提供:宝酒造株式会社
街を結ぶ沿線には、その地ならではの名酒場と酒文化がある――。本企画では、首都圏沿線の路線ごとに、奥深いカルチャーを探っていきます。ナビゲーターは『古典酒場』の倉嶋紀和子編集長。各沿線に縁のあるゲストとともに、街と酒場の魅力を語り尽くします。
JR中央線の第2回目は三鷹(東京都三鷹市)。文士の街、ジブリ美術館、“住みたい街”吉祥寺(東京都武蔵野市)の隣、東京のベッドタウン……。それなりにトピックスはあるものの、いまいちイメージがつかめない街といえるかもしれません。今回はこの街で育った、雑誌『酒とつまみ』初代編集長でもある酒場通・大竹聡さんをゲストにお迎えして、三鷹とはどんな街なのか、そしてどんな酒場があるのかを伺っていきます。
世界一に選ばれた街・「三鷹」の知られざる魅力
まずは、三鷹という街の概要から。歴史をたどると、1889年の全国的な市制町村制施行により、上連雀や新川、牟礼といった10か村が合併し三鷹村となったことがルーツ。名の由来は諸説あるものの、かつて徳川将軍家が鷹狩を行なった場所であり、それが当時の世田谷、府中、野方の3領にまたがっていた(=三領の鷹場)からという説が有力です。
JR中央・総武線の各駅停車(いわゆる、黄色い総武線と東京メトロ東西線の直通列車)の起点/終点となっており、加えて中央特快が停車し、新宿駅まで最速約14分で到着する好アクセスな立地です。なお、三鷹駅は武蔵野との市境である玉川上水の真上に開設されたため、駅の南側は三鷹市でありながら、北側は武蔵野市という、ある意味ユニークな位置関係も特徴です。
「住みたい街ランキング」では上位の常連で隣駅の吉祥寺の陰に隠れた存在ですが、2005年にはWTA(米国NYに本部を置く国際機関)主宰の「インテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー(※)」では三鷹市が世界一に選出されています。
※:世界のITを活用して経済や文化、社会を発展させた優れた地域を表彰する取り組み
文化芸術的な特色も濃く、武者小路実篤、三木露風、山本有三、太宰治など、多くの文豪が暮らした文士の街としても有名。また、2001年には井の頭公園(正式名称は都立井の頭恩賜公園。武蔵野市と三鷹市にまたがっている)内に「三鷹の森ジブリ美術館」がオープンし、人気スポットとなっています。
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「元祖ハルピン」で大竹聡に「三鷹の青春」を聞く
倉嶋 大竹さん、今日は三鷹でよろしくお願いします! やっぱり素敵な街ですね~。
大竹 ようこそ三鷹へ! と言いたいところなんだけど、実はいまは住んでないのよ。でも、ここは生まれ育った街だし、もちろん古典酒場を中心にある程度、店のことも知ってるよ。
倉嶋 頼もしい! ここ「元祖ハルピン」さんはずっと気になっていたお店で、餃子をアテに紹興酒をちびちびやりながら語らいたいなと。
大竹 いいね~。
二人 では、カンパーイ!
倉嶋 さっそくですが、大竹さんの少年時代の話から聞かせてください。
大竹 昭和38(1963)年、隣町の武蔵境(東京都武蔵野市)のほうにある武蔵野赤十字病院で生まれたんだけど、笑いながら出てきたそうで、そんな赤ちゃんは初めてだったと言われたよ。
倉嶋 出生からして豪快(笑)!
大竹 家は三鷹の新川という、調布(東京都調布市)の仙川に近い場所にあってね。小中学校は地元だったけど高校は国立(くにたち)高校(東京都立国立高等学校)に通って、ちょうどここ「元祖ハルピン」がオープンした1982年に卒業したね。
倉嶋 どんな高校生だったんですか?
大竹 国立高校は手前味噌ながらなかなかの進学校で。でも朝のホームルームがなく、出席も取らない自由な校風だったんだよ。そんなこともあり、単位さえ取ればいいんでしょってことで、けっこう遊んでた。
倉嶋 さすが(笑)! でも、部活とかはやってなかったんですか?
大竹 中学まではずっと野球をやってたんだけど、高校ではサッカー部で頑張ってたよ。でも3年の夏で終わるでしょ。
倉嶋 なるほど。じゃあ引退後に新たな青春が始まったんだ!
大竹 そういう感じかな。三鷹の駅前とか街なかで、よくブラブラしてたよ。当時は南口の駅前エリアに「三鷹オスカー」「三鷹文化劇場」と、2つの映画館があってね。あと、いま文化センター(三鷹市芸術文化センター)が建ってる場所に市立図書館があって、朝「行ってきまーす」なんて出かけるんだけど、まずは図書館で本読んで、駅前で昼飯食べたら午後から映画館で3本立てを観て、夜になったら「ただいまー」ってね。
倉嶋 学校行かないんですね!
大竹 そのくせ「今日もたくさん勉強したなぁ~」とか言って。で、親から「聡、大学はどこ志望なの?」って聞かれれば「うん、東大東大」って。でもこれは本気で言ってたね。まあ、生意気でやさぐれた高校生だったと思うよ。それに進学は結局、早稲田の第二文学部に行って、さらに水を得ちゃうし。倉嶋さんはどんな子だったの?
倉嶋 すごく真面目な女学生ですよ。朝から夜まできっちりと授業があって、課外授業も受けて、「源氏物語」が好きで。部活は中高ずっと吹奏楽部でフルートを吹いてました。
大竹 じゃあ、いまはその反動(笑)?
倉嶋 (笑)人生、やっぱりちょっとした息抜きが要りますでしょ。あ、おつまみが来ましたね。いただきましょっ!
大竹 うん、こりゃいいね。隠し味に中華の甘やかな香辛料が効いてて、ジューシーな肉汁と調和してる。この味と、紹興酒の甘みや酸味がマッチして、酒が進むな~!
倉嶋 はいっ! 私イカが大好きなんですけど、イカ入り餃子は初めて食べました。プリッとしててボリュームもあって、すごく美味しいです!お酒は紹興酒にして大正解ですね。紹興酒のコクが餃子のあんに寄り添いつつ、爽やかなキレはオイル感を絶妙にウォッシュアウト。
大竹 うん、さすがは百戦錬磨の倉嶋さん。チョイスがイケてるわ~。
倉嶋 なんのなんの。でも今日は常温ですけど、夏は冷やして、冬は温めてといった飲み方も美味しいに決まってますね!
大竹 この餃子は生地から手作りで、厚皮のもちもち食感がたまらんね。水餃子はチュルッと、焼き餃子は表面だけパリッとしてて、ジューシーな肉汁とのメリハリもイイ!
つつましい街「三鷹」
倉嶋 「元祖ハルピン」はもう40年以上も営業されていますけど、大竹さんは学生時代、どんなお店に行ってたんですか?
大竹 昔の三鷹駅にはあんな立派なデッキなんてなくてさ。駅前とか商店街の、喫茶店や中華屋さんとかによく行ったね。南口ロータリーのところにあった「三鷹飯店」のチャーハンとか、「第九書房」という本屋の2階にあった「第九茶房」でクラシック聴きながら飲むコーヒーとか、懐かしいな~。そういうの、倉嶋さんにもあったでしょ?
倉嶋 実家はけっこう厳しかったので、寄り道も買い食いも禁止。私も実直に守ってました。
大竹 やっぱり反動だ! 青春時代を取り戻すかのように、いま謳歌するという。
倉嶋 生活自体は昔と変わらず規則正しいはずですが、確かに寄り道や買い食いは否めないですね(笑)。ちなみに大竹さん、三鷹で現存するお店だとどちらに行かれてました?
大竹 いまの「中華そば みたか」が「中華そば 江ぐち」だったときとかね。あとはドリンクが+170円でモーニングセットになる「リスボン」もオススメ。
倉嶋 昔ながらのお店も、けっこう残ってますもんね。
大竹 まあまあかな。でも大きな通りの形とかはあまり変わってないし、スーパーやファミレス、100円ショップなどが入っている「三鷹ショッピングセンター第一ビル」みたいに、昔のまま変わってない建物もあったりするね。倉嶋さんにとって、三鷹はどんなイメージ?
倉嶋 都下のなかでは高級な印象です。あとは駅前の南北ともに高層マンションがけっこう建っていますし、住宅街のイメージですね。そのぶんお店の数は吉祥寺や西荻(西荻窪)ほど多くないので、私自身も三鷹に飲みに来ることは少なかったです。
大竹 まあそうなるよね。よく冗談で「吉祥寺から西は崖だ。なんもないよ」ってよく言ってるから。
倉嶋 崖(笑)。でも吉祥寺みたいな人混みがないので、居心地はいいんです。お店も、数が多くないぶん一軒一軒アットホームな気がしますし。
大竹 そうだね。それに地元出身の人がやってる店の割合は、吉祥寺より多いかも。
倉嶋 そう、土着的な雰囲気がありますよね。吉祥寺のような、文化の発信地だと胸を張る感じもない、そんなつつましいところに共感を覚えるから、私にとっても愛着があるんです。
大竹 隣の吉祥寺はいろんな地方から人が来て、自分が憧れる街の姿をそこに反映してさ、好きになって住んだり店を出したりするケースがけっこうあると思うんだ。でも三鷹はそこまでならないから、自然と地元出身者の割合が多くなるんじゃないかな。もっとも、吉祥寺は土地が高いしマンションも少ないから、近年は三鷹がその受け皿になって新しい人が増えている印象もあるね。
倉嶋 実は私も、よく来るようになったのは近年で、そのきっかけになったお店があるんですよ。北口にある「万歳パンダ」っていうおばんざいがメインの小料理屋のような酒場なんですけど。
大竹 三鷹に来るきっかけとは、気になるねぇ。どの辺にあるの?
倉嶋 「武蔵八丁特飲街」って呼ばれてる、昭和の情緒を感じさせる狭い路地にあるんですよ。行ってみません?
大竹 なんとなく場所はわかるよ。行ってみようか!
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「万歳パンダ」で『酒とつまみ』誕生秘話を聞く
倉嶋 大竹さん、ここが「万歳パンダ」です!
大竹 センスを感じるけど味もある空間で、いいね~。飲み物はチューハイがいいかな。
倉嶋 はい! じゃあ2つで。カウンターに出てるのが名物のおばんざいで、今日は8種類ありますね。いい感じに見繕ってもらいます。
二人 カンパーイ!
倉嶋 あらためて、より大竹さんとお酒の関係について深堀していきたいんですけど、どのようにしてお酒が好きになっていったんですか?
大竹 これは至って普通でさ、最初はちょっと飲んでみたいなっていう好奇心からよ。ハマッてったきっかけは、バイト後の一杯。僕は大学が二部だったから、昼間は印刷工場で働いていたのね。で、大人な気分に浸りたいと思って労働後に飲むんだけど、これがウマいのなんの。
倉嶋 ついに出合っちゃうんですね~。
大竹 そしたらもう、店でひとり飲みし始めるのも時間の問題でしょ。三鷹、新宿、西荻とかの駅前、または家の近所の仙川に繰り出して飲むようになっちゃったの。やっぱり学生だからチューハイが多いよね。でも例えば西荻の「戎(えびす)」は当時、焼酎はストレートしかなくてさ。ガラスのコップに入った宝焼酎が受け皿にあふれるぐらいに入って、150mlぐらいかな。
倉嶋 ええ、25度の。
大竹 それを3杯。ちびちびでも、450ml飲んでるから結構回るでしょ。で、つまみはタンの串2本と冷やしトマトとか、もろきゅうで、当時は1000円でもお釣りがくるぐらいだったんだから。最高だったよね。
倉嶋 私がそうなるのは上京してもっと大人になってからですから、早熟な学生ですね~。では、私の原点であり、いまでもバイブルにしている名雑誌『酒とつまみ』の誕生秘話も教えてください。
大竹 僕の事務所はフリーランス仲間の集まりでね。僕がライターで、もう1人は編集もできるライター。あとはカメラマンとデザイナーがいて、誰かが受注して仕事を分け合ってPR誌を作ったり、雑誌の特集を担当したりってやってたの。でも、一緒にやってるんだったら自分たちでも何か創りたいねとなって、このメンバーなら雑誌だろうと。
倉嶋 各々の職種的にはそうなりますよね。
大竹 で、テーマどうする? ってなったんだけど、みんなの趣味はバラバラだったの。でも唯一、みんな酒が好きだったから、これで行くしかないなとなったのよ。ただ、ふだんは酒に関する有益な情報を、発注元の方々とやりとりしながら作ってるんだけど、自分たちの好きなようにできるんだったら、むしろ役に立たないけど面白さを追求する誌面でもいいんじゃない? ってなったんだよね。
倉嶋 なるほど! そういった経緯で数々の伝説が生まれていったわけですね。
大竹 あとは、すでに酒に関する名著なんて世の中にたくさんあったからさ。僕らが目指したのは、日常的な飲みの場でよく出るような、涙流して笑うんだけど内容はしょーもない話。酔ってやらかした恥ずかしいこととかね。そういうバカ話って、飲みの場でゲラゲラ笑って、次の機会に同じメンバーでまた同じ話するんだけど、飽きずに同じだけ笑ってるんだから、これ相当面白いんだな、じゃあこれ形にしたらいいじゃんって。それがきっかけですよ。
倉嶋 大拍手(笑)!
大竹 あ、おつまみも来たからいただこうか。
倉嶋 はい! こちらが、私がいつも最初にオーダーしてる、おばんざいの盛り合わせです。
「三鷹」らしい酒場とは?
大竹 実際に目で見て、この距離感で「これとこれ」って頼めるのはいいよね。料理も素材の味が生かされててウマい。酒も進むね~。
倉嶋 そう。おつまみも美味しくて、お酒も会話も弾むお店なんですよ! 大竹さんが好きな酒場はどんなお店ですか?
大竹 好きな条件的なものは考えたことがないんだけど、通ってる店の共通点はぼんやりとあるね。親しいんだけど、ほっといて欲しいときには言わなくてもそうしてくれる。あと、僕はあまり量を食べないんだけど、特別ではない普通のおつまみでも美味しい店。そして、一人でも何人かで行っても、うまく相手をしてくれるご主人のお店に、結果的に通ってる感じかな。
倉嶋 私が『古典酒場』を創りたいって、大竹さんに相談したころを思い出します。このお店いいよとか、素敵なお店をたくさん教えていただいたんですけど、振り返ると、いまおっしゃった感じのお店なんですよね。店主さんがさりげない気遣いをしてくれたり、ときには人と人をつないでくれたり。私自身、大竹さんに紹介していただいたお店はいまでも長くお世話になっていて、本当に財産だなって思います。
大竹 通えるってのはいいお店の証拠なんだよね。そういうところはお客さんとの距離感というか、お店の方が自分たちのポジションをよく理解している。例えば僕らみたいな物書きが店を紹介すれば本を飾ってくれたり、店主さんがあいさつしてくれたりするんだけど、かといってベタベタしてるわけじゃなくて。それがすごく心地いいんだよね。
倉嶋 うんうん、わかります!
大竹 だからこっちも、常連さんの邪魔は絶対にしないっていう。そういう暗黙のわきまえをお互いわかってるのが楽しいんだよ。
倉嶋 初めて入る酒場の雰囲気に、どうやって溶け込むかっていう作法も大竹さんに教えていただきました。やっぱり場の雰囲気や、お客さんとのコミュニケーションが大切ですよね。特に営業中に取材で伺った場合は、どうしてもお客さんの邪魔になっちゃうじゃないですか。そのなかでも大竹さんはすごく上手で、うまく常連さんに話かけてくださったりして、にこやかな話から笑顔が伝播していくんです。本当に勉強させていただきました。
大竹 そう? 倉嶋さんはその辺、天才でしょ。どこ行ってもすぐに打ち解けちゃうんだから(笑)。
倉嶋 その基本を大竹さんに教わったんです!
大竹 じゃあこの「万歳パンダ」も、いつもの流れでフラッと入って仲良くなった感じ?
倉嶋 こちらは私の『古典酒場』の講座帰りに生徒さんに教えてもらって一緒に来て、それ以来大好きなお店です。最初に来たのは開業当時で初代女将のももちゃんのときだから、2015年かな。二代目はすぎちゃんで、いまは三代目のゆきちゃん。あったかくて心地よい雰囲気が、すごく三鷹らしい気がします。三鷹の酒場のひとつの特徴は、やっぱりこの居心地のよさなんですかね?
大竹 一理あるかな。地元出身の店主って話をしたけど、お客さんも地元の人が中心になりがちなのね。それに住宅が多いから、お客さんはご近所さんとか、パパ友ママ友というケースもよくあると思う。だから自然と地元トークに花が咲いて、アットホームになるのかな。それこそ、同じ中学の同級生が同窓会の打ち合わせをしてたりね。
倉嶋 確かに。ここに来ると、地元トークが多めかも!
大竹 倉嶋さんは、ほかの中央線の駅と比べて三鷹の店はどう思う?
倉嶋 例えば前回行った西荻窪は、駅前の路地に個人経営の居酒屋や商店が密集していて、小さな村っぽい印象があるんですけど、三鷹の駅前はもっと開けてる感じで、地方都市に近いイメージですかね。でも名酒場には吞兵衛が集まって、いい雰囲気をつくりだしてるという。
2人がオススメの「三鷹酒場」とは?
大竹 倉嶋さんが「万歳パンダ」のほかに、三鷹でよく行くお店ってどこ?
倉嶋 ひとつは、このすぐ近くにある「おでん都」さん。「万歳パンダ」が満席だったときに見つけた、素敵なお店です。ダシからして美味しいおでんの盛り合わせと、その日の日本酒でペアリングを楽しんでます。北口だと「PIZZA-ISM(ピザイズム)」も好きですね。こちらは2022年オープンの比較的新しいお店で、1ピースからオーダーできる多彩なニューヨークピザを、ハイボールやワインと合わせています。
大竹 さすが、いろいろ開拓してるんだね。南口だとどう?
倉嶋 例えば、「おだしのだしお」さんは好きなお店のひとつです。こちらは貝ダシで味わうラムしゃぶが名物ですけど、とにかく羊の料理が種類豊富なことに驚きました。おつまみでも、貝と羊のポテトサラダに、なめろうに、炙りユッケなどなど。お酒はレモンサワーをはじめ、オリジナルのサワーが絶品ですね。では、こんどは大竹さんの番。お気に入りを教えてください!
大竹 昔っから行ってて、いまもあるのは「やきとり横堀」。最初は若かったから緊張したよね。バイト代が出た日の週末に恐る恐る入ってさ、チューハイとビールに、串焼き6本とおしんこ、煮込みとかで精一杯だったんだけど、3回目ぐらいで大将が声かけてくれてね。スポーツ新聞の競馬欄とか見てると、ニカッと笑って「いけない子だ~」なんつってさ。
倉嶋 なんというセリフ(笑)!
大竹 北口だと「婆娑羅(ばさら)」だね。山口瞳先生の『居酒屋兆治』のモデルになった国立・谷保の名店「文蔵」譲りのもつ焼きが名物なんだけど、僕は大将が作るぬか漬けが大好きで。あとは、毎日ちょっとずつ仕入れる魚。刺身のほか、干物だったり煮つけにしてくれたり。カウンターだけだから一人でも入りやすいし、意外に若いお客さんもいるんだよね。そういえば「婆娑羅」も、「元祖ハルピン」と同じ1982年創業だったかな。
倉嶋 あら! 奇しくも大竹さんが高校を卒業するタイミングで、名酒場が生まれてるとは。
大竹 もう40年以上前のことだけど、当時から故郷にある店はちょっと特別だよね。
倉嶋 同感です! 今日は三鷹のことをたくさん教えていただき、ありがとうございましたっ!
大竹さんの故郷・三鷹で、この街について学びいっそう好きになった倉嶋さん。次回は、違う沿線の街と魅力的な酒場について倉嶋さんがゲストと語り合います。お楽しみに!
<取材協力>
元祖ハルピン
住所:東京都三鷹市下連雀3-31-9
営業時間:11:30~14:00、17:00〜22:00
定休日:月曜、火曜
万歳パンダ
住所:東京都武蔵野市中町1-19-11
営業時間:水曜~金曜17:00~23:00、土曜、日曜15:00~22:30
定休日:月曜、火曜(祝日の場合は営業)
※価格はすべて税込みです
記事に登場した商品の紹介はこちら▼
・紹興酒「塔牌」
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撮影/鈴木謙介