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2023/10/24 11:30

レヴォーグと何が違う? スバル都会派ワゴン「レヴォーグ レイバック」をクローズド試乗

スバルのスポーツワゴン「レヴォーグ」をベースに、車高と最低地上高を高めたクロスオーバーモデル「レヴォーグ レイバック(以下レイバック)」が発表されました。このモデルはスポーツ志向が強かったレヴォーグに対し、都会志向のユーザー層をターゲットにする目的で新たなグレードとして追加されたものです。今回はそのプロトタイプの走りを、佐渡島の「大佐渡スカイライン」の一部を閉鎖したコースで体験してきました。

↑試乗コースは「大佐渡スカイライン」。アップダウンとワインディングが続くコースで力強い走りを見せた「レヴォーグ レイバック」

 

■今回紹介するクルマ

スバル/レヴォーグ レイバック

※試乗グレード:Limited EX

価格:399万3000円(税込)

 

レヴォーグのラインナップに追加された「都会派ワゴン」

車名のレイバックとは、「くつろぐ」「リラックスできる」という意味の「laid back」をベースとした造語で、「ゆとりある豊かな時間や空間を大切にする気持ち」をそのネーミングに込めたそうです。スバル車といえば大半の人がアウトドア系のクルマという印象を持っていると思いますが、レイバックはレヴォーグにラグジュアリー路線の新たな価値観を与える都会派ワゴンという位置づけで、新グレードとして新たにラインアップされました。

↑佐渡島の雄大な風景にもマッチする人気色「アステロイドグレー・パール」に身をまとったレヴォーグ レイバック Limited EX

 

それだけにデザインの印象もレヴォーグとはずいぶんと違います。前後のバンパーは丸みのあるレイバック専用とし、フロントグリル、サイドスカートなどにも専用デザインを採用することで都会的な雰囲気を持たせています。これに伴ってボディサイズは全長4770mm×全幅1820mm×全高1570mmと、レヴォーグに比べて若干サイズアップすることになりました。

 

【デザインを画像でチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

また、クロスオーバー車としての走破性を確保するために、最低地上高はベース車より55mm高い200mmとしています。これによって全高は回転式駐車場への入庫で制限が加わる1570mmとなりますが、ホイールベースは2670mmとベース車と変わりません。また、トレッド幅も少し広がっていますが、その差はわずかで普段の取り回しはレヴォーグとほとんど同じ感覚で扱えると思って差し支えないでしょう。

 

乗降性を高めたフロントシート。高い静粛性が快適性をアップ

インテリアは、センターコンソールやアームレスト、シートのサイドサポート部にスバル初となるアッシュカラーを採用したうえに、カッパーステッチを加えることでレイバックならではの落ち着いたカラーコーディネイトを実現しています。また、フロントシートは座面左右の張り出しを抑えてサポートワイヤーをなくすことで、車高が高くなって影響が出やすくなった乗降性を向上。一方で座面のクッションパッドにインサートワイヤーを加えることで適度なホールド性も確保したとのことです。

↑基本的にはレヴォーグと共通のインテリアは、アッシュカラーを採用してシルバー部にほんのりブルーを加えて都会派をイメージした

 

↑最低地上高が高くなってもスムーズな乗降を得るために、シート左右のサポート部にはワイヤーフレームに変更している

 

車内空間については、コンセプト通りの高い静粛性が大きな特徴となっています。タイヤにはオールシーズンタイヤを採用していますが、スバル専用設計として遮音材をしっかりと使って対策をしており、走行時のロードノイズはかなり押さえ込まれています。これならレイバック専用として標準装備された「Harman/Kardon」の10スピーカーサウンドシステムの能力を十分堪能できるのではないかと感じました。

↑後席は座り心地の良いゆとりのあるシートと広々とした足元スペースを確保。後席用のベンチレーションやシートヒーターなども採用

 

↑カーゴスペースはレヴォーグ GT-X EXと同等の561L(サブトランク含む)となっており、アウトバックとクロストレックの中間サイズとなる

 

11.6インチ縦型ディスプレイのインフォテイメントシステムはレヴォーグから引き継いだもので、見やすさと使いやすさを両立させているのが特徴です。

↑11.6インチ縦型ディスプレイを採用したインフォテイメントシステム。「what3words」を採用したほか、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応した

 

ナビゲーション機能には、簡単な3単語を使って正確な位置を調べられる「what3words」を採用。スマホにインストールされているアプリを使えるApple CarPlayとAndroid Autoにも対応したことで、普段聴いている音楽などもそのまま車内で楽しめます。また、専用アプリを用いた遠隔操作により、車外からでもエンジンの始動と空調の設定が可能となる、リモートエアコン機能を新たに用意しているのも見逃せないでしょう。

 

ワインディングでもロールを抑えながら快適な乗り心地を発揮

パワーユニットは、レヴォーグにラインナップされている2.4リッターターボの用意はなく、1.8リッター水平対向4気筒ガソリンターボエンジンのみの構成となります。試乗したクローズドコースはアップダウンのあるワインディングでしたが、それでもパワー不足を感じることは一切ありませんでした。減速した後に立ち上がるまでのラグが若干感じられましたが、通常の走りであればそれほど気になるレベルのものではありません。むしろターボによるトルクフルなパワーは頼もしさを感じます。

↑パワートレーンは水平対向4気筒DOHC 1.8Lターボエンジンで、最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生させる

 

↑アップダウンが激しい試乗コースにもかかわらず、レイバックはスムーズな走行体験ができた

 

足まわりには高い操縦安定性と快適な乗り心地を両立した専用設定のサスペンションを組み合わせています。ロールもしっかりと抑えられていて、段差のある場所を通過してもフワリとこなすあたりはレヴォーグとはひと味違った乗り心地です。ただ、レヴォーグに比べると車高が高いぶんだけステアリングフィールは若干曖昧で、その意味でシャキッとしたフィールを味わいたいならレヴォーグがオススメとなるかもしれません。

 

それでもレイバックはコーナーをややキツめに通過してもしっかりとグリップしてくれ、高い安心感を与えてくれました。聞けばそれはファルケン製オールシーズンタイヤによる効果が大きいそうで、開発者によれば「走行ノイズが少ないうえに、想像以上に高いグリップ力を獲得できる」実力がレイバックでの採用につながったとのことでした。つまり、十分な回頭性を持ちながら快適な乗り心地を発揮する、まさに都会派ワゴンに求められているスペックをレイバックは実現してくれたというわけです。

↑クロストレックにも採用されたオールシーズンタイヤ「ファルケン ZIEX ZE001 A/S」を標準装着とした

 

↑大佐渡スカイラインの展望台で撮影した「レヴォーグ レイバック」の用品装着車。こちらはアウトドア系に振った装備となっていた

 

SPEC●全長×全幅×全高:4770×1820×1570mm●車両重量:非公開●パワーユニット:水平対向4気筒DOHC●エンジン最高出力:177PS/5600rpm●エンジン最大トルク:300Nm/3600rpm●WLTCモード燃費:非公開

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

撮影/松川 忍