現在放映中の連続テレビ小説「らんまん」(NHK)では大学教授の夫を支える妻・田邊聡子、「僕たちの校内放送」(フジテレビ系)ではラジオ好きでクールな女子高生・藤原瑞輝と、全くタイプの違うキャラクターを演じている中田青渚さん。実力派俳優として映画・ドラマに引っ張りだこの中田さんに、2本のドラマの撮影エピソードや、今ハマっていること、オフの過ごし方などを伺いました。
【中田青渚さん撮り下ろし写真】
登場したばかりの聡子との違いに注目して
──朝ドラに出るのが目標だったそうですが、「らんまん」で夢が叶いましたね。中田さんは要潤さん演じる東京大学植物学教室の田邊教授の妻・聡子を演じていますが、オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。
中田 オファーをいただいたときは、すでに「らんまん」が始まっていたので、一視聴者として見ていたんです。だからマネージャーさんから台本を渡されて、ビックリ以外なかったです。お話をいただいてから撮影までの期間も短くて、実感のないまま撮影に入って。自分が出演している回が放送されて、ようやく実感できました。
──朝ドラならではの現場の雰囲気ってありますか?
中田 すごくチーム感があるなと思いました。長期間に渡って撮影しますし、メインキャストさんとスタッフさんは毎日会っているので、息が合っているんですよね。登場人物も多いので、私がポンと入っても、アットホームに迎えてくださいました。
──とはいえキャリアのある俳優さんばかりですから、相当緊張もしますよね。
中田 すごく緊張しました。ただ聡子の初登場シーンを最初に撮影したので、聡子の緊張と私の緊張が良い感じにリンクして演じることができました。
──聡子を演じる上で、どんなことを意識しましたか。
中田 最初はおどおどしたキャラクターなのですが、衣装合わせのときに監督に言われたのが、「聡子はしっかりした家庭に育って、良い学校に行かせてもらって学があるので、おどおどしているだけのキャラクターにはならないようにしてほしい」と。だから、落ち着きがあって、所作がちゃんとしている女性でいようと意識しました。
──20週目で田邊教授が東京大学から失墜します。それに伴い、これまで夫の影に隠れていた聡子が、子どもたちを守りながら力強く成長を遂げていきます。変化していく聡子を演じる難しさはありましたか?
中田 基本的に順撮りなので、自然と気持ちを持って行きやすかったです。ただ、普段はあまりしゃべるタイプではない聡子が、大事なことを伝える重要なシーンがあるのですが、そのときは感情がしっかりと乗るように演じました。
──浜辺美波さん演じる寿恵子とのシーンも多いですが、浜辺さんとの共演で印象に残っていることは何でしょうか。
中田 聡子には二人の子どもがいますが、演じている子役の子たちが本当に元気で。私の中で子役の子は落ち着いているイメージだったんですけど、二人は会った瞬間から仲良くなって、手を繋いで走り回っていたんです(笑)。あまり私は小さい子たちと接する機会がなかったので、わたわたしていたら、浜辺さんが「ちゃんと座ってね」と優しく言ってくださって。そしたら二人とも静かになって、すごく心強かったです。
──21週目以降で、聡子目線での見どころをお聞かせください。
中田 回を追うごとに聡子は成長して、立派な母親になっていくので、登場したばかりの聡子との違いに注目して観てもらえるとうれしいです。
青春を追体験できた「僕たちの校内放送」
──出演中のドラマ「僕たちの校内放送」が8月22日の放送回で最終回を迎えます。最初に台本を読んだときは、どんな印象でしたか。
中田 校内放送をテーマにした作品で、二人の男子高生と一人の女子高生が織りなす青春群像劇と聞いたときは、かわいい感じの学園ドラマかなと思ったんです。ところが台本を読んだら、恋愛要素は一切なくて、しかも私の演じる藤原瑞輝(ふじわら・みずき)はクールでとがった女の子。思っていた学園ドラマとは違うなという驚きがありました。
──瑞輝のしゃべり方は、普段の中田さんよりもトーンが低いですよね。
中田 瑞輝のようにクールで、ツンデレ要素のある女の子を今まで演じたことがなかったので、すごく新鮮でした。初日の撮影で声を落としてしゃべることを意識して演じたら、監督から「もう少し楽しそうにしてほしい」と言われて(笑)。ただ声を落とすだけだと楽しそうに見えないんだと気づいて、そこのバランスはちょっと難しかったです。
──メインキャストを務める木戸大聖さんと前田旺志郎さんの印象をお聞かせください。引っ込み思案で目立たない存在の放送部員・今野浩哉(こんの・ひろや)を演じる木戸さんは初共演だったそうですね。
中田 私よりも3歳年上なので、ちゃんとコミュニケーションを取れるか不安だったんです。でも接してみるとフレンドリーで、たまに年下なのかなって思うぐらい少年っぽさがある方で、すごく安心しました。その一方で、座長らしさも兼ね備えていて。撮影スケジュールがタイトだったので、スタッフさんも大変だったのですが、率先して声をかけていらっしゃって、ちゃんと周りが見えている方だなと思いました。
──クラスの“陽キャ”グループに属しながらも、今野のパートナーとして一緒に校内放送を盛り上げる大城健太(おおしろ・けんた)を演じる前田さんとは、過去にも共演経験があるそうですね。
中田 『うみべの女の子』という映画でご一緒したことがあって、そのときは、しっかりしていて、熱量を持って仕事に取り組む方だなという印象がありました。ところが今回は、木戸さんと気が合ったみたいで、ずっと二人で本物の高校生みたいにわちゃわちゃしていて(笑)。お二人ともバスケ経験があるみたいで、体育館で撮影した後に、見たことないような汗をかきながら一緒にバスケをやっているんです。その姿を見て、しっかりしているだけじゃなくて、かわいらしい部分もある方なんだなと思いました。
──校内のマドンナ・夏川茜(なつかわ・あかね)を演じる米倉れいあさんの印象はいかがでしたか。
中田 まだ18歳と聞いて、年下の子と共演する経験もほとんどなかったですし、正直びびっていました(笑)。10代だからこそのキラキラ感があって、声もかわいくて、ヒロインに相応しいと思いました。
──米倉さんとはうまくコミュニケーションは取れたんですか?
中田 すごくゲームが好きみたいで、休憩中に誘ってくれました。いつも、れいあちゃんから積極的に話しかけてくれたし、私のほうが遊んでもらっていた感じですね(笑)。
──「僕たちの校内放送」に出演して、ご自分の高校時代と重なる部分はありましたか?
中田 私は高校生になるタイミングで上京したので、部活も入らなかったですし、共感よりもうらやましいという気持ちが大きかったです。これが青春か! と思いました。
『メイちゃんの執事』を全巻揃えたくてオーディションに応募
──先ほど高校入学のタイミングで上京したというお話がありましたが、そもそもこの世界に入ったきっかけは、マンガを全巻揃えたかったからだそうですね。
中田 全く芸能界には興味がなくて、賞品だった図書カード3万円分が欲しくて「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」を受けました。『メイちゃんの執事』という少女マンガを集めていて、全20巻あったのですが、新刊で揃えたかったんです。そこまでお小遣いをもらえないから、これだ! と思ってオーディションを受けたらグランプリをいただいて。おかげで全巻揃えることができました(笑)。
──他にどんなマンガを集めていたんですか?
中田 『ストロボ・エッジ』や『アオハライド』など、王道系の少女マンガが多かったですね。『ストロボ・エッジ』が全10巻、『アオハライド』も当時出ていたのは10巻ぐらいだったので全巻揃えることができたのですが、『メイちゃんの執事』は強敵でした(笑)。
──最近はマンガを大人買いすることはないんですか?
中田 あまり部屋に物を置かないようにしているので、持っていたマンガも実家に送りましたし、今は幾つかマンガアプリを入れて読んでいます。所有欲も子どもの頃はありましたけど、大人になったら自分で買わなければいけないので(笑)。私のお母さんは厳しくて、なんでも買い与えるタイプではなかったからこそ、中学生の頃は余計に欲しいという気持ちが強かったのかもしれません。年齢を重ねて、お母さんの気持ちが分かるようになりました。
──今は何かを集めることはないんですか?
中田 まだ集めるというほどではないんですけど、花瓶に興味があって。このお仕事をしていると、お花をもらうことが多いのですが、二十歳を過ぎた頃から、花を飾ると華やかになるからいいなと思い始めて。それで最近、自分の部屋にも花を飾りたいなと思って、花瓶を二つ買いました。いろんな形が欲しいので、もうちょっと揃えたいなと考えています。
──今ハマっていることはありますか。
中田 編み物です。去年の冬、耳まで隠れる暖かいモコモコの帽子を作りました。今はカバンを編んでいるのですが、細い毛糸で編み始めてしまったので、編んでも編んでも進まないんです(笑)。
──昔から編み物が好きだったんですか?
中田 お母さんが好きだったので、小学生のときに一緒に編み物をしていました。それ以来なので約10年ぶりに編み物を始めました。すっかりやり方も忘れていたので、YouTubeで編み物の動画を見て編みました。帽子は太い毛糸を使ったので数日で完成しました。
──もともと帽子好きなんですか?
中田 そうではなかったのですが(笑)、当時、「しょうもない僕らの恋愛論」というドラマの撮影中で役柄の髪形もあり、撮影後は髪の毛をまとめて帰りたくて。真冬で寒かったのもあって、それで帽子を編もうとなりました。カバンも早く仕上げたいのですが、年内にできるのかな……。
学生役はできるうちにたくさんやりたい
──オフはどう過ごすことが多いですか。
中田 基本、家にいます。妹と一緒に住んでいるのですが、よく一緒にアニメを観ています。妹の学校で流行っているアニメが中心で、『SPY×FAMILY』『呪術廻戦』『【推しの子】』といった王道系を観ることが多いですね。あと妹がバレーボールをやっていたので『ハイキュー!!』だったり、同じくスポーツ系だったら『アオアシ』だったり。観ようと思っていたけど溜まってしまったドラマを一気見することもあります。
──ちなみに妹さんは、中田さん出演のドラマは観るんですか?
中田 全然見ないです。どうやら恥ずかしいみたいで(笑)。
──今年だけでもたくさんのドラマに出演していますが、体調管理はどうしていますか。
中田 あまり外食をしないので自炊をすることが多いのですが、栄養価を計算できるアプリを参考にしながら料理をします。最近は暑いので、納豆、オクラ、とろろなど、ネバネバ系を食べることが多いですね。あと寝て回復するタイプなので、たくさん寝ます。お仕事のときも移動中や休憩中に隙あらば寝ています。体が丈夫みたいで、滅多に体調を崩すこともないですね。
──地元にいたとき、家族で夏の恒例行事はありましたか?
中田 近くの川にホタルが出るので、家族みんなで早めに夕飯を食べて、見に行っていました。そうすると大体、友達も家族と見に来ているので、一緒に遊んでいました。
──今年の夏も残り僅かですが、やり残したことはありますか?
中田 まだ人生で一度もかき氷屋さんに行ったことがないので、かき氷屋さんに行って、大きいふわふわのかき氷を食べてみたいです! あと夏には間に合わないと思うのですがユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行きたいです。
──行ったことはあるんですか?
中田 関西出身なのに一度も行ったことがなくて、私が実家にいたときは、他の家族も行ったことがなかったんです。ところが私が東京に来た途端、家族全員が行き始めて(笑)。すごく置いて行かれた感があるので、今年中に行きたいです。人混みは苦手なんですけどね……。
──今は海外客も多いので、いつ行っても混んでいると思いますよ。
中田 一時期YouTubeで、主観で撮影したジェットコースター動画を観るのにハマっていて、ユニバの乗り物がいいなと思ったんですよね。特に「ザ・フライング・ダイナソー」に乗ってみたいです。
──お仕事的にはどうですか。
中田 今23歳で、そろそろ学生役がリミットになってくるので(笑)。今回の「僕たちの校内放送」みたいに、学生役はできるうちにたくさんやりたいです。
連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
NHK総合 月~土 :午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K月~土 :7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
(STAFF&CAST)
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志、ほか
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、ほか
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/ranman/ts/G5PRV72JMR/
火曜ACTION!『僕たちの校内放送』
フジテレビ:8月22日(火)24時25分~24時55分
(STAFF&CAST)
プロデュース:足立遼太朗
演出:清矢明子
脚本:伊吹一、前田知礼
出演:木戸大聖、前田旺志郎、中田青渚、米倉れいあ、ほか
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/schoolbroadcast/
撮影/河野優太 取材・文/猪口貴裕