オーディオテクニカは、真空管ヘッドホンアンプとヘッドホンをセットにしたハイエンドオーディオシステム「鳴神(NARUKAMI)」を受注生産方式で発売します。11月20日10時から2024年1月19日18時まで同社の公式サイトで受付を開始し、販売価格は1200万円(税別)。
雷や雷鳴を意味する「鳴神」
「鳴神」は、雷の神である“雷神”、または自然の力の現れともいえる雷の嗚る音“雷鳴”を意味する言葉。鳴神の名を冠した真空管ヘッドホンアンプ「HPA-KG NARU」は、オーディオテクニカが創業以来60年の間に蓄積してきた音響技術と厳選されたカスタムパーツにより、音のディテールと深みをよりリアルに再現します。
電子回路部品にはルンダール社製の入力トランス「LL1532」やアモルファスコア+銀線の出力トランス「LL2765AgAM」といった高品質なものを使用しており、ヘッドホンアンプのパワー段には高槻電器工業社製の真空管「TA-300B」を左右2ペアずつ、計4本使用。フルバランス駆動により、分離感に優れたクリアな音質と真空管ならではの音の響きを実現しています。
ヘッドホン出力はXLR 4pinバランス出力と6.3mmシングルエンド出力の2系統を搭載。さらに、プリアウト出力も備えており同機をスピーカーのプリアンプとして使用することもできます。
また、ヘッドホンアンプの性能を最大限に引き出すバランス接続対応の密閉型ヘッドホン「AW-KG NARU」も同梱。ヘッドホンアンプと組み合わせることで、開発者の意図する「鳴神」のサウンドが手軽に楽しめます。
日本古来の希少木材「黒柿」を採用
鳴神のデザインや素材には、オーディオテクニカが日本のブランドであることを示す要素がふんだんに盛り込まれています。
ヘッドホンアンプとヘッドホンには、古来から希少な木材として珍重されてきた「黒柿」が採用されています。この黒柿は樹種ではなく、100年以上経った柿の古木でのみ見つかる木の内部に黒い紋様が現れたもののことで、乾燥作業が難しく専門知識や高い技術が必要なことから、生産量が極めて少ないのが特徴です。
鳴神ではヘッドホンアンプ「HPA-KG NARU」と密閉型ヘッドホン「AW-KG NARU」の両方に黒柿を使用。自然の木材のため製品ひとつひとつ木目が違っており、自分だけの木目模様を愛でる楽しみも味わえます。
ヘッドホンアンプのトップやサイドには禅の思想を取り入れた日本庭園の「枯山水」を想起させるデザインを採用するほか、真空管や出力トランスを保護する金属メッシュカバーには伝統的な「綾杉模様」が用いられています。
さらに、ヘッドホン出力端子やボリュームノブ、インピーダンス切り替えツマミなどが配置されたフロントパネルは文字の使用が最小限に抑えられ、黒柿の持つ高級感を損なわないデザインとなっています。
枯山水を取り入れた和のテイストと黒柿材の美しい木目が融合し、オーディオ機器とは思えないほど圧倒的な存在感のあるデザインに仕上がっています。
身体で感じるようなリアリティのあるサウンド
今回、一般公開に先駆けて鳴神の音を試聴させて頂くことができたので、音質についてもインプレッションをお届けします。
少数編成の室内管弦楽の音源を聴いてみたところ、弦楽器の高音が繊細かつ伸びやかで、まるで目の前で弾いているのかと思えるほどの生々しさ。また低音は弾むようにイキイキとして、重厚で濃密な響きが感じられます。
ヘッドホン「AW-KG NARU」の空間表現能力もすばらしく、バランス接続で聴くと録音した空間の広さまで伝わってくるような印象です。
生演奏を聴くと身体全体で空気の振動を感じられることがありますが、鳴神のサウンドはそれに近い感触で、まるで自分の周囲の空気が振動して音を伝えているような感覚を味わうことができました。
この素晴らしいサウンドは、ぜひ一度ご自分の耳で体験してみてほしいところ。一般公開は10月28日に東京・八重洲にて開催される「秋のヘッドフォン祭2023」で事前申し込み制の視聴会が行なわれるほか、11月18日・19日に開催されるイベント「Analog Market 2023」でも試聴の機会が設けられるとのことなので、興味がある方はぜひ参加してみてください。
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