明治末期の北海道を舞台に、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトル氏の大ヒット漫画を実写化した映画『ゴールデンカムイ』が、1月19日(金)に公開。主人公・杉元佐一(山﨑賢人さん)たちを追い詰める大日本帝国陸軍「第七師団」所属の一等卒・谷垣源次郎を演じる大谷亮平さんが、原作ファンの中でも人気が高い自身のキャラの魅力を、自ら分析してくれた。
【大谷亮平さん撮り下ろし写真】
人間味をいちばん感じさせる谷垣に惹かれた
──バトルアクション映画である『ゴールデンカムイ』ですが、大谷さんは韓国で『神弓-KAMIYUMI-』といったアクション大作に出演されていましたね。
大谷 はい。国は違いますが雪山が舞台という共通点があり、『ゴールデンカムイ』を撮影する際は『神弓-KAMIYUMI-』を思い出しました(笑)。『ゴールデンカムイ』にも激しいアクションがあるので「また過酷な撮影になるな」と覚悟しましたね。でも実は、日本に拠点を移してからハードなアクション映画に出たことがなかったので、出演できてうれしかったです。
──原作とアニメファンから大人気である谷垣源次郎役をオファーされた時の、率直な感想を聞かせてください。
大谷 『ゴールデンカムイ』の存在は知っていましたが、拝見したことがなかったので、オファーをいただいてまずはアニメ版から観始めました。自分が演じることは関係なく、谷垣がいちばん好きなキャラクターになりましたね。
──谷垣のどういうところに魅力を感じ、お好きになったのでしょうか?
大谷 とんでもなくハードでバイオレンスなキャラが集まっている中で、人間味をいちばん感じさせるところに惹かれました。見ていてホッとするというか、情に溢れる本当にいい男です。原作ファンの方々から人気があるキャラであることを実感しました。
続編への期待「谷垣の魅力を個性に変えていきたい」
──見事な大胸筋が特徴的な谷垣だけに、身体づくりなど役作りはどのように行われたのでしょう?
大谷 今も現役でバレーボールをやっていることもあり、日々さまざまなトレーニングは積んでいます。今回、さすがに原作通りの大胸筋は難しいですが(笑)。リアルな感じを出すために、さらにウェイト(トレーニング)はしましたし、食べ物にも気をつけました。あとは元マタギという設定なので、雪山を自由自在に走ったり歩いたりできるような下半身づくりですね。ただ40歳を過ぎて無理すると怪我をしてしまうことも分かっているので、かなり注意しました。
──原作ありきの作品ということで、久保茂昭監督からは何か指示があったのでしょうか?
大谷 クランクイン前に久保監督とコミュニケーションを取る時間がありましたが、「原作やアニメを意識してほしい」というような指示はありませんでした。「実写化としてのリアリティを生かしてほしい」という想いの方が強く感じられましたね。僕からは「谷垣はほかのキャラと違って、優しい部分もありますよね」といった意見を出しました。実際に自然を生かしたロケーションの中で演じさせてもらえたので、現場で生まれる感情を大切に、リアルに汲み取って演じることができたと思います。
──谷垣の人柄が出ているシーンといえば、追いかけたアシㇼパを説得するシーンが挙げられます。
大谷 谷垣が杉元とアシㇼパを追うシーンは、谷垣に悪意があるわけでも、恨みがあるわけでもないんですよね。谷垣はただ自分の生き方を模索しつつ、第七師団として与えられた任務を遂行しているだけなので、彼らを傷つけようとは思っていない。原作を知らない人がこのシーンを観た時でも「谷垣は、ほかのキャラクターとはちょっと違う」と思ってもらえる気がします。
──白銀のエゾオオカミ(レタㇻ)に襲撃されるシーンで、印象的な撮影エピソードはありますか?
大谷 完成したシーンはCG合成されているのですが、現場では美術さんが作ってくださったダミーのレタㇻを相手にお芝居をしました。めちゃくちゃリアルかつ原寸大の大きさで、本気で怖くなりました(笑)。「こんな奴に襲われたら、さすがの谷垣でも……!」という気持ちで演じたので、かなり自然に生まれたリアクションだったと思います。谷垣の人生が大きく変わる重要なシーンでもあるので、注目していただきたいですね。
──やはり続編を期待せずにはいられません。大谷さん自身の、続編にかける意気込みを聞かせてください。
大谷 原作では今後、より殺伐としていきます。その中で谷垣は人情や温かみといったものをより担っていくキャラクターだと思うんです。今回の映画では出番が多くないかもしれませんが、もし再び彼を演じられるなら、誠実さや真面目さを持ったごく普通の男である谷垣の魅力を個性に変え、大事に、しっかり演じていきたいですね。
映画『ゴールデンカムイ』
1月19日(金)全国公開
(STAFF&CAST)
原作: 野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
原作:野田サトル
脚本:黒岩勉
音楽: やまだ豊
主題歌: ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
アイヌ語・文化監修: 中川裕 秋辺デボ
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、柳俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:https://kamuy-movie.com/
(STORY)
日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一(山﨑賢人)。ある日、彼はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)に救われる。彼女は金塊を奪った男に父を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにするが、大日本帝国陸軍「第七師団」を率いる鶴見篤四郎中尉(玉木宏)と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三(舘ひろし)も、それぞれ金塊の行方を追っていた。
撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/MIZUHO(vitamins) スタイリスト/カワサキタカフミ