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掃除機
2023/3/14 20:45

掃除をアトラクションに変える。アンカーの最新コードレス水拭き掃除機「MACH V1 Ultra」

Ankerは、新ブランド「MACH(マッハ)」の第一弾製品となるコードレス水拭き掃除機「MACH V1 Ultra」の先行体験会を開催しました。

 

Makuakeでのクラウドファンディングで7000万円以上の支援を集めている本機は、吸引と水拭きを同時に行えるうえ、高温スチームやオゾン水による除菌機能を備えた、画期性のある一台です。「掃除の常識を覆す」をコンセプトに開発された本機の実力はいかほどか。体験会で感じたインプレッションをお届けします。

↑MACH V1 Ultra(右)。左はスチーム・床面乾燥機能のないMACH V1。右端に置かれているのは、充電ステーション

 

吸引・水拭き・スチームを1台にまとめた画期的製品

体験会に先立ってのプレゼンテーションに登壇したのが、MACH V1 Ultraの製品開発に携わったAnker 新事業本部 本部長の檜山達矢さん。檜山さんによると、本機開発の背景には「ユーザーが掃除機に求める水準が、性能、デザイン性の両面で高まっている」という市場環境があったといいます。手間をかけずに床面をキレイにしたい、コロナ禍によって高まった清潔感を求めるユーザーニーズを汲み取った同社は、吸引・水拭き・スチームの機能を一体化した、かつてない掃除機の開発を始めました。

↑プレゼンテーションを行う檜山さん

 

それらの機能をただ積み込んだだけでなく、ひとつひとつの水準を高めているのも本機の特徴です。たとえば水拭きやスチームに使用する水には、除菌効果のあるオゾン水を使用。オゾン水と110℃のスチームを組み合わせた除菌効果は99.9%にも及ぶといいます。また水拭きと同時に後方へ風を送り、拭き掃除後の床を乾燥させる機能を搭載。掃除をしたあとの清潔感にも配慮しました。充電ドックに置くとブラシが自動でクリーニングされるので、メンテナンスの手間がほとんどないのも嬉しいポイントです。

↑水タンクを外したところ。このタンクに水道水を入れるとオゾン水が自動で生成され、水拭きやスチームに使用されます

 

これだけ多くの機能を詰め込もうとしたがために、本機の開発は難航しました。その過程では、100台以上の試作を重ねたといいます。正式なサンプル品が届くまでは、檜山さんら開発陣も、満足のいく製品が出来るのか不安が強かったそうです。しかし実際に届いたものを使ってみると、目には見えなかった床の汚れまでしっかり取れていることがわかり、「掃除の常識を覆す」というコンセプトを体現した製品が生まれました。

↑開発途中に作られた、試作機とその部品たち

 

この製品コンセプトは消費者から高い支持を集め、Makuakeでは初日だけで4000万円の支援を獲得。そしてまもなく支援者たちに製品が届けられるのに先立って、今回の体験会が開催されました。

↑Makuakeでのクラウドファンディングは執筆時点(2023年3月12日)でも進行中

 

掃除に“アトラクション感”をもたらす

体験会の短い時間ではありますが、MACH V1 Ultraに触れた筆者も本機の秘める画期性を感じることができました。まず「汚れを取る」という面に関しては、文句がありません。吸引力は16800Paと強力。体験会では、粉、コーヒー、床につけたクレヨンが汚れの例として挙げられましたが、すべてをしっかり落としています。

↑左から、粉、コーヒーの汚れ。写りが悪いですが、右方にはクレヨンの汚れもついています

 

↑吸引・水拭き・スチームによって、床面の汚れがみるみるうちに落ちていきました。110℃と高温なスチームはすぐに蒸発してしまうため、写真にはなかなか写りませんでした

 

↑本機には専用の液体クリーナーも用意されており、これが掃除の効率をより高めます

 

また、タンクにセットした水道水からオゾン水を生成している間や、スチームの加熱を待っている際には、一種のアトラクション感すらありました。従来の掃除機では味わえなかった感覚です。

↑持ち手の部分にある液晶を見ながら行う操作も、掃除機らしさがなく新鮮です。こちらのボタンから、吸引モード・スマートモード(吸引+水拭き)・スチームモードの切り替えができます

 

↑タンク内でオゾン水が生成される様子。奥の方で泡が立っているのがわかります

 

↑スチームモードに移行するため加熱中。ブラシ下部に出ている赤いバーがだんだん右側へ伸びていき、横一線になったら加熱が完了したことを表します。加熱に要する時間は約20秒

 

↑掃除後、充電スタンドに本機を戻すと、ブラシのクリーニングが始まります。クリーナーやオゾン水は、このブラシ洗浄にも使われているそうです(写真はカバーを外した状態。通常は、カバーをかけたままクリーニングを行います)

 

ただし本機を使う場合、使い手も意識を変える必要があります。たとえば水拭き後の床の乾燥機能に目を向けると、使いこなしには少々コツがいると感じました。

 

本機が床面を乾燥させる仕組みは、掃除機のブラシ後方に風を送るというもの。つまり、乾かせるのは後方だけです。掃除機をかけるとき、ついつい前後に動かしてしまいがちですが、本機でそれをするとせっかくの乾燥機能が活かせなくなってしまいます。本機を使う際には、前進のみで後退をしない。ユーザー側も、意識を改めねばなりません。

↑スティック下部から、斜め下方向に風が出て、床面を乾かします。小型のジェットタオルを思わせる風量が出ていました

 

明確な欠点を挙げるとすれば、その大きさや重さでしょう。本機のサイズは高さ117.8×幅27.8×奥行25.4cm。一般的な掃除機と比較して、一回り二回りも大きくなっています。重さも5.7kgあり、ズッシリ感は拭えません。モップの回転力を利用して、前方向に動かす動作をアシストする機能がついているので、前進させるには軽快に動かせますが、垂直方向への重みはそれなりのもの。購入前には、少なくとも「軽くない」という認識は持っておいたほうがよさそうです。その重さゆえ、複数のフロアをまたいで使うのにも、向かないと思われます。

 

なお、スチーム・床面乾燥の機能がないV1は、V1 Ultraに比べて1kg軽く、サイズもやや小ぶりです。ただしそれでも、小型軽量とは決していえないでしょう。

 

“使うべき人”を確実に満足させる一台

MACH V1 Ultraは、確かな画期性を秘めた掃除機といえます。本機が適しているのは、1フロアの面積が広い家。スチーム機能があるので、ペットがいる場合など衛生面に気をつかいたい家庭では、特に力を発揮してくれるでしょう。

 

一方で、その新規性ゆえに、ユーザーを選ぶ部分もありそうです。サイズや価格(V1 Ultraの一般販売価格11万9900円(税込)、Makuakeでは20%オフ)の両面で手軽な掃除機とはいえませんし、床面・タイル・石材以外の掃除には適しません。

 

本機を体験した筆者の感想は、「使うべき人が使えば、確実に満足するであろう一台」。そう書きたくなるほど、本機の個性は尖っています。