2020年10月25日に乃木坂46を卒業後、日本プロ麻雀連盟のプロテストに合格。プロ雀士として活躍する一方で、麻雀カフェ「chun.」のオーナー&店長を務め、タレントとしても数多くのバラエティや情報番組に出演するなど、多才ぶりを発揮している中田花奈さん。9月18日に開幕するプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の2023-24シーズンより、Mリーガーデビューを果たす彼女に、乃木坂46卒業から現在までの軌跡を前後編で振り返ってもらいながら、Mリーグへの思いを語ってもらった。前編はタレント卒業も考えていた中田さんの快進撃に迫ります!
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父の「麻雀が下手くそ過ぎる」という一言で絶対に強くなると一念発起
──中田さんの麻雀遍歴を教えていただきたいですが、そもそも始めたきっかけは?
中田 2015年6月に出演した舞台『じょしらく』のセリフで「数え役満」が出てきて。落語のお話で、麻雀は直接関係なかったのですが、その麻雀用語を調べたのがきっかけで麻雀を覚えようと思いました。もともとボードゲームやパズルゲームのアプリが好きだったので、その延長で麻雀のアプリにもハマりました。
──初めて実戦で麻雀を打ったのは、いつ頃だったんですか。
中田 麻雀アプリにハマっていると公言していたら2017年に、須藤凜々花さんがMCを務めていた『NMB48須藤凜々花の麻雀ガチバトル! りりぽんのトップ目とったんで!』(TBSチャンネル1)の「二代目決定トーナメント」というトーナメント形式の対戦に呼んでいただいて。でも実際の卓で打ったことがなかったので、慌ててスタッフさんや事務所の方々にお願いして直前に初めて卓で打たせていただきました。
──ほとんど実践経験のないまま、収録に臨まれたんですね。
中田 そうなんです。だから最初の対局は4着らしい4着で、今考えたら恥ずかしいです(笑)。当たり前ですけど、実戦は誰も上がりを教えてくれないじゃないですか。アプリゲームだとロンができるときは知らせてくれるし、フリテンだったら、これでは上がれませんと教えてくれるのでチョンボの心配もありません。だから上がるのすら怖かったですね。
──中田さんが初めて麻雀番組に出たとき、ファンの反応はどんな感じだったのでしょうか。
中田 当時、私のファンの方々も麻雀をやっている方は少なかったので、「4着惜しかったね」という反応でした。ただ、番組を見た父から「下手くそ過ぎる」と言われて。父が麻雀を打てることすら知らなかったのですが、その一言が本当に悔しかったんです! その時に絶対に強くなる! と思って。そこから麻雀の本も読み始めました。
──その後、お父さんと麻雀は打ったんですか?
中田 私は一人っ子ですし、母はルールも知らないので、なかなか家族麻雀ができなくて。法事で親戚が集まったときに、ようやく私、父、叔父、叔母の4人で、手積みで打つことができて、そのときに父に勝てたんです! それが本当に嬉しくて、「もう私に下手くそとは言えないね」と言ってやりました(笑)。その後、お正月に打ったときは父に負けちゃったので五分なんですけど。
──手積みで麻雀するのも、なかなかない経験ですよね。
中田 手積みが本当に難しくて……。背が竹の麻雀牌で、ちょっと丸みがあるので、上に乗せるだけでも一苦労でした。
──その後もコンスタントに麻雀番組に出演。2020年1月からは冠番組『乃木坂46中田花奈の麻雀ガチバトル! かなりんのトップ目とれるカナ?』が始まります。
中田 放送で対局できることで、1回1回の麻雀が濃くなったと思います。自分自身で振り返りができますし、実況解説の人が意見やアドバイスを言ってくださるので、すごくありがたいです。
──なぜ、そこまで麻雀にハマったのでしょうか。
中田 もともと頭を使うゲームが好きだったのと、突き詰めていっても終わりがないという奥深さが面白かったんです。対面だと心理戦の要素もあるし、毎回局面が違って、謎解きみたいなところもあります。この牌は危険そうだなってビタ止めしたのがうまくいった瞬間が本当に気持ち良くて。あと先切りの効果で、引っ掛けが成功してロンしたときも最高です。
経営は頑張った分だけ報われる確率が高くなるし、結果も分かりやすい
──プロ雀士になろうという気持ちは乃木坂46時代からあったんですか。
中田 仕事が落ち着いたら、プロ雀士を目指そうかなと考えたことはありましたが、まさか乃木坂46を卒業して、すぐに目指すことになるとは思っていませんでした。番組さんの企画きっかけではあったのですが、必死に頑張りました。
──乃木坂46を卒業する直前に、中田さんにお話を伺ったとき、「雀荘がやりたい」と仰っていたのが印象に残っています。
中田 乃木坂46を卒業したら、タレント業を続けられると思っていなかったので、本気で引退を考えていました。真剣にセカンドキャリアとして雀荘のママになりたかったんですよね。だから卒業して、すぐに麻雀カフェ「chun.」を始めました。
──どういうコンセプトで「chun.」を始めたのでしょうか。
中田 私は個室の雀荘やセット雀荘には行くけど、フリー雀荘には一度も行ったことがなくて。フリー雀荘はタバコの煙がもくもくというイメージで、少し怖い印象もあり、どうしても一見さんは入りにくいというのがありました。私と同じような考えの麻雀好きはたくさんいるだろうなと感じていましたし、自分で麻雀は打たないけどMリーグを見るのが好きという方も多いので、見る麻雀の面白さも伝えたい。その二つニーズに応える、雀荘のイメージを変えるようなお店にしたいなというのがコンセプトでした。
──6月30日に行われた「Mリーグ」のドラフト会議も、「chun.」でご覧になっていましたよね。
中田 私自身がパブリックビューイングみたいに、みんなでMリーグを見たかったんですよね。それがイベントだけじゃなく、日常的に見られる環境があったらいいなと思ってお店を作ったところもありましたが、まさか自分が出る側になるとは……。
──従来にないお店を作るために、どんな工夫をしたのでしょうか。
中田 私はバイト経験もなかったですし、雀荘がどうやって回っているのかも分からなかったので、実際に営業しつつ、改善点を見つけて、スタッフと相談して修正していきました。あとは、いろいろな経営者の方に相談をして、アイデアを取り入れています。
──どういう方に相談したんですか?
中田 従来の雀荘とは客層が全く違うので、飲食店の方にお話を聞くことが多かったですね。同業で言うと、「Nishi azabu RTD」さんと「麻雀ラウンジぷろす」さんはお話を伺いました。
──すぐにお店は軌道に乗ったんですか。
中田 おかげさまでオープン当初からたくさんの方に来ていただいて、ファンの方々に支えられています。ありがたいです。
──経営のやりがいはいかがですか?
中田 経営は頑張った分だけ報われる確率が高くなるし、結果も分かりやすいので、やりがいがあって面白いです。
──人材についてはいかがですか。
中田 直感でアルバイトの子を選んでいるのですが、みんな真面目に働いてくれるし、シフトがない日も普通に麻雀を打ちに来たり、カフェ利用をしてくれたりして。お店を愛してくれるスタッフばかりです。
──人を見る目は乃木坂46時代に培われたのでしょうか。
中田 メンバーやスタッフさん、グループに関わってくれる方々はもちろん、握手会などで直接お会いするファンの方々も含めると、たくさんの人たちと接してきたので、自然と研ぎ澄まされていたのかもしれません。
新しい知識を得るのが大好きなので、競馬新聞を見ているだけでワクワク
──先ほどタレント引退も考えていたと仰っていましたが、乃木坂46卒業後もテレビ・ラジオ・ネット配信番組などに引っ張りだこですよね。
中田 麻雀メインの活動になるとは思っていましたが、ここまでメディアに出ることを想像していませんでした。自分の思っていた以上にお仕事をいただけて、ありがたいです。
──もともと話術に定評がありましたし、当然の流れかと思いますが。
中田 いえいえ、確かにラジオは好きでしたが、悩みもあって。「元乃木坂46」と呼んでいたただけたり、プロ雀士や経営者として呼んでいただけたりと、さまざまなケースがあって、どの立ち位置でどのような発信の仕方がいいのか迷っちゃうときがあるんですよね。番組によって今何を求められているのかが分からなくなって、「おそらく今日はこの角度じゃなかった」「もっと切り込んだほうがよかった」と反省することも多いんです……。
──それだけ自分に高いハードルを掲げている証拠だと思います。グループ時代に培ったものがプロ雀士になって活きているなと感じることはありますか。
中田 運がいいなと感じる局面が多いので、それは乃木坂46のときに育まれたパワーなのかなと思います(笑)。
──たとえば、どういうときに感じるんですか。
中田 たとえば親がリーチしたとき、自分に良い手が入っていなかったら、ベタオリすることもあるじゃないですか。他が降りている中、私も降りてそうに見せて、ドラ単騎で親から上がれたときですね。あとリーグ戦で国士無双を2回上がったことがあって、「私は運を持っているな」と感じました。
──まさに運も実力のうちですからね。今年7月からは冠番組として、YouTubeの新・競馬バラエティ番組『中田花奈のウマくなりたい!』が始まりました。これまで馬券を買ったことはあったんですか?
中田 それが一切なくて。ただ「うまプロ」(フジテレビ系)は毎週録画して見ていて。「3連単」とか「ディープインパクト」といった言葉に聞き覚えはありました。ただ当時は未成年だったので馬券を買うこともできなかったですし、知らない用語や馬、騎手の方などを調べることもなかったです。だから今回の番組が決まってから勉強を始めました。先日、番組で競馬新聞の見方を教えてもらったんですよ。
──競馬新聞は見方が分からないと、何が書いてあるのか理解できないですよね。
中田 最初は情報量の多さと字の細かさで一生分からないと思っていたのですが、知っていくうちに、どの情報を拾えばいいのか考えるのがすごく楽しくて。麻雀のときもそうだったのですが、私は新しい知識を得るのが大好きなので、競馬新聞を見ているだけでワクワクします。
──乃木坂46を卒業して約3年経ちますが、自己評価すると100点満点で何点でしょうか。
中田 もともとアイドルになるのが夢だったので、それが叶った上に、十分やりきったので、正直、アイドル卒業後は余生みたいな気持ちでした(笑)。でもまた新たにワクワクすることが幾つも見つかって、花丸満点をあげたいです!
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<後編に続く>
アイドルからMリーガーに華麗なる転身・中田花奈「ビーストな麻雀でMリーグを掻き乱していきたい」(後編)
撮影/中村 功 取材・文/猪口貴裕