今回レビューするのは、10月にダイソンから登場したアップライト型の掃除機「Dyson Small Ball(ダイソン スモールボール)」です。アップライト型というと日本ではあまり見かけませんが、イギリスやアメリカでは、約半数の家庭で使われている一般的な掃除機だそう。ダイソンはその吸引力に自信を見せていましたが、果たしてこの形は、日本でも受け入れられるのでしょうか? その使い勝手を実際に使ってチェックしました!
他モデルに比べサイクロン部やダストボックスが大きい!
キャニスターでもなく、コードレススティックでもない。「アップライト型」と聞いて、何それ? と思った人も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、コード付きのスティック型掃除機ですが、最大の特徴は吸引力。ホースを通らず、直接吸い上げる構造のため、パワフルにゴミを吸ってくれるのです。
さらにこの「スモールボール」に関しては、19個ものサイクロンを2層に設置しているため、より強力な吸引力を実現。その実力は、当のダイソンが「ダイソンの掃除機の中で、もっともゴミを吸い取る」と言ったほどですから、かなり自信があるようです。
とはいえ、最初に見たときは正直、「時代に逆行している?」と思ってしまいました。掃除機が年々コンパクト化するなか、かなり大きく感じるし、ゴツゴツしていて、いかにも業務用という感じ。そこで、今わが家で使っている掃除機と並べてみたところ……設置面積に大きな違いはないものの、サイクロン部やダストボックスがかなり大きいのがわかります。
思ったよりは動くけど……やっぱり重い(笑)
見た目だけでなく、使い方もユニーク。自立している状態で使うときはヘッドを足で押さえつつ、ハンドルをぐっと倒せば自立状態が解除されます。そして電源ボタンを押すと……ギュイーンとものすごい勢いでゴミを吸い始めました。その勢いと音に一瞬戸惑いましたが、気を取り直して、まずはフローリングの上を動かしてみることに。
操作性については、思ったよりは小回りは効くものの、やっぱり重く感じます。それでも、本体重量5.42kgを片手で操作していると考えれば、もっと重く感じてもいいはず。このヘッドの上のボールに込められた「ボールテクノロジー」が功を奏しているのかもしれません。また、本体が重いぶんゴリゴリ進む感じで、音や感触からして、フローリングに力がかかっている感じ。特に傷つきやすい床材には、気を付けたほうがいいかも……。
この時点では、「やっぱりアップライト型は異文化すぎるのか……」と思っていましたが、その後、一転して「これは使うべき!」と思わされる出来事がありました。
カーペットで本領発揮! 今まで取れなかったゴミも根こそぎ吸引
それは、少々毛足が長いラグの上で掃除機をかけたときのこと。わずか2畳ほどの広さを一通り掃除した後でダストボックスを見ると、ものすごいゴミがたまっていたのです! 実は、これこそがダイソンのアップライト型の真骨頂でした。
フローリングを掃除したときは、目に見えていたゴミがそのまま取れた感じだったのに、カーペットからは目に見えていた以上の大量のゴミが。しかも粉塵のような細かいゴミがいっぱいです。もしや、と思い、カーペット敷きの2部屋も掃除してみたところ……ダストボックスがぎっしりになってしまいました。
これがダイソン×アップライト型の真の実力か! 軽さや操作性は多少犠牲にしつつも、吸引力にこだわったのは、カーペットのゴミを根こそぎ吸い取るためだったんですね。なるほど、カーペットで土足文化のイギリスやアメリカで受け入れられる理由がわかりました。
まさかのホース内蔵! 狭い場所や高い場所の掃除もOK
最初は、日本の家屋でこんな仰々しい掃除機を使わなくても……と思っていました。しかし、この結果を見てしまうと、カーペットが多いわが家では、これくらいの吸引力が必要なのでは……と真剣に悩んでしまいます。結局本機には、見た目にふさわしい業務用クラスの実力が伴っていたということですね。
とはいえ、こんな形だと、狭い場所や高い場所が掃除できないな……と思っていたら、予想外の仕掛けがありました。ハンドルを抜き取ると、そこには、なんとホースが! ホースの先にもう一度ハンドルを差し込むとキャニスター型のようにも使用でき、アタッチメントの利用で、高所や隙間もしっかり掃除できるのが便利です。
カーペットが多い家には断然オススメ!
正直に言って、このダイソンスモールボールは、フローリング中心のお宅にはあまり向いていませんし、操作感がやや重いことから、狭くて複雑な間取りには向いていません。ただし、その吸引力は別次元。わが家のようにカーペットが多い家では、絶大な威力を発揮します。本機は、広く日本の家庭に普及するとはいえませんが、ペットの抜け毛に悩まされている場合や、店舗など、大量の人が行き交う場所で使う場合は、これ以上ない選択といえるでしょう。