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2023/7/3 17:00

エルトン・ジョンだけじゃない。30代からでもあり得る「声の老化」とは?

先日、英国で大規模野外音楽フェスティバルのグランストンベリー・フェスティバルが開催されました。最も大きな注目を集めた出演者の一人は、エルトン・ジョン。76歳でヘッドライナーを務め、同イベント史上最大の700万人以上がBBC(英国放送協会)で視聴したとされていますが、彼の演奏を見たある解剖学の教授は、その声が以前とかなり変わったことに気付いたそう。年を取ると、なぜ人の声は変わるのでしょうか?

↑年を取り、声が変わっても歌い続けるエルトン・ジョン

 

英・ランカスター大学のアダム・テイラー教授は、声の変化は老化とライフスタイルに関係していると言います。

 

まず、他の身体の部分と同じように声帯も年を取ります。年を取ると、喉頭(さまざまな軟骨に覆われており、内側に声帯がある)が硬くなっていき、軟骨というよりむしろ骨みたいになるとのこと。この変化に気づかない人も少なくないそうです、男性の場合、早ければ30代に始まると言います。

 

また、声帯を動かす筋肉も加齢とともに衰え始め、声帯を支える靭帯や組織は弾力がなくなり、喉頭と同じように硬くなるそう。発声器官ではその他の筋肉も同様に衰え、喉頭は衰えていくと言います。

 

人の声が変わる理由は、加齢だけではありません。ライフスタイルも関係しています。例えば、喫煙と飲酒は声帯の局部に炎症を起こし、粘液の分泌を増やすと同時に粘膜の表面がかなり乾いてしまうとのこと。

 

一部の薬も声を変えてしまいます。喉頭炎を抑えるための吸入ステロイド薬や筋肉弛緩剤、血液希釈薬などをテイラー教授は挙げています。

 

その一方、仕事で喉を使い過ぎることも声にとっては負担。歌手だけでなく、先生やインストラクターなど職業柄よく発声する人は気をつけたほうが良いそうです。

 

どうやって声を守る?

老化は防ぎようがないものの、できるだけ声を「若く」保つためには、エクササイズを続けることが役に立つとのこと。毎日、歌を歌ったり、声に出して本を読んでみたり。このような運動を続けることで、声の質や声帯の衰えを遅らせることは十分できるみたいです。

 

普段の生活では、できるだけいつも声帯を潤し、たばこやお酒の量を減らすことが大切。このような心掛けで、私たちが年を取っても、エルトン・ジョンみたいに歌っていられるかもしれません。

 

【出典】

Adam Taylor. Why our voices change as we get older. The Conversation. June 29 2023