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2023/6/2 18:30

ASUSの小型ゲーミングデバイス「ROG Ally」発売前チェック! 普通のゲーミングノートPCと比べてどうなの?

携帯ゲーム機市場が活況を呈しています。昨年にSteam Deckが発売されたことや、先日SIEがPS5の携帯機を発表したのは記憶に新しいところですが、今回はASUSが6月に発売する「ROG Ally」を取り上げます。

 

本機は、OSにWindows 11を搭載した、携帯ゲーム機型のPCともいえる製品。PCゲームだけでなくAndroidゲームも遊べる汎用性の高さが特徴です。本稿では、そのレビューをお送りします。

 

プレイできるタイトルの多さが最大の特徴

まずは本機の概要から紹介しましょう。最大の特徴は、なんといってもOSがWindows 11であることです。おかげでSteam、Xbox Games Pass、Epic Games、GOGなど、多様なゲームプラットフォームに対応します。Amazonアプリストアを使えばAndroid向けのタイトルもダウンロードしてプレイできるので、あらゆるゲームを楽しめる携帯ゲーム機といえるでしょう。この点は、これまでの携帯ゲーム機にはなかった特徴です。

↑ROG Ally。デスクトップ画面が表示されており、Windows 11を搭載している証拠です

 

ラインナップは2モデルあり、上位モデルのプロセッサーにはAMD Ryzen Z1 Extremeを搭載し、メモリーはLPDDR5-6400 16GB。ゲーミングPCと比べるとスペックは限定的ながら、多くのゲームを快適に動作させるスペックを備えています。

 

ディスプレイは7インチで、タッチパネルに対応します。解像度はフルHDですが、画面が小さいため、表示される映像はかなり高精細。Steam Deckも7インチのディスプレイを搭載していますが、本機の重さは約608gとSteam Deckの約669gより軽く、全体のサイズも一回り小さくなっています。

 

バッテリーの駆動時間は、ASUSの発表では、ヘビーゲームなら最長約2時間、クラウドゲームなどのカジュアルなタイトルでは最長約6.8時間となっています。また、30分で50%まで充電できる、急速充電にも対応しています。

↑本機の専用充電器。充電の際はこれを用いないと、本来の充電速度が発揮されないので注意

 

ソフトウェアの面では、異なるプラットフォームのゲームを一元管理できる「Armoury Crate SE」がプリインストールされているのが特徴。ゲームのタイトルを登録しておけば、複数のプラットフォームにまたがって、ここから起動できるので便利です。また、Armoury Crate SEからは、コントローラーの設定などもできます。

↑Armoury Crate SEのゲームライブラリ。この画面は、ボタンひとつで起動します

 

↑Armoury Crate SEからは、ボタンのファンクション設定などのあらゆる設定を簡単にできます

 

操作性は良いが発熱が気になる

さて今回は本機を使って、アクションMMO「War Thunder」で、空戦プレイしてみました。率直な感想は「操作性自体は一般的なコントローラーと変わらないが、スティックの感度は敏感」です。

↑右スティック。外周にはLEDが内蔵されています

 

本機には正面側に2本のスティックとABXYの各ボタン、方向ボタンがあり、加えて画面の左右にはArmoury Crate SE起動用など4つのボタンが配されています。また左右に2個ずつのトリガー、裏側にも2つのボタンがあります。一般的なコントローラーと比べるとボタンの数はやや多いような印象も受けますが、多いぶんには困りませんし、その割り当てはArmoury Crate SEから設定できますから便利な要素です。ただ、スティックの感度がデフォルトの設定ではかなり敏感に感じられました。プレイに大きな影響をもたらすので、ボタンの割り当ても含めて設定が必須と思われます。

↑ボタン割り当ての設定画面

 

War Thunderプレイ時のグラフィックはmediumに設定しましたが、本作の動作のうえでは問題は感じませんでした。また、FF15のベンチマークでは、フルHDの標準品質で「普通」との判定。ベンチマーク中のグラフィックを確認したところ、カクカクして見えるところはなかったので、おおかたのゲームはある程度快適に遊べそうです。

↑ベンチマークの結果画面。ちなみに軽量品質にしてみたら、スコアこそ2.5倍くらいに上がりましたが、判定は変わらず普通でした。快適性を高めたいなら軽量設定のほうがよいかも

 

操作や動作の快適性は良好ですが、ひとつ気になるのが発熱です。小さなボディに、ゲームに堪えるだけのハイスペックを組み込んでいるわけですから仕方のないことですが、膝の上に置いてプレイすると「熱いな」と思う程度には発熱します。これを考慮すると、椅子に座って卓上で使ったり、ベッドで寝転びながらのゲームプレイしたりがベストなように感じます。なお、発熱の割に冷却音は静かです。一般的なゲーミングノートPCと比較した場合、静音性は本機に軍配が上がります。

↑本機の背面。排熱口がありますが、ここ以外からも熱を感じます

 

また、Steam Deckより軽く小さいとはいえ、608gという重さは無視できるものではありませんでした。どのくらい重いかというと、肘を浮かせてプレイすると明らかに肩が凝りそう。椅子のアームレストや机を活用して、肘を置きながらプレイできる環境が必要なように思います。

 

7インチの画面を搭載しているだけあり、本体サイズも幅280.0×奥行き111.38×高さ21.22~32.43mmと、小さいとはいえないので、これを家の外で使うかといわれたら、人によって意見が分かれそうです。多くのゲームのプレイにはインターネット環境が必要になりますし、家の中でどこでもゲームをプレイできるマシン、程度に考えておいた方が無難なようにも感じました。とはいえゲーミングノートPCに比べて持ち運びやすいのは事実なので、友人宅にデバイスを持ち寄って、複数人でゲームを楽しむというようなシーンでは、有用なものになりそうです。

 

画面は綺麗で音も良い

本機の評価ポイントとして挙げておきたいのは、画面の美しさと音の良さです。解像度はフルHDですが、画面サイズが7インチであるぶん、20インチ以上のゲーミングディスプレイと比べるとピクセルがギュッと凝縮されている印象で、美しく見えます。リフレッシュレートも120Hzあるので、ゲーミングディスプレイとしてみても、十分な性能です。

↑FF15ベンチマーク中の一コマ。画面はかなり高精細に見えます。古い例えですが、PSPを初めて見たときの感動に似ているかも

 

また、音圧がしっかりしていて、普段木製のPCスピーカーを使用している筆者にとっても、かなり優れた音に聞こえました。有線・無線のヘッドフォンの接続も可能ですが、特段のこだわりがない限り、別途用意しなくても良いように思います。携帯機ではありますが、画面の美しさや音質といったハードウェアの基礎性能は、ゲーミングノートPCに迫るものといってよさそうです。

 

【SPEC】

CPU:AMD Ryzen Z1 Extreme

メインメモリ:LPDDR5-6400 16GB

グラフィックス:AMD Radeon グラフィックス(最大8.6TFlops FP32)

ストレージ:SSD 512GB(PCI Express 4.0×4)

サイズ:W280.0 × H21.22〜32.43 × D111.38mm

質量:約608g

税込価格:10万9800円

 

※AMD Ryzen Z1搭載のモデルも2023年夏に発売予定(税込価格8万9800円)