ウェザーニューズが24時間、気象情報を届ける配信番組『ウェザーニュースLiVE』。年を重ねるごとに注目度が高まり、今年4月にはYouTubeチャンネルの登録者数が100万人を突破。それを記念し、気象キャスターたちが一堂に会するファンミーティングが7月8日に開催された。チケットが即ソールドアウトし、追加公演も行われるほどの人気ぶりをみせたウェザーニュースLiVEファンミーティング2023。ここでは昼公演の模様をレポートするとともに、公演後に行われたインタビューについても紹介。
会場に足を踏み入れると、「ウェザーニュースLiVE」の放送で聞き馴染みのあるBGMが心地よく耳をくすぐる。この日のイベント内容は当日まで一切明かされていなかっただけに、まるで公開放送でも始まりそうなゆったりとした雰囲気に、来場者の緊張も少しずつ解けていくようだった。やがて開演の15分前になると、番組の人気キャラクターで気象キャスターも務めるウェザーロイド Airi(通称ポン子)の影ナレが。2日前の番組内ではイベントに呼ばれていないことを嘆いていただけに、声だけとはいえ、ファンにとってはサプライズの登場となった。(なお、このポン子の出演は本番直前に急遽決まったと後日の番組内で明かされた)
【各キャスター登場のシーンの写真はこちら】
この日、メインの司会を担当したのは山岸愛梨キャスターと総合演出の村Pこと村田泰謁さん。2人は改めてYouTubeのチャンネル登録者数が100万人を突破したことへの感謝の思いと、有観客のイベントが5年ぶりに開催できた喜びを語っていく。なお、5年前のイベントは客席が100にも満たない会場だったそうで、約900人が詰めかけたこの日の客席の景色に感無量の様子だった。
その後、2人はさっそくイベントに出演する7名の気象キャスター(魚住茉由キャスター、小川千奈キャスター、小林李衣奈キャスター、戸北美月キャスター、駒木結衣キャスター、檜山沙耶キャスター、高山奈々キャスター)と気象解説員の宇野沢達也さん、山口剛央さんをステージ上に呼び込んでいく。とりわけ、熱い拍手と声援に包まれたのは宇野沢さんと山口さんが登場した瞬間だ。番組を華やかに彩る女性キャスターたちに負けない人気ぶりを見せた気象予報士の2人。こうしたシーンからも、「ウェザーニュースLiVE」の番組視聴者が、普段からいかに気象に関する専門的な知識にも関心を寄せているかがうかがえた。
【金の盾開封式のそのほか写真】
YouTubeのチャンネル登録者数が100万人を超えた番組に贈られる「金の盾」の開封式に続いては、番組の人気コーナーの1つである気象キャスター同士によるクロストークをステージ上で展開。いつもは番組MCの交代のタイミングで行われる1対1のクロストークを、この日はそれぞれのキャスターが担当する時間帯に合わせて《朝のクロストーク》《昼のクロストーク》《夜のクロストーク》の3つに組み分け。まずは“朝の顔”とも言える高山さん、小林さん、小川さんが登場すると、3人は朝の時間を担当する楽しさを語りあっていく。キャスターになってまだ2ヵ月強の小川さんは、「視聴者の皆さんと一緒に朝日を迎えられるところですね」とコメント。その言葉を受け、小林さんも「どんどんと日の出の時間が分かるようになりますよね」と朝担当らしい“あるある”を語った。一方、高山さんは「これは私だけかも知れないけど……」と前置きしつつ、「どんな時間に起きても朝ごはんを食べられる!」とご飯好きで知られるキャラを発揮。すると、意外にも2人から、「分かります!」(小川)、「お腹が空いてなくても食べるし、起きたときが朝ごはんですよね!」(小林)と共感の声が上がり、出社時間の早い朝担当ならではの朝ごはん事情で盛り上がりをみせた。
《昼のクロストーク》には檜山さん、魚住さんに加え、この日のイベントの数時間前まで千葉のスタジオで生放送を担当していた松雪彩花キャスターが新たに参加。「さっき到着して、ポイっとステージに放り出された感じなので、今自分がどんな状況がよく分からない」と苦笑いをしつつ、ベテランらしい滑らかなトークで司会を務めていく。なお、小川さんと同期の魚住さんもまた、デビューをはたして間もないキャスター。そんな彼女に松雪さんから昼の時間帯の番組の魅力について質問が飛ぶと、「おやつリポートやライフスタイルリポートが楽しいですね」と、やはりここでも食べ物に関する話題が中心に。また、檜山さんの「私もランチタイムリポートの時間はお腹を空かせながら番組をやっていました」との言葉に、松雪さんが「じゃあ、みんな正直に手を挙げてね。ランチタイムリポートの写真を見てお腹が鳴ったことのある人」と全員に訊ねると、3人とも勢いよく挙手をし、会場の笑いを誘った。
【クロストークの写真はこちら!】
そしてラストの《夜のクロストーク》に登場したのは山岸さん、駒木さん、戸北さんの3人。トークの内容が「ムーン」(午後8:00〜11:00に放送される番組)で行われるクイズコーナー『REPORT 009』の話題になると、駒木さんは「私、なかなか成績は順調だと思うんですが」と正解率の高さに自信を見せる。ところが会場からの反応が薄く、「あ〜、微妙な空気に……」と苦笑い。一方、勝率が高いことで知られる山岸さんは「これからも(成績が)ひっくり返らないように頑張りたいと思います!」と意気込みを熱く語った。また、食いしん坊キャラであり、食レポの巧さに定評がある戸北さんには、山岸さんからいきなり「いま座ってるイスを食べるとしたら……?」とのムチャブリが。それでも間髪を入れず「このイスは大きいから、食べごたえがありそうですね。細長い脚はサクサクしてそうですし」と動じることなくイスの食レポ(!?)を展開していく。さらにそこへ同じく食いしん坊キャラの駒木さんまで参加し、イス食レポはどんどんとエスカレート。そうこうしているうちに舞台袖から村Pの「何をしているんですか!」とツッコミが入り、トークコーナーは強制終了となった。
【宇野沢さん、山口さんの解説のコーナーの写真一覧】
ここからは宇野沢さんと山口さんがそれぞれ登場し、短い時間ながら気象解説を。宇野沢さんはこの夏注意しておきたい気象現象として、近年よく耳にする線状降水帯の発生メカニズムを説明。また、今後起こりうる出水期の気象被害に関して、「早めに情報を得て対策をとることが大事。避難の仕方には、自分の家から避難場所に移動する《水平避難》と、自分の家の中で高い場所へと移動する《垂直避難》がありますが、土砂災害の場合は水平避難一択です。もしそれだと間に合わない場合は垂直避難を選択し、体に対する被害をできるだけ減らしてください」と呼びかけた。また、山口さんは専門分野である地震にまつわる話を展開。体に感じない地震を含めると日本列島では一年間に15〜20万回ほど地震が起きているそうで、そのうち体に感じる地震は一年に2000回以上あるとのこと。なかでも、去年、体に感じる地震が多かった県庁所在地は栃木県宇都宮市で、その数108回。反対に、一年に2回しか起きなかった場所として松江、松山、長崎、広島、名古屋を挙げ、西日本側の地震の少なさをデータで示した。しかしながら、「西日本でも大きな地震が起こりうる可能性はあります。どこにいても油断できませんので十分な備えを」と山口さん。観客も、こうした普段なかなか知ることのできないデータや解説に熱心に耳を傾け、気象番組ならではの時間を堪能しているようだった。
後半はバラエティコーナーへ。「ウェザーニュースL!VE」にまつわる◯✕クイズや番組のオープニングテーマを当てる『番組イントロどん!』が行われ、会場にいる観客も事前に配られたうちわやペンライトを使って参加。特にイントロクイズはほんのわずかな音にもかかわらず会場の正解率が高く、視聴者たちの番組愛が感じられた。そして最後はチーム対抗の「お天気伝言ゲーム」を(Aチーム/松雪・檜山・小林・魚住・小川、Bチーム/山岸・戸北・山口・高山・駒木)。機材トラブルでほぼジェスチャーゲームになってしまうというハプニングがあったものの、それが好転し、気象キャスターたちの普段は見られないキュートなポーズが連発する展開となった。
【〇×クイズの写真一覧】
【番組イントロどん!の写真一覧】
【Bチーム(山岸・戸北・山口・高山・駒木)の伝言ゲームの様子】
【Aチーム(松雪・檜山・小林・魚住・小川)の伝言ゲームの様子】
エンディングでは再び全出演者が登壇し、それぞれにひと言ずつ感想を。また、ウェザーニューズ取締役のバシこと石橋知博さんも姿を見せ、「今日のイベントを舞台袖から見ていて、皆さんから感謝をされ、またこちらからも感謝を返すという、会場の中にずっと感謝の渦が流れているように感じました」とコメント。そして、「ウェザーニュースには感謝の気持ちを回しつつ、これからは天気を当てるだけじゃなく、地球をもっと住みやすい場所へとみんなで変えていくような力があるんじゃないかと信じています」と番組への想いと展望を語り、約2時間のイベントに幕を下ろした。
▼イベントアフタートーク
──5年ぶりのファンミーティングを終えての今のお気持ちは?
山岸キャスター これまでやってきたイベントに比べて、お客さんの数が多くてびっくりしました。5年前まではよくイベントを開催していたのですが、会場がもっと小さかったんです。今回のように大きな会場で、しかもあっという間にチケットが完売してしまうぐらいの盛り上がりになっているというこの状況に、「ウェザーニュースLiVE」のチャンネルがどれだけ愛されているかということを実感することができました。また、今回のイベントを通して、普段の私たちがいかに皆さんに支えられて番組をお届けできているのかということをより感じましたので、これからも皆さんに信頼していただけるような気象予報をお届けしたいと思います。
──村田プロデューサーも司会として登壇されていましたが、会場の景色を見てどのように感じましたか?
村田さん 日頃から番組を応援してくださる方や支持してくださる方々、そうした皆さんがイベントにまで来ていただけるメディアになっているんだなということを強く実感しました。また、こうした光景を見たキャスターから最後の挨拶で、「自分がもっと成長して、皆さんにより気象情報を届けられるようになっていきたい」という発言が出てきたことがすごく嬉しかったです。その意味でも、成長の場をいただけたなと感じています。
──山岸キャスターが今も昔も変わらず大切にしていることはなんでしょう?
山岸キャスター これだけ番組が大きくなると、番組を見るようになったきっかけがお天気情報なのはもちろん、切り抜き動画で知ったという方などもたくさんいらっしゃいます。それでも、やはりこの番組がいちばん力を発揮するのは災害時なんです。台風や地震のときのアクセスの伸びがここ数年は本当にすごいことになっていまして。だからこそ、ときにはふざけたり、今回のようなイベントを開催しながらも、災害時には安心して見てもらえるような、そんなメディアを目指していきたいなと思っています。これは1年目から変わらず思っていることです。
──山口さんに。客席からの声援がひと際大きかったようでしたが、このような状況をどのように感じていらっしゃいますか?
山口さん ……いやぁ、なんでこんなことになったんだろうというのが正直なところです(苦笑)。ただ、普段から自分をさらけ出しすぎているぐらいさらけ出しているので、切り抜き動画もたくさん残っておりまして……(笑)。そうした自然体なところが皆さんに受け入れてもらえているのかなと思っております。また、山岸キャスターのコメントに「楽しく」という言葉がありましたが、私は主に地震の話をすることが多いため、楽しい番組をお届けしながらも、災害時にはシビアに伝えていくということを心がけております。これからもそうした姿勢は変えず、伝えるべきことを伝えていけたらと思っております。
撮影/中村 功 取材・文/倉田トモキ