+ファンヒーター」のように、対流式と対流式を組み合わせても、あまり暖房効率は上がりませんので注意しましょう。
Q5.夏家電をしまうときの注意点は?
A.きちんと手入れをしてから収納しましょう
涼しくなって、もう使わなくなったからといって、季節家電をそのまま収納してしまうのは厳禁。残った雑菌やカビなどが繁殖してしまう恐れがあります。除湿機はタンクを洗い、吸気部分のフィルターの手入れをして、本体を拭きます。ホコリ除け(箱に入れる・ビニールをかけるなど)をして収納して下さい。扇風機は、羽・カバーなどを取り外して汚れを拭き取りましょう。コンパクトにしたいなら分解した状態で箱に収納し、カバーをして収納しましょう。
エアコンは、天気の良い日に窓を開けて送風運転を30分して内部を乾燥させます。また、フィルター、送風口、パネルなどの汚れも拭き取っておきましょう。見逃しがちな、室外機周辺のゴミや吸気口のホコリも取り除くのも忘れずに!
【Profile】
家電コーディネーター
戸井田園子さん
雑誌やテレビなど、数多くのメディアにひっぱりだこの家電専門家。ユーザー目線に立ったわかりやすい解説で、読者の厚い信頼を受けています。