大宮駅の隣、土呂駅の近くにある大宮盆栽美術館。現在ここで、「THE BONSAI 小宇宙の旅」をテーマにした、夜間ライトアップが行われています。小宇宙と形容される照明の魅力を光で表現した、初の夜間ライトアップです。
盆栽が地名にまでなった、“盆栽の聖地”
土呂駅の駅の近傍には「盆栽町」という地名があります。盆栽町は、関東大震災で被災した東京・小石川近辺の盆栽業者が、ここに移ったことがきっかけで誕生しました。盆栽町には5つの盆栽園があり、大宮盆栽美術館もその町内に位置しています。ここ一帯は、その名に違わぬ“盆栽の聖地”なのです。
大宮盆栽美術館には、屋内はもちろん、外の庭園にも多数の盆栽が展示されています。盆栽のケアのため展示する盆栽は頻繁に入れ替えており、特に室内で展示した盆栽は1週間の展示後、半年は屋外に出しているそうです。館内を彩るたくさんの盆栽を見ていて、これを毎週入れ替えているとなると「ここにはどれだけの数の盆栽が所蔵されているのか…」と驚かされます。
若い人の間で人気の盆栽とは?
大宮盆栽美術館の担当者によると、現在は若い世代の盆栽ファンが増えているのだそう。コロナ禍で在宅の時間が長くなったことを機に「家に緑を置きたい」というニーズが増え、ファンの増加につながったといいます。
盆栽はしばしば、「鉢の上の小宇宙」と形容されることがあります。自然のなかで育てれば、見上げるほどに大きくなる樹木。それを小さな鉢で育てる盆栽には、土に生える苔、根、幹、葉、あるいはその枯れ方まで、あらゆる要素が小さく凝縮されます。その様を表して、小宇宙というのです。
盆栽の小宇宙を光で表現するライトアップイベント
今回のライトアップのテーマは、その「小宇宙」です。屋外庭園では、盆栽の下に設置した投光器から放つ光で、枝葉の陰影を強調。庭園のライトの配置は、秋の代表的な星座であるアンドロメダ座の形を描いており、2階のテラスからはその様子を一望できます。
照明の色は、日本の美意識を表現する電球色、四季をイメージしたグラデーション、宇宙を表すコスモス色が一定間隔で切り替わります。また、テラスに設置されているQRコードを読み取ると、自分の誕生日を入力することができ、それをすると20秒間だけ庭園の照明が自分の誕生日の色に変化。ライトアップを自分で操作する感覚を味わえます。
庭園の入り口にあるひときわ大きな盆栽の前にも、QRコードが設置されています。ここでもコードを読み込むと誕生日を入力する画面が出てきて、入力した日付によって金星、地球、火星などの惑星をイメージした8種類の照明パターンが展開されます。
これらの照明体験を可能にしているのが、パナソニックの街演出クラウド「YOI-en」。このシステムでは、ひとつひとつのLED投光器をクラウドに接続し、一括管理しています。今回のライトアップでは99台の投光器が設置されていますが、これだけの数の照明の色や演出を一斉に切り替えることができるのは、YOI-enがあってこそです。
YOI-enはクラウドを介して投光器の制御を行うため、東京のPCからでも、大阪や福岡など遠隔地のライトアップイベントをコントロールできます。この特性を活かして、インドでのライトアップイベントを日本から操作する計画も進んでいるそうです。
大宮盆栽美術館でのライトアップは、12月10日(日)までの金・土・日・祝日の夜間限定。入場料も大人で310円と非常にお手頃です。この秋、盆栽のライトアップという従来になかった体験を味わってみてはいかがでしょうか。
【ライトアップ実施概要】
期間/12月10日までの金・土・日・祝日
実施時間/土曜:17:00〜20:00、金・日曜:17:00〜19:00
※11月23日(祝):17:00〜19:00
入場料:一般:310円、高校生・大学生・65歳以上:150円、小中学生:100円
アクセス:宇都宮線土呂駅より徒歩5分、東武アーバンパークライン大宮公園駅より徒歩10分