スターバックスで、コーヒーにスプーン1杯のオリーブオイルを加えた新メニューが登場するなど、コーヒーに何かをプラスする飲み方に少しずつ注目が集まっています。そんなアレンジの一つに塩をプラスする方法をご存知ですか?
最近、アメリカのメディアでも話題になっている「塩コーヒー」。その飲み方は難しくありません。コーヒーを入れたら、そこにひとつまみの塩を加えるだけです。
できあがったコーヒーは、苦味が和らぎ、味が少し引き締まるのだそう。それもそのはず、塩には食べ物の苦味を抑える効果があることが、以前より知られているのです。例えば、料理でナスや芽キャベツに塩を振るのは、素材そのものにある苦味を抑える効果を期待する意味があるそうです。
1995年に発表された塩に関する論文では、塩に苦味をマスキングする働きがあることが改めて証明されました。塩には、旨味や風味を引き出す働きもあり、甘いものと苦いをものを混ぜて、そこに塩を加えると、甘味と苦味がそれぞれ強く感じられるようなったと言われています。
そんな塩を加えたコーヒーは、新しい飲み物ではありません。第二次世界大戦の時代までさかのぼると、当時は海水を真水に処理する装置がまだ不十分だったため、アメリカ海軍の兵士たちは塩気が残る水でコーヒーを飲んでおり、そのときからコーヒーの苦味が和らいでいることに気づいていたと言われています。
アメリカ以外に目を向ければ、ベトナムでは塩コーヒーを飲む習慣があり、スウェーデンなどの北極圏では、塩漬けにした肉やチーズをコーヒーに入れて飲む習慣があるなど、世界で塩コーヒーを楽しむ食文化があるのです。
筆者もコーヒーに塩を少量加えてみたところ、確かにコーヒーの苦味がまろやかになっているのを感じました。もちろん、コーヒーを飲むたびに塩を加えていると塩分過多になる心配がありますが、コーヒーの苦味が得意でない場合、ミルクの代わりに塩を加えてみたり、コーヒーのお供にチーズやハムなどの塩気の強い食べ物を試してみたりするのも良いかもしれません。
【主な参考記事】
Science Alert. People Are Adding Salt to Their Morning Coffee For a Rather Bizarre Reason. May 3 2023